ドルほぼ全面安、米追加緩和観測で対円85円割れ-介入警戒くすぶる

東京外国為替市場では、前日の米 連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて、ドルが主要通貨に対してほ ぼ全面安となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が近く追加金融緩 和に踏み切るとの見方が強まったことが背景にあり、対ユーロでは約6 週間半ぶりの水準までドル安が進んだ。

ドルは対円でも1ドル=85円ちょうどを割り込み、一時、84円 78銭まで下落。ただ、政府・日銀による円売り介入への警戒感もあり、 その後はドルが下げ渋った。

中央三井信託銀行総合資金部の細川陽介主席調査役は、米国の追加 金融緩和観測がくすぶり、米債券利回りが低下するなか、「自然体で放 置すれば円高が加速するリスクがある」と指摘。政府・日銀は中間決算 対策として月内は為替介入を辞さない覚悟とみられるが、「米国の金利 先安観を背景としたドル売りが背景にあるだけに、再び円高が進行し、 日本が単独で介入を再び行ったとしても、その抑止効果は弱そうだ」と 語った。

ドルは対ユーロで一時、1ユーロ=1.3331ドルと8月6日以来の 安値まで下落。オーストラリア・ドルに対しては2008年7月以来の安 値を更新した。

また、ユーロ・ドル相場につられる形でユーロ・円相場は一時、1 ユーロ=113円16銭までユーロ高・円安が進んだ。113円台を付ける のは8月10日以来。前日にスペインやアイルランドが実施した国債入 札が順調で、欧州債務懸念が和らいだことが引き続きユーロの支援材料 となった。

追加緩和の用意

FRBは21日のFOMC終了後に発表した声明で、経済の先行き や金融情勢の展開を注視し、「必要に応じて、追加金融緩和を実施する 用意がある」との見解を示した。政策金利であるフェデラルファンド (FF)金利の誘導目標については、「長期にわたり」ゼロから

0.25%のレンジにとどめる方針をあらためて示した。

三井住友銀行市場営業統括部の山下えつ子チーフ・エコノミストは 、「FOMCでは追加緩和こそなかったものの、声明文は物価に焦点を 当てており、いかにもデフレを気にしていることが分かるような書き方 になっているという印象だ。すなわち、景気がものすごく悪くならなく ても、デフレの懸念があるならば追加緩和をするという意味だ」と解説 した。

FOMC声明は、景気回復と雇用拡大のペースが「過去数カ月に減 速した」と指摘。さらに「基調的なインフレを示す指標は現在、FRB が責務とする最大限の雇用確保と物価安定の促進に長期的に一致してい ると委員会が考える水準を、幾分か下回っている」としている。

FOMC声明を受け、21日の米国債市場では米2年債利回りが過 去最低に低下。日本の2年債との利回り格差は米金融当局が政策金利を 実質ゼロに引き下げた2008年12月以来で最小となった。

為替介入

菅直人首相は、先週の政府・日銀による為替介入は円相場の急激な 動きを抑えるために不可避だったと説明し、日本には円安につながる経 済政策と金融政策が必要だとの考えを示した。英紙フィナンシャル・タ イムズ(FT、オンライン版)が首相とのインタビューを基に報じた。

一方、日本銀行の宮尾龍蔵審議委員は22日午後、徳島市内で会見 し、金融政策運営について、「介入資金を含むさまざまな資金の流れも 利用しながら、金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針だ」と述べ た。また、「米国経済のやや長い目で見た低成長のリスクが今後どうな っていくのかについて慎重に見極めていきたい」とし、「必要と判断さ れる場合には適時適切に政策対応をとっていかなければならないと考え ている」と述べた。

青山学院大学教授の榊原英資元財務官は21日のインタビューで、 米景気の回復が順調とは言えない中、FRBは「さらなる緩和」に踏み 切る可能性があるため「どうしてもドル安・円高、アジア通貨高だ」と 指摘。介入による円反落は一時的で、戦後最高値の突破は「時間の問題 だ」と述べた。

--取材協力 関泰彦、野沢茂樹 Editor:Joji Mochida, Masaru Aoki

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