9月17日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ユーロ下落、アイルランド銀行懸念で

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが円に対して5週間ぶりの 高値から下落。ドルに対しても値下がりした。ユーロ圏の一部銀行で 損失が拡大するとの観測が再び強まった。

ユーロは円に対して8月10日以来の高値から下落。ドルに対し ては5日ぶりに下げた。銀行の損失によりアイルランドには外部支援 が必要になるとの観測が強まるなか、アイルランド国債と欧州の指標 国債との利回り格差は過去最大に拡大した。円はドルに対し週間では 7月中旬以来の大幅安となった。日本政府・日銀が15日に円高抑制 と輸出主導の景気回復支援に向け円売り介入に踏み切ったことが背景。

ナショナル・バンク・オブ・カナダの外為担当マネジングディレ クター、ジャック・スピッツ氏(トロント在勤)は、アイルランドの 「ニュースを受けてユーロ売りが出たのは意外ではない」と指摘。同 国の金融不安が再燃するとの観測は「ユーロに関して市場全体が持っ ているセンチメントに近い」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時34分現在、ユーロは円に対して前日 比0.3%安の1ユーロ=111円84銭。一時は同112円98銭まで 上昇する場面もあった。ユーロはドルに対して0.3%安の1ユーロ =1.3041ドル。一時は8月11以来の高値水準となる同1.3159 ドルまで上げた。円はドルに対してほぼ変わらずの1ドル=85円 77銭。

投資家による逃避資産買いが活発になるなか、スイス・フランは 主要16通貨に対する上昇率が最も大きかった。ユーロに対しては

0.9%高の1ユーロ=1.3170スイス・フラン。

アイルランドの政治

アイルランドの連立政権に参加している緑の党のジョン・ゴーム リー党首は、野党が提案したようにアングロ・アイリッシュ銀行の債 権者との条件見直しを検討した場合、国債スプレッドが拡大するだろ うと発言した。

ゴームリー党首はRTEラジオとのインタビューで「国債スプレ ッドが拡大するかも知れないため、極めて慎重に行動しなくてはなら ない」と述べた。

ブルームバーグのデータによると、アイルランド10年債とドイ ツ10年債のスプレッド(利回り格差)は一時387ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)まで拡大し、過去最大を記録した。

英銀バークレイズは16日の投資家向けリポートで、金融セクタ ーで新たな損失が発生するか、景気が悪化した場合、アイルランドは 外部支援を要請する必要があるかもしれないと指摘した。

バークレイズのアントニオ・ガルシア・パスカル、ピエロ・ゲッ ツィ両氏は同リポートで、こうした状況においては、同国政府は欧州 連合(EU)もしくは国際通貨基金(IMF)のいずれかに「外部支 援を要請する必要があるかもしれない」と記述した。

円は週間で下落

円は週間で主要16通貨すべてに対して下落。日本が輸出主導の 景気回復を維持するため、必要とあれば介入を継続するとの方針を示 したことが背景にある。ドルに対しては週間で2%安と、7月16日 終了週以降で最大の下落。

ゲイン・キャピタル・グループ傘下のオンライン為替取引会社F OREXドット・コム(ニュージャージー州ベドミンスター)のチー フストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は、「85円を超える円 高・ドル安となれば、日銀は再び行動に出ると当社は確信している」 と述べた。

◎米国株:上昇、テクノロジー決算の好調で

米株式相場は上昇。週間では4月以来の長期連続高となった。テ クノロジー企業の決算が市場予想を上回ったことから買いが優勢とな った。ただ、消費者信頼感指数が予想外の低下となり、上値を抑えら れた。

ソフトウエア2位のオラクルは、決算が市場予想を上回ったこと が好感されて上昇。スマートフォン(多機能携帯端末)「ブラックベ リー」を製造するリサーチ・イン・モーション(RIM)は5日続伸。 同社が示した売上高と利益の見通しはアナリスト予想を上回った。キ ャタピラーやディーアなどの産業株も買い進まれた。

S&P500種株価指数は前日比0.1%高の1125.59。この日 は方向感のない展開が続いた。前週末比では1.5%高で、週間ベー スで3週連続高となった。ダウ工業株30種平均は13.02ドル (0.1%)上昇し、10607.85ドル。ナスダック総合指数は0.5% 上げて2315.61。8営業日続伸で、2009年7月以来の長期連続上 昇となった。

PNCウェルス・マネジメントの主任投資ストラテジスト、ウィ リアム・ストーン氏は、「テクノロジー大手の好調な決算は心強い」 とし、「これら企業は今後一層の自社株買いや配当を実施するだろう。 私は相場が年末までに上昇するとの見方を強めた」と述べた。

米景気減速の兆候が強まるなか、S&P500種は4月に付けた 年初来高値から7.5%下げている。この下落で指数構成銘柄の予想 株価収益率(PER)は約12.2倍と、2009年3月以来の低水準 付近となっている。

