円が2週間半ぶり安値から反発、介入警戒で上値限定-85円前半維持

東京外国為替市場では円が対ドル で約2週間半ぶり安値付近から小反発した。久々の円安水準で国内輸 出企業などの円買いが出るとの思惑を背景に、円は前日の下げ幅を縮 小。もっとも、政府・日銀による介入警戒感もあり、円の上値は限ら れた。

ドル・円相場は前日の海外市場で付けた8月30日以来の円安値1 ドル=85円78銭付近で早朝の取引を迎えると、円がじり高となり、 正午すぎには一時、85円23銭まで円が上昇。その後は85円台前半で もみ合う展開となった。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松 本圭史氏は、介入の余韻が残るなか、「目先は例えば米国の指標下振れ でリスク回避的に円が買われ、85円割れをトライするような場面で再 び当局が動くかどうかが1つのポイントになる」と指摘。「あまり防衛 ラインは明示しない方がいいが、市場はそこを読みにいくので、しば らくは市場と当局の神経戦が続くだろう」と語った。

ユーロ・円相場も朝方に1ユーロ=111円62銭と8月11日以来 の円安値を更新した後、一時、110円66銭まで円が上昇。しかし、円 買いは続かず、欧州市場に向けては再び111円台を回復している。

NTTスマートトレード・工藤隆市場情報部部長は「朝方は国内 投資家がドル・円を売ったほか、短期筋の利食い売りがクロス円(ド ル以外の通貨と円の取引)で出ていたようだ」としている。また、ド ル・円の85円後半には「輸出企業のドル売りオーダーがかなりある」 との話も聞かれたという。

また、ユーロは対ドルで約1カ月ぶりの高水準となる1ユーロ=

1.30ドル台前半から一時、1.2976ドルまで軟化。午後にかけては下げ 渋り、再び1.30ドル台に値を戻した。

介入警戒感

菅直人首相は16日朝、都内で開かれた日本商工会議所の通常会員 総会で、政府・日銀が円売り・ドル買い介入に踏み切ったことについ て「円の急激な変動は決して許さない覚悟だ。今後も必要な時には断 固たる措置を取る」と強調した。

政府関係者は同日午後、一部記者団に対し、為替介入を同日行う かどうかについてコメントしないと述べた。また、今後の為替介入は 市場動向次第として、介入は昨日で終わったわけではないとの考えを 示した。

政府・日銀は15日午前、円が対ドルで82円88銭と1995年5月 以来の高値を付けたことを受け、約6年半ぶりとなる円売り・ドル買 い介入を実施。同日の欧米市場でも単独介入を断続的に実施したとみ られており、16日付の日経新聞朝刊は、介入額が1日では過去最大規 模となる2兆円超に達したもようだと報じた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部為替課長 の塩入稔氏は、政府が「円高阻止に向けた本気度」を示したことで、 投機筋にとっても円買いを仕掛けにくい状況になっていると指摘。た だ、「長い目でみれば日本の単独介入をもって円高局面が完全に終息し たとは言い切れず、本当の転換点とするためには、政府の成長戦略や 日本銀行による追加的な金融政策の発動の有無が焦点となりそうだ」 と語った。

日銀政策、人民元公聴会

日銀の白川方明総裁は16日午後、都内で開かれた全国証券大会で あいさつし、今後の金融政策について「不確実性が高い状況であるだ けに、先行きの経済・物価動向を注意深く点検した上で、必要と判断 される場合には適時適切に政策対応を行っていく」と述べた。また日 本経済はすう勢的な成長期待の低下に直面しているとし、景気の下振 れリスクに注意する必要を指摘した。

日興コーディアル証の松本氏は、政府が為替介入に踏み切ったこ とで、「ボールは日銀に投げられている」とした上で、21日の米連邦 公開市場委員会(FOMC)に向けて、「米連邦準備制度理事会(FR B)がどのようなスタンスを示すかを受けて、10月の日銀会合で一段 の策が打たれるかどうかが注目ポイントになる」と語った。

一方、米国では中国人民元に関する公聴会が開かれている。松本 氏は、日本の円売り介入について、欧米当局は今のところ黙認してい るが、「雑音が邪魔する可能性もあり、その点に関して米国の人民元対 策の動向も注目される」と話した。

ガイトナー米財務長官は16日、上院銀行委員会での公聴会で、米 国が人民元の上昇ペースに満足しておらず、中国に元の一段の上昇を 促すための方法を検討していると証言する。

米下院歳入委員会のレビン委員長は15日、中国の為替政策をめぐ る公聴会の冒頭で、日本の為替介入について「非常に気掛かり」な展 開だと述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE