ナノキャリ株急落、抗がん剤ダハプラチンのライセンス契約が終結へ

抗がん剤の研究・開発を手掛ける ナノキャリア株が急落。同社の有望新薬とみられてきた抗がん剤「ダ ハプラチン誘導体ミセル」について、海外提携先が同薬の世界的な開 発・販売権をナノキャリに返還する意向を21日に表明した。収益寄与 への期待が後退し、一時12%安の1万5900円と年初来安値を更新。 チャート上のいわゆる「窓」を開けての下げとなった。

ナノキャリは21日、ダハプラチン誘導体ミセル(開発コード:N C-4016/Debio0507)の全世界的な開発・販売権を供与していたスイ ス本拠の製薬ベンチャー、デビオファームがライセンス契約を終結し たいと通知してきたと発表。11年3月にライセンス契約が終結する予 定とした。

エース証券の池野智彦シニアアナリストは、「有望プロジェクトの ひとつと位置付けられていたため、次の海外提携先が見つかるまで、 株価の先行きは厳しい」との見方を示唆。ナノキャリの今後の方向性 を見極める上でも、「次の提携先がどこになるかが重要」と言う。

ナノキャリ社長室長の香浦敏樹氏によると、デビオは「オキザリ プラチン」というダハプラチンと同系統の抗がん剤を全世界で販売し ている。ナノキャリとライセンス契約を結んだ07年当時、デビオは、 オキザリプラチンの特許満了後のジェネリック(後発医薬品)浸透を 警戒、収益へのマイナス影響を少しでも軽減しようとダハプラチンの ライセンス取得に動いた。しかし実際には、オキザリプラチンは特許 満了後も販売が好調に推移。デビオ側は、ダハプラチンの開発負担な どを勘案し、ライセンスを返還する決断を行ったもようだ。

ナノキャリはダハプラチンの日本での商業化をめぐり、水面下で 複数の提携先候補企業と折衝を持ってきた。香浦氏は「ダハプラチン を世界で開発・販売する、となればパートナーもこれまでとは違った 意欲を示してくれるのではないか」と話している。