9月15日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:円は3%急落、米国でも邦銀通じた介入継続観測

ニューヨーク外国為替市場では円が急落。輸出主導の景気回復を 脅かす円高に歯止めをかけようと、日本政府が6年半ぶりの円売り介 入に踏み切ったことから、円はドルに対して15年ぶり高値から下落 した。

円は1年10カ月ぶりの大幅安となった。野田佳彦財務相は、政 府が単独介入を実施したと発表した。円安に向けた行動を約束してい た小沢一郎前幹事長を破り、菅直人首相が民主党代表に再選された翌 日の行動となった。トレーダーの間では日銀が介入を継続するため、 ニューヨークの邦銀にドル買いを注文しているとの観測が広がった。

オンライン為替取引会社GFTフォレクスの調査ディレクター、 ボリス・シュロスバーグ氏(ニューヨーク在勤)は、「日本の第一の 目標は、ドルを対円で大きく上昇させることではなく、歴史的な安値 水準から浮上させることだ」と指摘。「介入のタイミングを賢明に見 極め、流れに抵抗せず流れに乗ったやり方だ」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時27分現在、円はドルに対して前日比

3.1%安の1ドル=85円71銭。一時は85円78銭まで下げ、08 年11月以来の大幅下落となる場面もあった。アジアの取引時間帯で は82円88銭と、1995年5月以来の高値を付けた。円はユーロに 対して3.3%安の1ユーロ=111円50銭。ユーロはドルに対して

0.1%高の1ユーロ=1.3010ドル。

スイス・フランはドルに対して0.7%安の1ドル=1.0033ス イス・フラン。ユーロに対しては0.8%下落。8日には過去最高値 の1ユーロ=1.2766フランに上昇していた。

モルガン・スタンレーは、対スイス・フランでのユーロ売りを勧 めることをやめた。日本の介入を受けて、スイスの中央銀行がフラン 上昇の抑制に向けて行動する可能性があることを理由に挙げた。

ニューヨークの取引

オンライン外為取引会社ゲイン・キャピタル傘下のフォレック ス・ドット・コムのチーフトレーダー、ティム・オサリバン氏による と、米市場でも邦銀がドル買いを入れ、邦銀を通じての介入継続が示 唆されている。

オサリバン氏は「一部の邦銀が日銀の注文に応じているとみて、 ほぼ間違いない」と述べた。

ニューヨークの日銀幹部は、介入継続についてのコメントを拒否 した。米財務省のナタリー・ワイス報道官は、日本の介入発表に関し てコメントを控えた。

政府当局者が匿名を条件に述べたところによると、日本政府は必 要とあれば、16日と17日にも為替市場での介入を継続する方針だ。

効果発揮の「可能性は極めて低い」

債券ファンド大手、米パシフィック・インベストメント・マネジ メント(PIMCO)のモハメド・エラリアン最高経営責任者(CE O)はブルームバーグラジオとのインタビューで、今回の介入が時間 とともに効果を発揮する「可能性は極めて低い」と指摘。この日の介 入にはサプライズの要素があったため、成功したと述べた。

みずほフィナンシャルグループのシニア為替トレーダー、柳原秀 敏氏(ニューヨーク在勤)は介入の規模を100億ドルと見積もって いる。

国際決済銀行(BIS)が8月31日に公表した3年ごとの中央 銀行調査によると、ドル・円相場の一日の出来高は4月に平均で 5680億ドルだった。これは外国為替市場全体の3兆9810億ドル の14%に相当する。

円はこの日、主要16通貨すべてに対して値下がりした。英ポン ドに対しては3.6%下落。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの藤井知子FX ストラテジストは顧客向けリポートで、日銀は円売り・ドル買い介入 を午前10時30分に開始したと記述した。

