景気は拡大すれど失業増大も-FRBがグロース・リセッション対策

米連邦準備制度理事会(FRB) のバーナンキ議長は昨年、不況回避のために全力を挙げた。ここにき て同議長らFRB当局者らは来年にグロース・リセッション入りしか ねないリスクへの対応策の決定を迫られている。

グロース・リセッションは、ニューヨーク大学の元教授(経済 学)、故ソロモン・ファブリカント氏による造語で、失業増大を阻止で きるほど景気が拡大していない状態を示す。米景気をめぐっては拡大 のペースが潜在成長率以下にとどまる可能性が出てきた。21日に開か れる連邦公開市場委員会(FOMC)は景況をめぐるジレンマを付き 付けられそうだ。米国の景気は追加金融刺激の必要性が明白なほど弱 くはないのだが、失業の拡大を阻止するほど十分強くはないかもしれ ないのだ。

ブルームバーグ・ニュースが今月、エコノミスト58人を相手に行 った調査では、27人が来年の成長率はFRBが長期トレンドとみる

2.5-2.8%を下回ると予想した。また、28人は失業率について、向こ う9カ月間中に先月の9.6%を上回ると見込んでいる。これら予想が 実現すれば、グロース・リセッションの要件を満たすことになる。

米メシロウ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、ダイアン・ スウォンク氏は、危機のさなかではいろいろと議論する余裕はないが、 危機終了後の景気が不確実な状態にある時、対処方法は一段と困難を 極めると指摘する。

FRBが抱える問題は、すでに政策金利のフェデラルファンド (FF)金利の誘導目標をゼロ近辺に据え置いているところに、国債 の購入拡大、バランスシート拡大など非伝統的な金融手段の是非をめ ぐり内部で意見対立が生まれていることで、一層、複雑な様相を帯び ている。

FRB内の意見対立

元FRB理事で、現在はコンサルティング会社マクロエコノミッ ク・アドバイザーズの副会長を務めるローレンス・マイヤー氏は、F RBについて「わたしの記憶する限り、これほど大きな意見対立があ ったことはない」と指摘する。

21日のFOMCでは新たな政策イニシアチブが導入されず、会合 後に大規模な資産購入プログラムを発表する公算が大きいとみるのは、 バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチ・グローバル・リサ ーチの先進国市場経済調査責任者、イーサン・ハリス氏だ。

米国が前回、グロース・リセッションに直面したのは2001年の景 気縮小からの回復に苦慮していた02-03年だった。02年の経済成長 率は1-3月に年率3.5%に上昇したが、その後は鈍化し、10-12月 (第4四半期)はわずか0.1%にとどまった。失業率は1月の5.7%か ら12月に6%に上昇した。

こうした中、FRBはFF金利の誘導目標を11月に0.5ポイント、 翌年の6月にはさらに0.25ポイントそれぞれ引き下げ、その結果、1% となった。

関心事は証券保有高の増加

現在、FF金利は実質ゼロの水準にあり、FRBの政策をめぐる 関心事はバランスシートと、国債を中心とする証券の保有高を増やす 可能性にシフトしている。バーナンキ議長は8月末に米ワイオミング 州ジャクソンホールで開かれた会議で、こうした証券の購入は金融情 勢の一層の緩和に効果があるだろうと述べながらも、効果の大きさに ついてははっきりしないとの見解を示していた。

ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのチーフエコノ ミスト、デービッド・レスラー氏は、FRB自身、資産購入が景気に 及ぼす影響について確信が持てるほどの研究は行っていないとしなが らも、景気が鈍化している現状からみて、21日に資産購入プログラム が発表されると予想している。