テクノロジー株の上昇

S&P500種のテクノロジー株指数は今週4.4%高と、上げを 主導した。事情に詳しい関係者によれば、マイクロソフトは配当と自 社株買いの資金を調達するため年内にも、債券を発行する計画だ。ま たシスコシステムズは初の配当計画を明らかにした。これらを材料に、 テクノロジー株は買い進まれた。

オラクルは8.4%高の27.48ドル。同社の6-8月(第1四 半期)決算は、買収関連や他の一部費用を除いた1株利益が42セン トと、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均(37セント) を上回った。9-11月(第2四半期)の売上高については、同社は 少なくとも84億ドルとの見通しを示した。アナリスト予想は82億 1000万ドルだった。

RIMは0.5%の46.72ドル。一時4.8%高まで上げる場面 もあった。9-11月(第3四半期)について同社は、売上高が最大 55億5000万ドル、1株利益が最大1.70ドルとの見通しを示した。 アナリスト予想の売上高48億2000万ドル、1株利益1.39ドル をいずれも上回る。

産業株

S&P500種の資本財株指数は0.9%高と、主要10業種中で 最大の上げとなった。

建設機器メーカー最大手のキャタピラーは1.6%高の73.18 ドルで、ダウ平均の値上がり率トップ。同社は、6-8月の世界全体 での同社機械売上高が37%増加したと発表した。

農業機械メーカー最大手のディーアは4%高の72.45ドル。ロ シアのプーチン首相は、国内での農業機械の増産プロジェクトで、政 府がディーアに支援を提供することを明らかにした。

◎米国債:上昇、アイルランドの債務危機を警戒

米国債相場は7年債を中心に上昇。アイルランドのソブリン債危 機が深まっているとの懸念が「質への逃避」としての国債買いを支え た。

米消費者マインド指数が1年ぶりの低水準に落ち込んだことも国 債の買いにつながった。アイルランドの緑の党のジョン・ゴームリー 党首はRTEラジオのインタビューで、同国政府がアングロ・アイリ ッシュ銀行の債権者と条件見直しを検討した場合、国債スプレッド (利回り格差)が拡大するだろうと発言。

ジェフリーズ・グループのシニア金利トレーダー、クリスチャ ン・クーパー氏は、「市場はまだ、システミックリスクの高まりを反 映する材料には何にでも敏感に反応する」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時11分現在、7年債利回りは前日比3ベーシスポイント低 下の2.13%。同年債(表面利率1.875%、2017年8月償還)価 格は5/32上げて98 3/8。

10年債利回りは1bp下げて2.75%。週間ベースでは5bp 低下した。2年債利回りは1bp低下の0.46%。8月24日には過 去最低の0.45%を記録した。週間ベースでは10bp低下と、5月 7日以来で最大の落ち込みだった。

30年債利回りは2bp低下の3.91%。週間ベースは4bp上 昇した。前日は一時、8月13日以来で最高の3.96%をつけた。

消費者マインド指数

9月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は

66.6 と、前月の68.9から低下した。ブルームバーグ・ニュース がまとめたエコノミスト調査の中央値では70への上昇が見込まれて いた。

労働省が発表した8月の米消費者物価総合指数(季節調整済み) は前月と同じ前月比0.3%上昇。食品とエネルギーを除いたコア指 数 は前月比変わらずで、前月の0.1%上昇から鈍化した。

10年債と同年限インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は

1.8ポイントに縮小。同利回り格差の過去5年の平均値は2.1%と なっている。

CRTキャピタル・グループの国債ストラテジスト、イアン・リ ンジェン氏は、「一連の統計はインフレ加速を示す内容ではなく、そ れが米国債市場にとっての支援材料となっている」と述べ、「債券相 場のトレンドはやや上昇基調にあり、これまでとは反転している」と 指摘した。

アイルランド情勢

バークレイズのロンドン在勤のアナリスト、ピエロ・ゲッツィ氏 とアントニオ・ガルシア・パスカル氏は前日、アイルランドの金融部 門でこれ以上の損失が出た場合、あるいは景気が悪化した場合、同国 は外部支援が必要になる恐れがあると指摘した。

これに対しアイルランドのレニハン財務相は、政府が資金調達で 困難に直面してはいないと述べた。

◎NY金:連日の最高値更新、逃避需要で-一時1284.40ドル

ニューヨーク金先物相場は続伸。一時はオンス当たり1284.40 ドルまで上げ、2日連続で過去最高値を記録した。最高値更新は今週 3度目。金融市場の混乱を背景に安全な逃避先を求める買いが続いた。

金は年初来で17%上昇、銀は24%上げており、ともに株式や 債券、他の商品市場を上回っている。ソブリン債が懸念されるほか、 国や地域によって景気回復の速度にばらつきが見られ、金融市場が不 安定になっていることが背景にある。

リンド・ウォルドックの市場担当シニアストラテジスト、アダ ム・クロプフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は、「金相場は上昇ペ ースを加速させている」と述べ、「国民が不安定な金融市場におびえ 始めている。金は安全な逃避先として選好される資産になるだろう」 と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比3.70ドル(0.3%)高の1オンス=