◎米国株:反発、5週間ぶり高値-合併・買収観測などで

米株式相場は反発。主な株価指数は5週間ぶりの高値をつけた。 企業の合併・買収(M&A)や株主還元策をめぐる観測から投資家は 楽観を強めた。

自社株買い計画の規模を引き上げたトラベラーズは2.8%高。 ダウ工業株30種平均の構成銘柄で上昇率トップとなった。ノベルは

5.9%上昇。身売りで合意したとのニューヨーク・ポスト紙報道が買 いを誘った。マッケソンはラザード・キャピタル・マーケッツによる 株価上昇予想を好感して上げ、ヘルスケア株をけん引した。

一方、タイム・ワーナー・ケーブルは顧客流出の可能性を示し、 株価は5%下げた。

S&P500種株価指数は前日比0.4%高の1125.07と、8月 9日以来の高水準となった。7月につけた年初来安値からは10%戻 している。ダウ工業株30種平均は46.24ドル(0.4%)上げて

10572.73ドル。

ロバート・W・ベアードのチーフ投資ストラテジスト、ブルー ス・ビトルズ氏は、「投資家心理は弱気からやや強気に変わりつつあ る」と発言。「経済指標が示す景気鈍化はすでに織り込まれている。 企業のM&Aや事業活動が活発になるのは経営陣の自信を示唆してい る」と語った。

S&P500種は年初から0.9%上昇。4月23日につけた年初 来高値を7.6%下回っている。今後1年間の業績予想を基にした株 価収益率(PER)は約12.2倍と、7月につけた1年4カ月ぶり の低水準である11.7倍に近い。

自社株買い、身売り観測

トラベラーズの最高財務責任者(CFO)、ジェイ・ベネット氏 は今年の自社株買いの規模予想を従来の40億ドルから45億-50 億ドルに引き上げた。

ネットワーク用ソフトウエアメーカー、ノベルは二分割して身売 りすることで原則合意した。ニューヨーク・ポストが協議に近い複数 の関係者の話として伝えた。

ハンティントン・アセット・アドバイザーズ(シンシナティ)で 133億ドルの資産運用に携わるピーター・ソレンティーノ氏は「企 業は手元の現金を使い始めている」と指摘。「景気見通しにとって良 い兆候だ。それは企業が明るい将来を予想し、合併や配当、自社株買 いに積極的に現金を使うことを意味している」と語った。

ヘルスケア株が高い

ヘルスケア株は0.8%上昇。S&P500種の全10セクターで 上昇率首位となり、5月以来の高値をつけた。

医薬品卸売り大手のマッケソンは5.4%高。ラザードが選ぶ推 奨銘柄のヘルスケア株部門にマッケソンが含まれたことを好感した。

ニューヨーク連銀が朝方に発表した9月の同地区の製造業景況指 数は4.1と、前月の7.1から低下した。これを嫌気し、株式市場 では売りが先行した。同指数ではゼロが製造業活動の拡大と縮小の境 目を示す。

オークブルック・インベストメンツのピーター・ジャンコウスキ ーズ共同最高投資責任者(CIO)は、「経済には明確な方向感がな い」と語る。「そのため、株式相場は現在の水準付近でもみ合ってい る。それはまだ景気がソフトパッチ(一時的な軟化局面)にあること を意味している。特に最近の強い上昇の後であることを考えると、下 落局面が近いかもしれない」と話した。

◎米国債:10年債3日ぶり下落、日本の短期米債買い観測

米国債市場では10年債が3日ぶりに下落。日本が2004年以 来初の為替介入に踏み切った後、次に償還期限の短い米国債を購入す るとの観測が背景。

10年債の2年債に対する上乗せ利回りは拡大。連邦公開市場委 員会(FOMC)が先月、債券購入プログラムの再開を発表して以来 の最大利回り格差に5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)内に迫った。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジ ャージー氏は、「市場参加者は日本の円売りドル買い介入の影響をあ らためて分析している」と述べ、「日本は米国債を購入すると予想さ れている。しかし問題はどの程度購入するかだ」と続けた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時24分現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.72%。同年債(表面利率

