武田薬:中国事業に本腰、15年までに売上高10倍目指す

アジア最大の医薬品メーカー、 武田薬品工業は、中国での売上高を向こう5年間で10倍に増加するこ とを目指す。長谷川閑史社長が明らかにした。中国事業拡大に向けて 新たな経営トップを起用するとともに、現地販売担当者の社外流出に 歯止めをかける方針だ。

長谷川社長(64)は22日のインタビューで、中国での年間売上高 を4000万ドル(約34億円)に乗せるのにこれまで苦戦してきた理由 として、現地販売戦力の少なくとも半数が毎年退社していることを挙 げた。武田薬品は世界で最も売れている糖尿病治療薬「アクトス」を 製造している。

同社長は、われわれは中国で何度も好機を逸してきたが、「最後の チャンスをとらえようと努めている」と述べた。

武田は中国事業の経営改善に向け、米製薬大手メルク傘下万有製 薬の社長を務めた平手晴彦氏を7月にアジア事業責任者に任命。長谷 川社長はまた、天津に拠点を置く中国部門の新ゼネラルマネジャーが 年内に業務を開始すると述べた。

ロンドンに拠点を置くデータモニターによると、中国の医薬品販 売は05年以来毎年約23%増加し続け、昨年229億ドルに達した。長 谷川社長はこうしたペースが向こう4、5年間続くとの見方を示した。

離職率

長谷川社長によると、同社中国部門の販売担当者の約50-60%が 毎年退社している。他社の平均離職率は約10-20%だという。同社長 は「中国市場でのわれわれは既に非常に有望な医薬品を保有している。 大きな潜在性を持っているにもかかわらず、販売部門での高離職率を もたらしたマネジメントのまずさにより、中国でのこうした製品の販 売機会を最大化することができなかった」と指摘した。

武田は1994年に天津力生製薬との合弁会社への75%出資を通じ て中国に進出。両社の8月の発表資料によると、天津力生は持ち分 25%の売却を計画しており、武田は天津金融資産取引所での入札に応 札する意向だ。

データモニターによれば、海外医薬品メーカーの中国事業で1位 は米ファイザーで、4-6月期の中国での売上高は約5億ドルだった。 武田とファイザーは昨年12月、中国で「アクトス」の販売促進を共同 で行うと表明した。

インド・ロシア・豪州

同社長はまた、中国のほか、事業拡大でインド、ロシア、豪州を ターゲットにしており、試験薬の開発加速、約20年ぶりの減収に対処 するための買収先探しなどに取り組んでいることを明らかにした。

同社長は買収に利用できる資金約50億ドルを保有していると述 べ、「100億ドルは借りようと思えば容易に借り入れることができる」 と語ったが、取引の発表が間近かどうかについては言及を控えた。

武田の中国売上高は、グループ全体の10年3月期売上高1兆4700 億円の1%未満にとどまっている。

長谷川社長はこのほか、11年3月期の純利益は2200億円に減少 するとの見通しを示すとともに、安価な「アクトス」後発医薬品の投 入で利益が食われるため、13年3月期の純利益は12年ぶりの低水準 となる2000億円に落ち込むと予想した。

同社長はまた、インド市場への同社戦略を数カ月以内に発表する 意向を表明、キャッシュフローを増やすため後発医薬ビジネスへの参 入を検討する可能性を示した。

後発医薬品ビジネス

長谷川社長は、「インドを含む新興市場では、後発医薬品事業を持 つことがビジネスの道理にかなっているかもしれない」とした上で、 「その能力を活用して他の新興市場国を開拓できる可能性がある」と 指摘した。

同社長はアルツハイマー病やパーキンソン病といった中枢神経系 の病気が武田の医薬品開発の主要目標となるほか、がんやメタボリッ ク治療薬の開発も目指すと述べた。

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