円相場、日本企業の「防衛線」はとうに突破-介入の恩恵は限定的

政府・日銀が6年半ぶりに円売り 介入に踏み切り、円高に苦しむ日本企業はひとまず歓迎の姿勢をみせ ているが、今期の想定為替レートは現在よりもはるか円安の水準にあ るのが実情。為替相場が多少円安に振れても収益を圧迫する構図に変 わりはなく、政府・日銀にさらに政策努力を求める声が相次いでいる。

日本商工会議所の岡村正会頭(東芝相談役)は15日の定例会見で、 政府・日銀の為替介入について「適切な措置だった」とコメントしな がらも、「正直申し上げて適正水準は95円レベル」と指摘、企業の多 くは90円を想定していると述べ、「できるだけ早い時期に90円台に戻 す覚悟が必要」と訴えた。

円相場は、菅直人首相が民主党代表に再選された14日、ニューヨ ーク市場で一時1ドル=82円台に突入したのに続き、15日の東京市場 でも再び82円台に上昇、政府・日銀は15日午前、単独で円売り・ド ル買いを実施し、相場は85円台まで下落した。仙谷由人官房長官は定 例会見で、通貨当局は82円台を防衛線と考えているとの見方を示した。

アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治ディレクターは「自動 車メーカーにとっては2円円安になったからといって、大差があるわ けではない」と言い、「多くの自動車メーカーが前提を90円に設定し ており、84円では日本で生産して輸出をすることで利益を出せる状況 ではない」と述べた。ただ、為替予約が進んでいる関係もあり、実際 の影響が出るには時間がかかるとの見方を示した。

勝てるはずはない

15日の東京株式相場は介入を受け上昇、日経平均株価は前日比

2.3%高の9516円で終了。ソニーの株価は同4.1%高の2596円。自動 車メーカーもトヨタ自動車が3.8%高の3010円、マツダが6.4%高の 201円などと上昇した。

大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭(京阪電気鉄道最高経営責任者兼 取締役会議長)は、「現在の円高水準は、リーマンショック以降、企業 が重ねてきた経営努力を帳消しにしてしまう」と述べた上で、政府・ 日銀の「強い姿勢」を歓迎、「為替介入と歩調を合わせ、一段の金融緩 和に踏み切ることにより、円相場の是正とデフレ脱却を図ることが肝 要だ」と主張した。

海運100社超で組織する日本船主協会の宮原耕治会長(日本郵船 会長)は15日の定例会見で、為替介入に関して「やや遅過ぎた感があ る」と述べながらも、「評価したい」と述べた。ただ「個人的には100 円程度が適正水準」との見解を示し、1ドル=80円台前半では外航海 運業界だけでなく、ほとんどの輸出企業が「勝てるはずはない」と指 摘した。

宮原氏はさらに、「新政権は今後、次々と為替・景気対策を打ち出 すなどの断固とした措置を取り、円高を放置しない姿勢をきちんと示 してほしい」と訴えた。

--取材協力 東京:萩原ゆき、駅義則、松田潔社、Jason Clenfield 大 阪:堀江政嗣 Editors :Kenzo Taniai, Norihiko Kosaka

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