債券続伸、日米の金融緩和観測や好需給で-長期金利は午後に1%割れ

債券相場は続伸。米国で金利低下 基調が続いていることや内外株安を手掛かりに買いが優勢となった。 現物市場では来週以降も好需給が続く見通しの上、日本銀行が追加金 融緩和に踏み切るとの観測も相場の下支え要因と意識されており、長 期金利は午後の取引で1日以来の1%割れを記録した。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、米景気に対 する市場の見方は気迷いながらも減速方向に軸足が乗っており、今後 も緩和期待がくすぶり続けると指摘。日銀に対しても緩和圧力がかか る見通しの下で金利低下の地合いはなかなか転換しないとも言う。

東京先物市場の中心限月の12月物は、22日と比べて24銭高い142 円89銭で開始。いったんは中心限月として8月31日以来の高値圏と なる142円93銭まで上昇し、その後は142円80銭台での小動きが続 いた。午後には一時142円70銭まで上げ幅を縮めたが、その後は再び 持ち直す展開となり、結局は23銭高の142円88銭で取引を終えた。

21日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は、 必要に応じて追加金融緩和の用意があると言及した。東京市場が祝日 となった23日の米国市場で金利低下やドル安・円高基調が続いたほか、 日経平均株価が続落したことが国内債市場で買い材料視された。

また、日銀がいずれ追加緩和に踏み切るとの観測が広がってきた ことも、当面の債券相場の下支え要因として意識されていた。ドイツ 証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、米国では11月の次回FO MCまで金融緩和が材料視されやすいため、為替市場での円高圧力の 高まりとともに日銀の追加緩和の思惑が強まると言い、「来週にかけて の好需給も相まって買いが入りやすい地合い」だとみていた。

為替は22日の東京時間に1ドル=84円台後半だったが、前日の ニューヨーク市場は84円30銭付近で推移。一方、米国株市場ではダ ウ工業株30種平均など主要な株価指数が22、23日の両日に小安い推 移が続き、米10年債利回りは23日の取引で一時は2.50%を下回った。

一方、東京市場の午後には、為替が84円60銭付近から一時は85 円40銭まで円が反落し、日経平均も小幅ながらプラス転換する場面で は債券売りが優勢となった。岡三アセットマネジメントの山田氏は、 円高一服が一時的に債券売りを促したとしながらも、市場は政府の介 入は円の急激な上昇を抑制するにとどまるとの見方が一般的であり、 そうであれば株式買い、債券売りが持続的に出るとは考えにくいと話 した。

外国為替市場では政府・日銀が円売り介入を実施したとの憶測が 広がり、午後1時過ぎにはドル買い・円売りの動きが強まった。野田 佳彦財務相は午後、財務省内で一部記者団に対し、為替介入について の質問に「ノーコメント」と語った。

10年債利回りは0.995%

現物市場で新発10年物の310回債利回りは、22日終値より1ベ ーシスポイント(bp)低い1.005%で始まり、午前には一昨日に続い て1.00%を付ける場面もあった。午後に入ると一時1.015%まで低下 幅を縮めたがその後は再び買いが優勢となり、3時前には2bp低下の

0.995%を付け、新発10年債としては1日以来の1%割れとなった。

米国では11月にも追加緩和が実施されるとの観測が広がる中、市 場では日銀による緩和的な政策運営を見込む声も出ており、当面の債 券相場を支える要因として意識されている。RBS証券の徐端雪債券 ストラテジストは、今後は日本の景気も鈍化していく見通しのため、 日銀の追加緩和実施の可能性は高いとみており、10年債利回りは今後

0.9%台で低下余地を探る展開と予想していた。

日銀の宮尾龍蔵審議委員は22日午後の記者会見で、量的緩和政策 について「かつての評価と現時点で当然変わり得る」と述べ、再評価 する可能性を示唆。長期国債買い入れに関する日銀券ルールの撤廃に ついても「今議論されている将来の選択肢の1つ」と述べている。

来週の10年債は1.0%中心か

市場関係者の間では、来週の10年債利回りは1.0%を中心に推移 するとの声が聞かれる。岡三アセットマネジメントの山田氏は、好需 給に加えて日米両国で緩和期待が広がるなど売り材料に乏しい環境だ と予想。その上で、「中間期末が接近するので投資家からは売り買い両 サイドの取引が出てくるとみられるが、下期に向けた運用ニーズもあ って買い優勢の地合いが続きそうだ」とみている。

週末は月末・月初に当たって景気指標の発表が続くほか、29日に は日銀が企業短期経済観測調査(短観)を公表する。ドイツ証の山下 氏は、市場では企業景況感の改善が見込まれているが、円高局面での 調査だったことへの懸念も残ると言い、「景況感が市場予想ほど改善し ていなければ債券市場が買いで反応することも考えられる」とみる。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、9月調査の短観で大 企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス7が予想されており、 前回の6月調査から6ポイント改善したもよう。大企業・非製造業の DIは3ポイント改善のマイナス2が見込まれている。

ただ、10年債の1%割れでは投資家から売りが膨らみそう。岡三 証券の坂東明継シニアエコノミストは、日米追加緩和観測を手掛かり に0.95%ぐらいまで買われる場面はあるとしながらも、8月後半の金 利低下局面のような投機的な側面はないとも言い、「今後1%を割り込 んでも滞空期間は短いだろう」と話した。

ドイツ証の山下氏は、長期金利には低下圧力がかかりやすいとみ ているが、10月7日の10年債入札が近づけば調整売りが出てくる可 能性が高いとして、「週初に買いが先行するようだとその後は戻り売り 優勢の展開ではないか」との見方を示した。

--取材協力:近藤雅岐 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 赤間信行 Nobuyuki Akama +81-3-3201-8842 akam@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net