野田日銀委員:介入資金使い潤沢に供給-当預増には否定的

日本銀行の野田忠男審議委員は15 日午後、下関市内で会見し、政府が同日午前に外為市場で円売り介入 を行ったことを受けて「日銀としては、この介入の資金も視野に入れ ながら、潤沢な資金供給を行っていくことになるのではないか」とし ながらも、「介入額がそのまま日銀の当座預金残高の増加にストレート に結び付くと現時点で考えているわけでもない」と語った。

円売り介入に協調して追加緩和に踏み切る可能性については「先 行きの経済、物価動向によっては政策対応も否定はしないが、政府の 今回の措置に直接結び付けて私どもの政策を考えるということは私自 身全く考えていない」と述べ、否定的な見方を示した。

野田佳彦財務相は同日午前、財務省内で会見し、急速な円高進行 を受け、同日午前10時35分には円売りドル買いの為替市場介入を実 施したことを明らかにした。仙谷由人官房長官は同日午前の会見で、 1ドル=82円が一つの防衛ラインかとの質問に対して「財務相のとこ ろでそういうふうにお考えになったんだろうと思う」と述べた。

円売り介入を受けて白川方明総裁は「為替市場における財務省の 行動が、為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。 日銀としては、強力な金融緩和を推進する中で、今後とも金融市場に 潤沢な資金供給を行っていく方針である」とする談話を公表した。野 田委員は総裁談話について「私も全く同意見だ」と述べた。

非不胎化との報道も

野田委員は、潤沢な資金供給の具体的な在り方については「これ までの金融政策を駆使し、また、現在途上にある固定金利オペ(新型 オペ)なども順次実行することを通じて、潤沢な資金供給を続けると いうことだ。総裁談話にある『日銀としては、強力な金融緩和を推進 する中で、今後とも金融市場に潤沢な資金供給を行っていく方針であ る』という以上のものでもないし、以下のものでもない」と述べた。

日本経済新聞は同日付夕刊で、円売りドル買い介入で市場に供給 される資金を日銀があえて吸収せず、事実上放置する方針を固めたと 報じた。金融市場における資金量を増加させることで、金融緩和に近 い効果を生み出すのが狙いで、為替介入と、資金を放置する「非不胎 化」を同時に行うことで、円高阻止の姿勢を鮮明にするとしている。

野田委員は「介入資金は一時的には金融市場への供給要因となる。 従って日銀としては、この介入の資金も視野に入れながら潤沢な資金 供給を行っていくことになるのではないかと個人的かつ現時点では考 えている」と述べた。ただ、「だからと言って、介入額がそのま ま日銀の当座預金残高の増加にストレートに結び付くと現時点で考え ているわけでもない」と述べた。

不胎化、非不胎化論争には乗らず

さらに、「基本的に私どもの資金供給あるいは金融調節を語る場 合、非不胎化とか不胎化というベースで議論をしていくつもりは私に はない」と言明。「少なくとも私の頭の中には、不胎化とか非不胎化 といったベースでの物の考え方はない」と繰り返し強調した。

また、「介入が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期 待しているが、それがそのまま私どもの政策に何らかの形で結び付く のかと言われると、答えはそうではない」と言明。「今後得られる情 報をベースに入念に点検した結果、先行きの経済、物価動向によって は政策対応も否定はしないが、政府の今回の措置に直接結び付けて私 どもの政策を考えるということは私自身全く考えていない」と語った。

野田委員は同日午前の講演で「仮に下振れリスクが顕現化し、経 済情勢の見通しが著しく悪化するがい然性が高まり、デフレからの脱 却までの道のりが不確かなものになったと判断される場合は、必要と 判断される政策手段を迅速かつ果断に実行しなければならない」と述 べた。

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