北海道「ニセコ」にアジア観光客大挙、外国開発資本流入で地価下支え

北海道西部の倶知安(くっちゃん) ――日本全国2万2000カ所を対象にした土地価格調査で価格が下がら なかったわずか1.5%の地域の1つだ。上質なパウダースノー(粉雪) で有名な倶知安のリゾート地区「ニセコ」にアジア系の観光客が目を向 けており、外国企業の開発資本も流入して地価を下支えしている。

21日発表の基準地価(7月1日時点)では調査地点の98.5%で地 価が下落した。この中で倶知安は、住宅・商業地ともに横ばいにとどま った。スキー目当てのオーストラリア人から、ここにきてアジア系まで 観光客のすそ野が拡大している。倶知安への外国人観光客数は2009年 度で06年度の2.3倍の16万8000人。06年度で全体の9%だったオー ストラリア人以外の観光客の比率は09年度で45%にまで上昇した。

こうした観光客取り込みを目指してマレーシア建設最大手のYTL はリゾート施設ニセコビレッジをシティグループから今春に買収した。 YTLにとって日本初進出のリゾート拠点になる。アジアなどの観光客 増加は続くと予想、200室を最大1000万ドルかけて改装することを皮切 りに、営業を続けながら施設を整備して観光客を取り込んでいく。

国際貿易投資研究所の鬼塚義弘客員研究員は、ニセコでの外国資本 の開発について「北海道で雇用が生まれる上、地元の食べ物や商品の消 費で地元経済の循環が良くなる」と歓迎した。倶知安町(山田地区)の 基準地価は2008年まで2年連続で上昇率全国1位。1平方メートルの 住宅地価格は2010年で3万円と06年比で88%上昇した。

YTLでホテル部門を統括するジェイムズ・マクブライド社長は 「5-10年でニセコは、スイスのサンモリッツやアスペンのようなアジ アナンバーワンのスキーリゾートなることができる」と述べた。さらに ゴルフやハイキングなどの施設整備にも力をいれてニセコを年間通じて 楽しめるリゾート地にして、「プライベートジェット機で来るような富 裕層もとりこみたい」と意気込む。

開発主役はアジア勢

ニセコは雪質の良さが注目され、2000年代前半から豪州資本の開発 が進んだが、開発の主役はアジア勢に移りつつある。北海道を中心にリ ゾート施設を展開する加森観光(札幌市中央区)は今春、ニセコの山田 温泉ホテルを中国人資産家に売却した。経営企画部の宮崎靖志部長は電 話取材で「北海道のリゾートはアジアの方々が購入を検討しており、こ のホテルにも売ってくれないかという話は多数来ていた」と述べた。

2007年には香港最大の電話会社PCCWの不動産部門PCPDが豪 州資本のスキー場を含むリゾート開発企業を買収した。PCCWのエグ ゼクティブ・ディレクターのウェンディ・ガン氏は電子メールで「国内 からも海外からも1年を通じて来てもらえる施設の充実に力を入れてい る」と答えた。さらに米国の高級リゾートグループのカペラも2012年 夏の開業を目指して開発準備を進めている。

倶知安町役場税務課の新保良人氏は電話取材に対し「売りに出され ている土地がもう殆どない状態」とまで話している。野村総合研究所の 北村倫夫コンサルタントは相次ぐ施設への開発投資について「バリで行 政が管理しているように客室の数に上限を設けるなどして、共倒れ、 『閉店休業』のような状態にならないようにしなければならない」と過 度の開発に警鐘を鳴らした。

北大観光学高等研究センターとニセコ町は14日、外国資本のニセ コでのリゾート開発を調査、街づくりに活かす連携協定を結んだ。経済 効果から住民の精神面に及ぼす影響までを調査して観光客と住民の双方 にメリットをもたらすあるべき開発の姿を追求していく。

--取材協力 東京 桑子かつ代、小野満剛 Editors: Eijiro Ueno, Junko Hayashi

向井安奈 Anna Mukai +813-3201-2083 amukai1@bloomberg.net