通貨オプション:円安に備えてヘッジも-6年半ぶり円売り介入で

政府・日銀が約6年半ぶりの円売 り介入を実施したことを受け、通貨オプション市場では今後、円の下落 に備えるヘッジの動きが強まる可能性がある。円相場はこの日、約15 年3カ月ぶり高値を付けた後、急落している。

ブルームバーグ・データによると、ドル・円オプションの1カ月物 のリスク・リバーサル(25デルタ)はこの日、マイナス1.5%からマ イナス1.24%まで縮小している。

三菱東京UFJ銀行金融市場部通貨デリバティブグループの佐原満 次長は、「きょうのきょうなのでまだ目立った動きはないが、中期的に はオプション市場で円安方向を見据えた動きも出てくるだろう。介入に より(1ドル=)82円台は遠くなってきた雰囲気もあり、今後、上の ドル・コール(ドルを買う権利)を買ったり、下のドル・プット(ドル を売る権利)を売ったりする動きが出てくる可能性はある」と語る。

リスク・リバーサルは、ドルのプットオプションとコールオプショ ンの傾きを示し、マイナス幅が小さいほど、ドル・プットの需要がド ル・コールの需要との比較で減退していることを示す。

佐原氏は、「介入前は放っておけばじわじわと円高が進むとの見通 しがあったため、ドル・プットを買う興味もあったが、実際に介入があ るとそうした興味も薄れるだろう」と指摘する。

リスク・リバーサルは5月下旬にマイナス4%近くまで拡大。それ 以前はおおむねマイナス幅が1%を下回っており、3月末にはプットと コールのどちらにも偏りがない「パー」に近い状態となっていた。

政府・日銀が円売り介入実施-6年半ぶり

15日の東京市場では円が対ドルで1ドル=82円88銭と1995年 5月以来の高値を更新した後、85円台前半まで急落。野田佳彦財務相 は、同日午前に円売り・ドル買い介入を日本単独で実施したことを明ら かにした。

政府・日銀による円売り介入は2004年3月以来、約6年半ぶり。 日本経済がバブル崩壊後の低迷と長期デフレに苦しんでいた当時、03 年から積極的な円売り介入を繰り返し、その総額は35兆円に上った。

佐原氏は、「介入については単独では効果がないとの議論もあるが 、まだ分からない。やるからには当局も続けるだろうし、委託介入など いろいろとやり方もある。今後どれだけしつこくやるかだ」と語る。そ の上で、「ドル・円が85円台などにしっかりと乗せてくれば、リス ク・リバーサルはマイナス1%を割り込むこともあり得る」と予想。一 方、今後、市場が「介入慣れしてくるにつれ、ボラティリティは徐々に 低下するとみている。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は、 政府・日銀の介入を受け、ドル・円相場は当面は83円から86円のレ ンジでの展開になると予想。その上で、「86円を抜けてくれば、リス ク・リバーサルが一段と縮む可能性はある。ただ、86円台では当然ド ル売りも出てくるだろうし、今のところ政府が85円台でも介入すると は考え難い」と語る。

将来の相場の変動率の予想を示すドル・円のインプライド・ボラテ ィリティ(IV)は、1週間物が6月7日以来となる15%台まで上昇。 1カ月物は12.9%と1週間ぶりの高水準となっている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE