ドル下落、対円で85円台前半-FOMCで追加緩和示唆との思惑

東京外国為替市場ではドルが下落。 海外時間に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、米連邦準備 制度理事会(FRB)が追加金融緩和の可能性を示唆するとの思惑が ドルの重しとなった。

ドルは対円で1ドル=85円台後半から一時、85円27銭まで下落。 ただ、政府・日銀による円売り・ドル買い介入への警戒感も根強く、 一気に85円を割り込む動きにはつながらなかった。

三井住友銀行市場営業部・為替トレーディンググループの太田吉 昭グループ長は「FOMCでは何もないとは思うが、少し追加緩和を 期待している向きもある」とした上で、ドル・円相場については「86 円から上には輸出企業やオプション絡みのドル売りなどがあり、ドル の余剰感は相変わらず変わっていない」と指摘。先週の介入実施後、 日本の当局がドルを押し上げてこないということで、「85円を目指す 展開となれば、そこで当局の出方をうかがうということも考えられる」 と語った。

ドルは対ユーロで1ユーロ=1.30ドル台半ばから一時、1.3100 ドルまで下落。一方、ユーロ・円相場は1ユーロ=112円ちょうどを 中心に一進一退の展開が続いていたが、午後にドル・円が85円50銭 を割り込んだのにつれて円高が進み、一時、111円47銭を付けた。

FOMC

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、FOMC は21日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を「長期にわたっ て」現行の低水準で据え置き、米連邦準備制度理事会(FRB)が保 有する証券を一定規模に保つ意向をあらためて表明する可能性が高い。

みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは「FOMCでは大 きなサプライズはないとみられるが、緩和姿勢が維持されるというこ とであれば、基本的には日米金利差縮小ということでドルの頭を抑え やすい」と予想した。

また、クレディ・スイス証券債券本部外国為替営業部の北澤一夫 ディレクターは「金利も為替のマーケットもFOMC声明が若干ハト 派的(景気重視)になるのではないかという思惑は織り込み済み」と しながらも、実際に追加緩和がなかった場合でも「声明により踏み込 んだ量的緩和をするというニュアンスが入ってくれば米金利は下がり やすくなる」との見方を示した。

一方、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査に よれば、この日米国で発表される8月の住宅着工件数は前月比0.7% 増加の55万戸が見込まれている。先行指標となる住宅着工許可件数は 56万戸と前月から0.2%増加したもようだ。

同指標はFOMCの結果が判明する前に発表されるため、相場へ の影響は限定的となる可能性が高い。ただ、今週はこのほかにも7月 の米住宅価格指数や8月の中古および新築住宅販売件数など住宅関連 指標が目白押しで、住宅市場の低迷が鮮明となれば、米長期金利の低 下圧力が増し、ドルを圧迫する可能性があるとみられている。

為替介入

野田佳彦財務相は21日午前の閣議後会見で、菅直人首相の国連総 会出席に併せて行われるオバマ米大統領との二国間会談で為替介入が 議題になる可能性について「議論がどういう形になるか分からない」 としながらも、「為替介入の経緯については菅首相にも報告している。 しっかりご説明いただけるものと思っている」と語った。

政府・日銀は15日、円が対ドルで82円88銭と約15年3カ月ぶ り高値を更新した直後、6年半ぶりとなる円売り・ドル買い介入を実 施した。

みずほ証の林氏は、ドル・円相場について、政府・日銀による介 入の下支え効果もあり、短期的には84円程度がドルの下限となると予 想。一方、「FOMCや今週発表される住宅関連などの米国の経済指標 といった米国側の要因でなかなか86円は超えられない」とみている。

実際、市場では日本の当局は少なくとも国内企業の中間期末とな る今月末までは円高進行を阻止するため、介入を続けるとの見方があ る一方、米国や欧州が中国に人民元の切り上げを迫るなかで、日本が 大規模な円売り介入を継続するのは難しいとの思惑も根強い。

オバマ大統領はワシントンで開かれた雇用と経済に関するタウン ホール討論会で、中国が人民元相場の上昇を容認するために「確約し たことをすべて」実行しているわけではないとの見解を示した。大統 領は今週、国連総会が開かれるニューヨークで菅首相や中国の温家宝 首相とそれぞれ会談する。

21日の中国人民元は、1993年以来の高値に上昇。中国人民銀行(中 央銀行)は同日、元の対ドルの中心レートを2005年7月以来初めて1 ドル=6.7元を上回る水準に設定した。