1277.50ドルで取引を終了した。

◎NY原油:4日続落、米景気減速懸念で-終値73.66ドル

ニューヨーク原油先物相場は4日続落。米国の景気回復ペースが 減速しているとの思惑から、需要先細りが警戒された。

9月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は

66.6と、前月の68.9から低下した。これを嫌気し、原油は一時

2.4%下げた。政府報道官によると、カナダから米中西部へ原油を輸 送するエンブリッジ・エナジー・パートナーズのパイプライン「6A」 が稼動を再開した。同パイプラインは原油漏出で9日に操業を停止し ていた。

PFGベストのバイスプレジデント、フィル・フリン氏(シカゴ 在勤)は、「この日は消費者マインド指数が主な材料となった。消費 者が満足していなければ、需要は上向かないだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比91セント(1.22%)安の1バレル=73.66ドルで取引を終 了した。一時は7日以来の安値となる72.75ドルまで下げた。週間 では3.7%安。

◎欧州株:下落、アイルランド債務懸念や米経済指標で売り

欧州株式相場は下落。アイルランドの銀行が一段の政府支援を求 める可能性があるとの懸念や、米消費者マインド指数が予想を下回っ たことを背景に売りが優勢になった。一方、フランスの小売り企業カ ルフールは20億ドル(約1700億円)規模の店舗改装計画が好感 され、買いを集めた。

アイルランドには国際的な金融支援が必要になるとの懸念が高ま るなか、同国のアライド・アイリッシュ銀行や建設資材メーカーのC RHが大きく下落した。UBSが業績見通しを引き下げた英銀バーク レイズも安い。カルフールは小売株指数の上げをけん引し、同指数は 約2年ぶりの高値に上昇した。店舗改装計画発表を受けて、アナリス トの投資判断引き上げが相次いだ。

ストックス欧州600指数は前日比0.2%安の262.86で終了。 週間ベースでは0.7%安と、今月に入って初の下落。同株価指数は 5月に付けた年初来安値から13%戻しているが、世界経済の見通し と比べてこの上昇が正当化されるかどうかを投資家が見極めようとし ており、これで4日続落となった。

ベアリング・アセット・マネジメントの運用担当者、ジェーム ズ・バックリー氏は「経済指標は強弱まちまちの内容が続いているが、 10月の決算シーズンになるまではマクロ経済環境に引き続き市場の 関心が集まるだろう」と述べた。

アライド・アイリッシュ銀が安い

アライド・アイリッシュ銀行は11%安。アイルランド銀行は

7.1%下落。CRHは1.5%値下がり。

バークレイズは3.2%安。UBSはバークレイズの向こう3年 間の業績見通しを引き下げた。

カルフールは4.6%高の40.02ユーロと、終値ベースでは08 年6月以来の高値となった。

◎欧州債:独10年債上昇-アイルランドの銀行損失拡大を警戒

欧州債市場ではドイツ10年債相場が上昇。ユーロ圏諸国の銀行 損失が拡大するとの観測を背景に、域内で最も安全とされるドイツ国 債の需要が高まった。

この日は独2年債相場も上昇。7週間ぶり高水準付近にある利回 りが投資資金を呼び込んだ。アイルランドの緑の党のジョン・ゴーム リー党首はこの日、同国政府がアングロ・アイリッシュ銀行の債権者 との協議を検討した場合、国債スプレッド(利回り格差)が拡大する だろうと発言。これを受け、アイルランドとドイツの10年債のスプ レッドは過去最大に拡大した。

INGグループの先進国債券戦略部門の責任者を務めるパドライ ク・ガービー氏(アムステルダム在勤)は、「スプレッドに拡大への 圧力がかかると、アイルランド国債は他国債よりも大きく拡大する傾 向がある。最も脆弱(ぜいじゃく)と見られているためだ」と発言。 さらに「一部では国際通貨基金(IMF)による支援の可能性もささ やかれている。銀行セクターへの懸念や、一層の予算削減で景気を損 なうとの心配がこうした見方を強めている」と続けた。

ロンドン時間午後4時22分現在、独10年債利回りは前日比5 ベーシスポイント(1bp、bp=0.01%)低下の2.43%。一時 は2.51%まで上げ、先月10日以来の高水準を付けた。同国債(表 面利率2.25%、2020年9月償還)価格は0.43ポイント上げ

98.43。2年債利回りは3bp低下し0.78%となった。

◎英国債:10年債上昇、利回り3.12%-前週比では変わらず

英国債市場では10年債相場が上昇。同利回りは前日比3ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.12%。前週末比で は変わらずとなった。

英政府統計局(ONS)が今週発表した8月の英国の消費者物価 指数は前年同月比3.1%上昇と、エコノミストの中央予想値(3% 上昇)を上回る伸びとなった。イングランド銀行(英中央銀行)が 16日発表した四半期調査によると、英消費者の向こう1年のインフ レ期待は2008年8月以来の高水準となった。

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