長期金利:月内は1%中心の推移か、下期見据えた投資家需要が旺盛

国内債券市場では長期金利が月末 まで1%中心に推移するとの見方が出ている。民主党代表選で菅直人 首相が再選されたのを受けて財政拡張路線に転換するリスクが後退す る中、8月下旬以降に債券残高を減らした投資家の今年度下期運用を 見据えた需要が旺盛で、金利上昇を抑制するとみられるためだ。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、民主党代 表選を終えて国債の大幅増発への懸念が後退したと指摘。米国をはじ め世界的な景気減速といったテーマは健在なだけに、投資家は時間の 経過とともに下期の運用に乗り出すとみており、「今後しばらく長期金 利の位置取りは1%を挟む水準ではないか」と予想している。

長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、8月25日の日中 取引で7年ぶり低水準の0.895%を付けた後に上昇に転じ、今月6日 には1.195%まで上振れる場面があった。民主党代表選に財政積極論 者とされる小沢一郎前幹事長が出馬を表明したことが売り材料視され、 投資家はリスク回避目的で債券残高を圧縮したもようだ。

その後、財政規律維持に前向きな菅氏優勢の報道が出ても投資家 は様子見を決め込み、結局は14日午後の代表選の結果判明後に買いに 動いた。みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコ ノミストは、運用担当者は大きなイベント前の取引を敬遠する傾向が 強く、結果的に今回も債券買いが後手に回ったと解説する。

新発10年債利回りは民主党代表選の翌日に1.0%台半ばで始まり、 政府の円売り介入が実施されるといったんは1.10%まで戻した。しか し、その後は円安や株高局面でも買い優勢の展開が続き、16日午後に は約2週間ぶり低水準となる1.025%を付ける場面もあった。

債券買いそびれのトラウマ

決算期末前は取引を手控える傾向があるが、足元で投資家の買い がうかがえることについて、大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債 券運用第2グループリーダーは、「4月から5月にかけて債券を買いそ びれたトラウマがある」と話す。

今年度初めの4月こそ10年債利回りは1.4%台を付けたが、その 後はほぼ一貫して金利水準を切り下げる展開が続いて、8月末には7 年ぶりに0.9%台を割り込んだ。大和住銀投信投資顧問の伊藤氏によ ると、上期のような一方向の金利低下が続くとは想定しづらいとしな がらも、市場の大勢は金利上昇時の押し目買いに傾きつつあり、「10 月の下期入りまで待てない投資家が意外に多い」とみている。

来月7日の10年債入札まで、流動性供給を除くと長期ゾーンの入 札が実施されないことなどから月末・月初には現物需給が改善すると みられることも金利上昇余地を限定させる。東海東京証の佐野氏は、 9月いっぱいは1.1%台にも上昇しづらいとした上で、「年内を展望し ても直近高値1.195%が上限となり、一方で金利の下限は年内では8 月末に付けた0.895%、年度内では0.75%程度ではないか」と予想し ている。

中央三井信託銀行総合資金部の関一也次長は、投資家の金余りの 構図が変わっていないことから、債券運用に当たっては買いからは入 らざるを得ないと指摘。10年債利回りは6月に節目とされた1.2%を 下回ってから金利低下が加速したため、ここを上回るには相当の売り 材料が必要とも言い、「当面は1.1%台に買いの目線を置く向きが増え そうだ」と読む。

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