2.625%、2020年8月償還)価格は11/32下げて99 5/32。

30年債利回りは7bp上げて3.87%。2年債利回りは2bp 低下して0.48%だった。一時は8月25日以来の低水準となる

0.46%を付けた。5年債利回りはほぼ変わらずの1.44%。9月8 日以来の低水準となる1.39%まで下げる場面もあった。

日本の為替介入

円が対ドルで15年ぶり高値をつけ、日本は輸出産業への影響を 考え、為替介入に踏み切った。

トレーダーの間ではニューヨークの邦銀が日銀の代理としてドル 買いを続けているとの観測が広がった。野田佳彦財務相は、政府が単 独介入を実施したと発表した。

円は対ドルで最大3.2%下げて85円58銭。この日、1995年 5月以来の高値となる82円88銭に達していた。

10年債と2年債の利回り格差は0.04ポイント拡大して

2.23%。前日は2.27ポイントと前回FOMCが開催された8月 10日以来の最大に広がった。

ニューヨーク連銀が発表した9月の同地区の製造業景況指数は

4.1と、2009年7月以来の最低を記録、前月の7.1から低下した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は8へ の上昇だった。同指数ではゼロが製造業活動の拡大と縮小の境目を示 す。

また米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した8月の米鉱工業 生産指数(製造業、鉱業、公益事業の生産を対象、季節調整値、 2002年=100)は前月比0.2%上昇、ブルームバーグがまとめた エコノミストの予想中央値と一致した。

米金融当局による国債購入

5年債は一時上昇する場面もあった。FRBによる国債購入が影 響した。8月17日以降これまでにFRBが購入した国債は215億 3300万ドル相当。FRBは公開市場操作用口座、システム・オープ ン・マーケット・アカウント(SOMA)を約2兆540億ドルで維 持することを目指す方針を示している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、世界 のソブリン債の投資リターンは、米リーマン・ブラザーズ・ホールデ ィングスが崩壊した2年前からこれまでに約13%となっている。

◎NY金:過去最高値から反落、ドル上昇で需要減-1268.70ドル

ニューヨーク金先物相場は反落。ドルの反発で代替投資先として の金の需要が弱まり、前日の過去最高値から下落した。

この日は主要6通貨のバスケットに対するドル指数が一時

0.8%上昇。過去2日では2%下げていた。14日には、金はオンス 当たり1276.50ドルと、過去最高値を更新した一方、ドルは対円 で15年ぶりの安値まで下落した。

フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レ シュ氏(シカゴ在勤)は、「ドル上昇に反応した短期的な売りと、前 日の過去最高値を受けた利益確定の売りが出た」と指摘した。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比3ドル(0.2%)安の1オンス=1268.70ド ルで取引を終了。14日には2%高と、7カ月ぶりの大幅高となって いた。

◎NY原油:下落、パイプラインの稼動再開観測と円売り介入で

ニューヨークの原油先物相場は2週間ぶりの大幅安。カナダから 米中西部へ原油を輸送するエンブリッジ・エナジー・パートナーズの パイプラインが、操業を再開するとの当局者発言が材料視された。

パイプライン・危険物質安全庁シカゴ地区の上級エンジニア、カ ール・グリフィス氏は、エンブリッジのパイプラインは今週末には稼 動を再開すると述べた。日本政府・日銀は、円が対ドルで15年ぶり 高値を付けたことを受けて円売り介入を実施。エネルギー省の発表で は先週の原油在庫が予想通り減少し、原油の売り材料が重なった。

PFGベストのバイスプレジデント、フィル・フリン氏(シカゴ 在勤)は、「週末までにパイプラインの稼動が再開されるならば、供 給を心配する理由はない」と指摘。「原油はドルの動きに左右される ため、日本政府の円売り介入も押し下げ要因となった。」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比78セント(1.02%)安の1バレル=76.02ドルで取引を終 了した。年初からは4.3%下げている。

◎欧州株:下落、相次ぐ投資判断引き下げを嫌気-ドラックスが安い

欧州株式相場は下落。ストックス欧州600指数は続落となった。 石炭火力発電所を保有する英ドラックス・グループやコンピューター のマウス製造最大手、スイスのロジテック・インターナショナルなど の銘柄を売りに指定するアナリストが相次いだことが背景。

