中国漁船船長を釈放、送還へ、那覇地検-両国関係を考慮

(第3段落の仙谷氏発言を追加し、更新します)

【記者:坂巻幸子】

9月24日(ブルームバーグ):那覇地検は24日、海上保安庁の 巡視船との衝突事件で送検されていた中国漁船船長を処分保留のま ま釈放することを決定した。近く本国へ送還される。中国が船長の 釈放を強硬に求めるなど、両国間の緊張感が高まっていた。

同地検の鈴木亨次席検事は会見で釈放理由について、衝突は「巡 視船の追跡を免れるとっさに取った行為で計画性はない」と指摘し た。また、船長の拘留を継続した場合の、日本国民への影響や日中 関係などを考慮したという。NHKが会見場面を放映した。

仙谷由人官房長官は同日午後の会見で、船長釈放の決定につい て「那覇地検の判断を了とする」と述べ、決定は地検自身が下した ことを明らかにした。その上で、「日中関係が悪化する可能性の兆候 が見えていたことはまごうことなき事実だ」と指摘。「改めて日中関 係が重要な二国間関係であって、戦略的互恵関係の中身を豊かに充 実させる方向を両国とも努力しなければならない」と語った。

海上保安庁は8日未明、中国漁船と巡視船との尖閣諸島付近の 東シナ海で接触した事件をめぐり、漁船の船長を公務執行妨害の疑 いで逮捕、その後那覇地検に送致した。船長の拘留期限が29日に迫 る中、日中間では緊張状態がエスカレートしていた。

同志社大学の村田晃嗣教授は、船長釈放報道が伝えられる前に 「捜査、取り調べが完了していない段階で船長を釈放すると、この 種の圧力を加えれば日本は屈するという、長期的な日中関係にとっ て非常に悪い前例となる。」と語っていた。

中国首相

船長釈放問題をめぐっては中国の温家宝首相が22日、国連総会 出席のために訪れたニューヨークで、漁船船長の「即時かつ無条件」 の釈放を日本側に要求し、応じなければ一段の報復措置に出ると警 告した、と中国国営の新華社通信が報じた。

その後、建設会社フジタの社員が中国当局に取り調べを受けた ことが確認される一方、中国政府がレアアース(希土類)の対日輸 出を事実上停止したとの報道もあり、日本政府は情報の収集と対応 策に追われた。

仙谷官房長官は24日午前の閣議後会見で、フジタの社員4人が 中国の軍事施設保護法と刑事訴訟法に基づき、河北省で居住監視を 受けているという通報を同国政府から受けたことを明らかにした。

4人が許可を受けずに軍事管理区域を撮影したとして地元当局 に取り調べられていると新華社通信は報道していた。NHKは、こ うした報道は極めて異例で中国人船長の拘留が続いていることへの 対抗措置では、との見方が出ていると伝えた。

全面禁輸

また、米紙ニューヨーク・タイムズは23日、船長の釈放要求を 日本が拒否したため、中国の税関当局は、ハイブリッド車や電子部 品などに用いられるレアアースの対日輸出を全面的に禁止したと匿 名の業界関係者の話を引用して伝えた。

中国政府は、レアアースの対日輸出を禁止したとの報道を否定 しているが、仙谷長官は「事実関係をできるだけ早く把握したい。 事実が確認できたら、適切に対応したい」と述べた。

一方、NHKは24日、クリントン国務長官は23日夜、前原誠 司外相との会談で、尖閣諸島は、武力攻撃に対する措置を定めた日 米安全保障条約第5条の適用が明らかになされる、とした上で「日 中両国は、東アジア地域の安定にとって重要だ。日中両国が対話に よって、この問題を平和的に解決することを望んでいる」と述べた、 と報じた。

ただ、クローリー米国務次官補(広報担当)の説明によると、 クリントン氏は会談では単に、日中両国の対話を促進し、この問題 の早期解決を望んでいると、発言したという。その上でクローリー 氏は「われわれは尖閣諸島の主権に関してはいかなる立場も取らな い」と述べた。

--取材協力:Jim McDonald、駅 義則、小笹俊一、上野英治郎、菅真 澄Editor: Hitoshi Sugimoto, Kenzo Taniai, Takeshi Awaji

参考画面:記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 坂巻幸子 Sachiko Sakamaki +81-3-3201-7298 ssakamaki1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人  Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Bill Austin +81-3-3201-8952 billaustin@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE