政府:中国は冷静対応を、証拠開示はせず-漁船衝突事件(Update2)

海上保安庁の巡視船との衝突事件 で中国漁船船長が逮捕されたことへの中国側の反発が強まっているが、 日本政府は中国に対し、日本の司法と政治の関係への理解と、お互い にナショナリズムを刺激することのないよう冷静な対応を求めている。

仙谷由人官房長官は21日午前の閣議後会見で、船長逮捕に対する 中国側の反発について「日本の司法の関係を理解してもらうように説 得をしなければならない。何よりも重要なのは、日本も中国も他の国 も含めてあまり極端なナショナリズムを刺激しないということを政府 の担当者としては心すべきだろうと」と呼び掛けた。

大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所・投資戦略部の 高橋和宏部長は、日中関係の悪化が株価や日本経済に与える影響につ いて「心理的に圧迫要因を与える。さらに悪化していくようであれば、 株には悪材料となる。中国との契約が絡む話に関してはマイナスに響 きそうだ」と語った。

菅直人首相は22日から25日にかけ、国連総会出席のためニュー ヨークを訪問する。オバマ米大統領との首脳会談は予定されているが、 中国側要人との会談は未定だ。

首相は21日夕、官邸で記者団に対し、「冷静に対応することが一 番重要だと思っている。戦略的互恵関係を深めるという考え方に基づ いて冷静に対応することが必要だ」と述べた。

交流停止

中国外務省は19日、同省ウェブサイトに発表した声明で、日本政 府は船長を無条件に釈放すべきだと要求。一方、国営テレビは、両国 関係が「深刻な打撃」を受けたと報じるとともに、外務省の見解とし て、中国が日本との閣僚級の交流停止や航空路線の増便に関する交渉 の中止などに踏み切ったとした。

仙谷氏はこうした中国側の方針について「中国当局のホームペー ジ等でそういうことが発表されているのは承知しているが、外交当局 に対しては通告を受けていない」と指摘。「戦略的互恵関係を結んでい るのだから、あまりエスカレートしない格好で解決していくというこ とをこちらの方からも、あらゆるチャネルを使ってやっていきたい」 と語った。

一方、馬淵澄夫国土交通相は21日の記者会見で、奈良市で22日 から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光相会合のため 訪日する中国国家観光局の祝善忠副局長の表敬訪問を受けないことを 明らかにした。

仙谷氏は午後の会見で、馬淵氏の判断について「わたしどもの理 解では対抗措置とかではないということだ」と指摘。「政府としては冷 静にクールダウンして、お互いがお互いの立場をできる限り理解をす るプロセスが必要だろうと考えている。馬淵さんはクールダウンの方 法として会うことを遠慮したいという話ではないか」と発言した。

ただ、仙谷氏は「こういう時だからこそ、いろんな交流とか理解 を求める行動、いろんなチャンスを活用してということが必要ではな いか」とも述べ、あらゆる機会を使って中国側に理解を求める努力が 必要との認識を示した。

ビデオ

一方、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した際に同庁が撮影 したとされるビデオを公開することについては「ビデオ自体も刑事事 件捜査の証拠。捜査が決着していない時に証拠をオープンにすること は原則としてあり得ない」と事件捜査中に公開する可能性を否定した。

ただ、「事件の処分がなされた段階で公益上の必要があれば証拠を 開示することができるという規定があり、公益性があるかないかによ って証拠を持つ検察庁の判断に任せるか、それを政府から促すことも ある」と述べ、公開に含みを持たせた。

--取材協力:北中杏奈、坂巻幸子、桧誠司, Chris Cooper Editor: Hitoshi Sugimoto, Tetsuki Murotani, Hidekiyo Sakihama

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