ドラックスとロジテックはいずれも大幅安。銅相場が値下がりす るなか、英・オーストラリア系のリオ・ティントを中心に鉱山株も下 落した。一方、増益決算を発表した英小売りのネクストは上昇した。

ストックス欧州600指数は前日比0.3%安の265.54で終了。 5月に付けた年初来安値からは14%上昇。ただ、4月に付けた年初 来高値からは2.4%値下がりしている。

オランダの保険会社エイゴン傘下のエイゴン・アセット・マネジ メントのストラテジー責任者、ビル・ダイニング氏(エディンバラ在 勤)は「投資家は短期間以外のポジションを組むことが非常に困難で あると認識しつつある」と指摘。「経済指標が強弱まちまちとなって おり、見通しは不透明なことが多い。こうした状況では、市場の見解 はさほどまとまっていない」と述べた。

ドラックスが安い

ドラックスは3.8%安。JPモルガン・チェースは同社の投資 判断を「ニュートラル(中立)」から「アンダーパフォーム」に引き 下げ、英国のガスと電力の価格が「下落方向にある」ためと説明した。 ゴールドマン・サックス・グループもドラックスの投資判断を「買い」 から「ニュートラル」に下方修正した。

ロジテックは3%安。ゴールドマンは同社を「コンビクション・ セル(強い売り推奨)」のリストに加え、業績見通しにリスクがある ことをその理由に挙げた。従来は「ニュートラル」を付与していた。

ネクストは6.7%高。同社の上期(2-7月)の利益は税引き 前ベースで前年同期比15%増加の2億1300万ポンドとなった。同 社は通期の利益見通しを維持し、1株当たり利益は13-18%増加す ると予想している。

◎欧州債:独国債は下落、日本の円売り介入でリスク資産に資金移動

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。日本の円売り介入の影響 で、域内で最も安全とされるドイツ国債に対する需要が後退した。

独2年債相場も下げた。この日発表された8月のユーロ圏消費者 物価指数が前月比0.2%上昇したことが背景にある。15年ぶりの円 高を受け、日本銀行と政府は2004年以来で初の円売り介入を実施 した。この日はドイツ政府が10年債を44億ユーロ入札、ポルトガ ル政府は12カ月物証券を7億5000万ユーロ発行した。

コメルツ銀行の債券ストラテジスト、デービッド・シュナウツ氏 は、「日銀の介入がリスク資産への追い風となり、これが波及してド イツ国債に悪影響を与えた」と指摘。「ドイツの国債入札はまずまず 堅調だったが、ポルトガルの入札結果はあまりよくなかった」とも述 べた。

ロンドン時間午後4時24分現在、独10年債利回りは前日比3 ベーシスポイント(1bp、bp=0.01%)上昇し2.41%。13 日には2.47%まで上げ、先月11日以来の高水準を付けた。同国債 (表面利率2.25%、2020年9月償還)価格は0.26ポイント下げ

98.64。2年債利回りも3bp上げ0.76%。

◎英国債:10年債、3日ぶり下落-日本の円売り介入でリスク意欲

英国債相場は3営業日ぶりに下落。日本政府・日銀が円売り介入 を実施した影響で、比較的安全な資産とされる国債に対する需要が減 少した。

15年ぶりの円高を受け、日本当局は2004年以来となる円売り 介入を実施した。イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁はこ の日、買い入れコストの大幅な上昇回避に向けて 英政府は「信頼し 得る」財政赤字削減案を実施する必要があるとの見解を示した。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の資本市場戦略担当ア シスタントディレクター、オーランド・グリーン氏は、「市場介入は 異なる形の景気刺激策だ」と発言。「英国債にとっては、二番底観測 が弱まり、世界的な景気回復についての悲観的な見方が後退した」と も述べた。

ロンドン時間午後4時27分現在、10年債利回りは前日比3ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.09%。同国債 (表面利率4.75%、2020年3月償還)価格は0.23ポイント下げ

113.57。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro, Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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