債券続伸、長期金利は一時3週間ぶり低水準-FOMCが追加緩和用意

債券相場は続伸。長期金利は3週 間ぶりに1%ちょうどまで低下する場面があった。米連邦公開市場委 員会(FOMC)の声明では追加金融緩和の用意があると言及してお り、これを受けた米国債相場上昇やドル安・円高が買い材料視された。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、FOMCからは 米国が中長期的なデフレや景気減速に配慮している様子がうかがえる と言い、「今後も折に触れ追加金融緩和の観測が広がり、米金利低下な どを通じて国内債市場も買われる展開」との見方を示した。

現物市場で新発10年物の310回債利回りは、前日比3.5ベーシス ポイント(bp)低い1.01%で開始。午前9時半前に1.00%ちょうどを 付けて、新発10年債として1日以来の低水準に到達した。その後しば らく1.01-1.015%でもみ合ったが、午後に売りが膨らむと一時は

1.03%まで低下幅を縮めた。午後4時現在では1.02%で取引されてい る。

米連邦準備制度理事会(FRB)が21日に開催したFOMCの声 明では、経済の先行きや金融情勢の展開を注視し、「必要に応じて、追 加金融緩和を実施する用意がある」との見解を示した。一方、政策金 利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、「長期にわた り」ゼロから0.25%のレンジにとどめる方針をあらためて示した。

FOMCの結果公表後に米国債市場では買いが膨らんで、米10 年債利回りは前日比13bp低い2.57%付近で引けたほか、為替市場で はドル安・円高方向に動く展開となった。

さらに、その後の日本時間では米10年債利回りは1日以来の

2.55%割れを記録したほか、為替相場は1ドル=84円台と1週間ぶり のドル安・円高で推移した。大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債 券運用第2グループリーダーは、もともと好需給が意識されていた国 内債市場に米国から買い材料が提供されたと言い、「超長期ゾーンを中 心に国内投資家の買いが膨らんだ」との見方を示した。

前日に続いて超長期ゾーンには買いが先行して、20年物の121回 債利回りが6.5bp低い1.725%、30年物の33回債は7bp低下の1.85% を付ける場面があった。

次回FOMCでの追加緩和の観測

米国では次回11月のFOMCに向けて追加緩和の観測がくすぶ りそう。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、バ ブル崩壊後の米国経済は厳しい状況が続くが、財政赤字拡大や政策金 利の低下によって手詰まり感が強いと言い、FRBは市場の追加緩和 実行への期待感を維持する必要があるとみている。

実際、8月10日の前回FOMC以降に発表された指標は市場予想 ほど落ち込まなかったものの、FRBは追加金融緩和に前向きな姿勢 を示した。HSBC証の白石氏は、FRBが今後の物価や景気見通し に慎重な姿勢を示している限り、米国の金利低下の要因となりやすい と指摘。そうであれば、「国内債市場では下期入りと前後して投資家の 買い圧力が強まる」との見方を示した。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は、11月以降に米国で追 加緩和が実施されるようだと、日米の緩和姿勢の違いから為替はドル 安・円高が進み、米国債相場も一段と買い進まれると言い、日本の長 期金利も1%割れで低下余地が拡大するとの見方を示した。

1%割れの買いには慎重

ただ、市場では新発10年債の1%割れでの買いには慎重な雰囲気 も残った。10月7日の10年債入札まで流動性供給を除くと長期ゾー ンの入札が実施されないことから、月末・月初にかけて好需給が続く 見通しだが、最近の金利低下が速かったことへの警戒感が広がった。

10年債利回りは8月後半に0.895%を付けて以降に上昇に転じ、 一時は1.2%目前まで上振れる場面があった。その後に再び金利水準 を切り下げる展開となっているが、日興コーディアル証券の野村真司 チーフ債券ストラテジストによると、6日に付けた1.195%からすで に20bp近くも低下したほか、金利急騰時に1%前後では値動きが荒か ったことから、いったんは戻り売りが出てもおかしくないと話す。

みずほ証の上野氏は、長期金利は当面のレンジの下限を模索する 動きとしながらも、超長期債主導でディーリング的な金利急低下とそ の後の反動を経験して日が浅いため、「10年債は1.0-1.2%程度のレ ンジを形成する」とみていた。

先物も3週間ぶり高値圏

東京先物市場の中心限月の12月物は前日比31銭高の142円69 銭で開始。朝方の売り一巡後に買いが膨らむと142円77銭まで上昇し て、中心限月として3週間ぶり高値圏に到達した。その後は徐々に上 値が重くなって午後は一時142円53銭まで上げ幅を縮めたが、引けに かけて再び持ち直しており、結局は27銭高の142円65銭で終了した。

あすに祝日を控えるタイミングに当たり、先物12月物には午後に 売りが優勢となる場面もあったが、きのうの日中高値142円51銭を下 回るには至らなかった。大和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、FOMC の追加緩和期待が広がったこともあって、下期に向けて債券残高の積 み増しを考える投資家が多いとみており、「先物についても利益確定売 りが出ても相場のトレンドを変えるものではない」と話した。

--取材協力:近藤雅岐、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

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