宮尾日銀委員:量的緩和政策の再評価も-国債購入も選択肢

日本銀行の宮尾龍蔵審議委員は22 日午後、徳島市内で会見し、政策の効果と副作用はその時々の経済、 物価情勢によって変わってくるため、量的緩和政策についても「かつ ての評価と現時点で当然変わり得る」と述べ、再評価する可能性を示 唆した。長期国債買い入れに関する日銀券ルールの撤廃についても「 今議論されている将来の選択肢の1つかと思う」と語った。

日銀は長期国債の買い入れについて、長期国債保有額を日銀券発 行残高以内に抑える日銀券ルールを定めている。宮尾委員は「特定の 手段を排除することなく、あらゆる手段を選択肢の上に乗せて、その 効果と副作用を入念に精査、検討していく」と繰り返し強調した。

白川方明総裁は9日の参院財政金融委員会で、2001年から06年 にかけて行った量的緩和政策について「多くの研究がなされているが、 資金供給量の拡大は金融システムの安定には貢献したが、景気や物価 の刺激効果は限定的だったというのが大方の見方だ」と言明。日銀券 ルールの撤廃についても否定的な見解を示していた。

宮尾委員は同日午前の講演で指摘した「米国経済のやや長い目で 見た低成長に陥るリスク」について「非常に高まっていると判断して いる」と言明。「下振れリスクをこれだけ注視しているので、どのよ うな政策オプションをとり得るのか、さまざまな政策オプションの効 果、副作用等を慎重に点検し、適時適切に、そのタイミングが来たら 政策を行えるように準備をしっかり行っていきたい」と述べた。

効果と副作用を入念に点検

量的緩和政策も選択肢になり得るのか、との質問に対しては「効 果と副作用の検討は当然その時々の経済、物価情勢によって変わって くるものだ」と指摘。「量的緩和政策の評価についても、かつての評 価と現時点での評価も当然そのロジックで変わり得るものと思うが、 いずれにしても経済、物価情勢に応じて、効果と副作用を入念に精査、 検討し、最も適切な政策を選択していく」と述べた。

長期国債買い入れ増額についても「それも今議論されている将来 の選択肢の1つかと思うが、将来の政策オプションに関してはあらか じめどれかを排除したり念頭に置くということなく、すべての選択肢 の効果と副作用を入念に点検して適時適切に判断していく」と語った。

政府は15日、大規模な円売り介入を実施した。これを受けて、白 川方明総裁は「今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく」と する談話を公表。日銀が介入により放出された資金を市場に放置する 「介入の非不胎化」を行うとの見方が広がった。池田元久財務副大臣 (現経済産業副大臣)は16日開かれた民主党財務金融部門委員会終了 後、「日銀には非不胎化介入をやってもらっている」と述べた。

非不胎化か不胎化か論点とせず

日銀が介入の非不胎化を行っているのかとの質問に対し、宮尾委 員は「非不胎化か不胎化か、そういう論点でわれわれは考えているわ けではなく、強力な金融緩和を推進して、金融市場に潤沢な資金供給 を行っていくということに尽きる」と述べるにとどめた。

東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは「市場の期待を 利用」することによって「ゼロ金利政策や長国買い入れなどに追い込 まれるのを防ぐといった意図が日銀にあるのかもしれない」が、そう だとすれば、「それはかえって市場の追加緩和期待を醸成し、薮蛇( やぶへび)となりかねない」としている。

政府の為替介入に伴い、それまで15兆円前後で推移していた日銀 の当座預金残高は17日に17.1兆円、21日に19.4兆円と大きく増加 している。宮尾委員は「金融市場では銀行券の受け払いや、さまざま な財政資金の動きを反映して日々膨大な額の資金が供給されたり引き 揚げられたりしている。為替介入によって供給された資金の動きもこ うした市場全体の資金の流れの一部をなしている」と指摘した。

介入資金も利用して潤沢に資金供給

その上で「日銀は政策金利を0.1%まで引き下げること、それに 8月末に6カ月物の固定金利オペを新たに導入して、資金供給を大幅 に拡大することを通じて、強力な金融緩和を推進している。その中で、 介入資金を含むさまざまな資金の流れも利用しながら、金融市場に潤 沢な資金供給を行っていく方針だ」と述べた。

介入に伴う当座預金残高の増加は事実上の金融緩和の強化なのか、 との質問に対しては「潤沢な資金供給を行っていくというメッセージ が総裁からも発せられているかと思うが、そういうふうにご理解いた だきたい」と発言。政府が再度介入に踏み切った場合、日銀も今回同 様、当座預金を引き上げるのか、との質問に対しても「現在推進して いる強力な金融緩和を引き続き推進していく」と述べるにとどめた。

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