PIMCO、「米国の10年は失われない」に81億ドルの賭け

債券ファンド大手、米パシフィッ ク・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、米経済が1990 年代から日本を襲ったような長期の景気低迷・デフレ、いわゆる「失 われた10年」に陥ることはないとの予想に81億ドル(約6900億円) を賭けている。

これは、PIMCOの投資信託が今年1-6月に結んだ米消費者 物価指数(CPI)に連動する長期デリバティブ(金融派生商品)契 約の総額(想定元本)だ。規制当局への届け出から分かった。PIM COはこれらの契約について、前払い金として7050万ドルを受け取っ た。インフレフロアと呼ばれるこのデリバティブは2020年までの10 年間に物価が下落した場合、PIMCOが投資家に合意された額を支 払うというものだ。

PIMCOのインフレ連動米国債(TIPS)に投資するファン ドのポートフォリオマネジャー、ミヒール・ウォラ氏は電子メールで 質問に答え、「米国の物価が10年間で横ばいとなる、または下落する という可能性は低いと考えている」と説明。「オプションはリスクとの 比較において価格は高めになっている」と付け加えた。

デフレに備える保証契約の保証料は1月に比べ2倍になっている。 米景気減速の兆候を受けてカナダの保険会社フェアファックス・ファ イナンシャル・ホールディングスなどがこのデリバティブを購入した。 セントルイス連銀のブラード総裁は、米経済が日本のような停滞に見 舞われる可能性があると発言。PIMCOのモハメド・エラリアン最 高経営責任者(CEO)は先月、米国がデフレに陥る確率は25%前後 との見方を示した。

インフレフロア

エラリアンCEOは平均並み以下の成長と高失業率が長引き世界 経済の中で米国の地位が低下するという「ニューノーマル」(新たな標 準)説を唱えている。デフレはこの説の中心的シナリオではないもの の、デフレの懸念が最近の金融市場での売りの一因かもしれないと同 氏は指摘した。

PIMCOの6月の届け出によれば、同社は3月に10年物インフ レフロアの販売を始めた。8月の米証券取引委員会(SEC)への届 け出では、4月にもさらに販売したことを明らかにした。今年1-6 月にこの商品を販売したPIMCOのファンドは25本だという。ビ ル・グロース氏が運用する「トータル・リターン・ファンド」が、想 定元本総額81億ドルのうち65億7000万ドル分を販売した。

国債利回りが記録的低水準にある中で、これらの契約からの保証 料はファンドの収入を補う。一方で、保険金支払いが必要になった場 合の損失は限定的だ。デフレの場合は、1兆1000億ドル相当のPIM CO運用資産の大半を占める債券が値上がりするからだ。