バーゼル規制を阻むドッド・フランク法、格付け依存禁止が障害-米

【記者:Yalman Onaran】

9月24日(ブルームバーグ):オバマ大統領の署名で7月に成立 した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)が、証券化資産の保有 に対して義務付けられる銀行の資本比率に関する国際ルールの実施を 遅らせようとしている。

全24条で構成され、848ページに及ぶ金融規制改革法は、米国 の金融監督当局に対して、証券格付けへのあらゆる言及を施行規則か ら排除するよう求めている。国際決済銀行(BIS)バーゼル銀行監 督委員会は昨年、売買勘定内の証券化資産との対比で銀行が資本をど の程度保有すべきかを定める市場リスクに関する基準改定を承認した が、これは格付け会社の証券格付けに依存している。

そのような食い違いは、米当局にとって、ムーディーズ・インベ スターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に 頼らないメカニズムの開発が必要になることを意味する。バンカーや 法律専門家らは、こうしたプロセスが市場リスクに関するルールだけ でなく、バーゼル銀行監督委が今月合意した新たな資本・流動性規制 「バーゼルⅢ」の導入も遅らせる恐れがあると懸念している。

米国での導入が遅れれば、同国が過去の基準について合意を強く 推進したものの、実際の順守には消極的だと批判してきた欧州の監督 当局や政治家らに攻撃材料を与えることになりかねない。

米連邦預金保険公社(FDIC)の元法務担当者で、現在はワシ ントンの法律事務所マイヤー・ブラウンで金融サービス慣行担当の共 同責任者を務めるスコット・アネンバーグ氏は「米国での実施は他の 国・地域よりも困難なものになるだろう」と発言。「ドッド・フラン ク法の資本条項がもたらす複雑さがその理由の一つになる。いろいろ な理由から伝統的に監督当局の裁量に任されてきた問題に関して、政 治家が法制化しようとする際に物事を難しくする可能性がある」と話 す。

事情に詳しい関係者らが語ったところでは、連邦準備制度理事会 (FRB)とFDIC、通貨監督庁(OCC)、貯蓄機関監督局(O TS)は金融規制改革法の7月の議会通過の段階で、市場リスクに関 する規則案づくりをまさに終えようとしていたが、格付け依存への禁 止が盛り込まれたことで、振り出しに戻らざるを得なかった。代替案 を見いだすことは監督当局にとって大仕事になると関係者らはみてい る。

金融規制改革法939条項は、ムーディーズやS&Pが住宅ローン 関連証券に本来それに値しない投資適格級の格付けを付与したことへ の批判を反映している。数兆ドル相当のリスクの高い住宅ローンを組 み込んだ証券を安全な金融商品として流通させることによって、一連 の格付けが米国の住宅バブルをあおったと議員やエコノミストらは指 摘している。