日本株は急反発、円反転で輸出中心買い-介入受け相場一変

東京株式相場は急反発。政府と日 本銀行が為替市場で円売り介入を実施し、15年ぶりの円高水準にあっ たドル・円相場が午前終盤から急反転した。円高修正の動きで企業収 益の先行き懸念が和らぎ、自動車や電機など輸出関連株中心に見直し の買いが加速した。

日経平均株価の終値は前日比217円25銭(2.3%)高の9516円 56銭、TOPIXは同13.77ポイント(1.7%)高の848.64。東証1 部の売買高は概算で23億5804万株と、日経平均先物・オプションの 特別清算値(SQ)算出日だった今月10日を上回り、7月22日(26 億 5888万株)以来の高水準に膨らんだ。売買代金は1兆6736 億円。

三菱UFJ投信戦略運用部の関口研二部長は、「当局は1ドル=82 円台後半の円高水準となった時点で、為替介入に動くとの方針で着々 と準備を進めていたようだ」と指摘。日本では円高に向かえば株安、 円安なら株高と「為替と株の相関性が高まっていただけに、介入をき っかけとした円安に敏感に反応。ショートカバー(売り方の買い戻し) だけでなく、リバランスなど実需買いも入った」と見ていた。

東京外国為替市場では、ドル・円相場が午前10時半前に1ドル= 82円88銭と15年ぶり高値を更新した後、共同通信が市場筋の話とし て政府・日銀が円売り介入を実施したもよう、と速報したのを受け、 円が急反落した。その後、野田佳彦財務相は午前10時50分から財務 省内で会見し、急速な円高進行を受け、この日の午前10時35分に円 売り・ドル買いの為替市場介入を実施したことを明らかにした。

一時85円台、円高修正受け割安さに着目

介入実施の判明を受ける形で、円は対ドルで一段安となり、午後 1時すぎに今月3日以来の1ドル=85円台の円安・ドル高水準を付け た。ユーロ・円相場も1ユーロ=107円台後半から一時、110円40銭 台まで円安が進行。これは8月20日以来のユーロ高・円安水準となる。

カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、「為替介入 に消極的とみられていた菅直人首相の続投が決まった上、内閣・党役 員人事を控えて当局は円高対策に動きにくいと見込まれていただけに、 今回の介入はポジティブ・サプライズだ」と話した。東証1部銘柄の 大半がPBR(株価純資産倍率)1倍を割り込み、長期金利との比較 で配当利回りの魅力がある銘柄も多く、「介入による円高修正を受け、 投資指標の割安さに着目した買いがようやく入り始めた」という。

円安方向への反転で、輸出関連株を中心に一気に買い圧力が強ま り、東証1部33業種の値上がり率上位には輸送用機器、精密機器、ガ ラス・土石製品、電気機器、ゴム製品などが並んだ。売買代金上位で は、トヨタ自動車が一時5%以上上げ、8月24日以来の3000円回復。 ファナック、ホンダ、TDK、信越化学工業がいずれも3%超上昇し、 日経平均のプラス寄与度上位に入った。

「二の矢、三の矢必要」

みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員は、「円高警戒が日本株に とって最大のマイナス要因だっただけに、為替介入でひとまず円高進 行の流れを断ち切ったことが評価された」と指摘。今後は、政府と日 本銀行の協調で円安トレンドに導くことができれば、「日経平均で早期 に1万円まで回復できるだろう」と見ている。

丸三証券の牛尾貴投資情報部長は、「断続的な介入を含め、二の矢、 三の矢を打ち出して円高修正の流れをつくり出すことが大事。そうす れば株高トレンドに導くことが可能」との認識だ。介入は長期的に続 く円高に対する根本策ではなく、「介入で時間稼ぎをしている間に、デ フレ脱却に向けた真剣な政策を検討し、断行することが求められる。 早晩、市場の目はそちらに向いてくる」と、トヨタアセットマネジメ ントの浜崎優チーフストラテジストは予想していた。

東証1部銘柄の騰落状況は、値上がり1180、値下がり334。業種 別33指数は31業種が上げ、石油・石炭製品が下落、空運は変わらず。

新興3市場はまちまち

個別では、2020年度に連結売上高を09年度比4割増の1兆5000 億円に伸ばすなどとの目標を掲げた長期経営指針を発表した明治ホー ルディングスが買われ、8月30日の年初来高値に並んだ。中国の海爾 集団(ハイアール)と合弁事業を推進する方向で協議を始めた住生活 グループ、自社株買い実施方針を示したシマノも高い。

半面、野村証券が投資判断を「1(買い)」から「2(中立)」に 引き下げたエイチ・アイ・エスが続落。日本橋梁、福田組、五洋建設、 駒井鉄工など建設、橋梁の低位株の一角も安い。

国内新興3市場は、ジャスダック指数が前日比0.1%安の48.37、 東証マザーズ指数が0.4%高の377.78、大証ヘラクレス指数は0.1% 安の575.54とまちまち。個別では、前期決算で債務超過を脱し、「継 続企業の前提に関する注記」が解消されたアルデプロが急伸。次世代 送電網(スマートグリッド)の実証実験を始める日本風力開発は大幅 高。エー・ディー・ワークス、スカイマークも高い。半面、「継続企業 の前提に関する注記」を付けると前日発表のシーシーエスのほか、新 日本建物、アクセルマーク、ミクシィが安い。

大証ジャスダック市場に15日に新規株式公開(IPO)したフー マイスターエレクトロニクスは、初値が970円と公開価格1000円を 3%下回った。終値は1012円。

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