リーマンの亡霊に悩むウォール街、投資銀行の利益にリスクが潜む

【記者:Christine Harper】

9月14日(ブルームバーグ):米史上最大の6130億ドル(約51 兆円)の負債を抱えて証券会社リーマン・ブラザーズが経営破たん してから2年が経過した。しかし、この10年の間に過去最高益を実 現した投資銀行のビジネスモデルの修復が可能かどうか、投資家は 疑問を抱いている。

規模の大きな資本市場部門を抱える金融機関10社のうち、リー マンが連邦破産法の適用を申請する直前の2008年9月12日時点に 近い水準で株価が取引されているのは、ゴールドマン・サックス・ グループとJPモルガン・チェースの2社だけだ。現在の株価はリ ーマン破たん直前の水準をシティグループが78%、バンク・オブ・ アメリカ(BOA)が59%それぞれ下回る。10社平均では23%値 下がりし、S&P500種指数(10%)の倍以上の下落率となってい る。

ミネアポリスのフィフス・サード・アセット・マネジメント (運用資産額約180億ドル)のポートフォリオマネジャー、ジョ ン・フィッシャー氏は「投資銀行ビジネスのファンダメンタルズ (基礎的諸条件)がリーマンの破たん以前並みの良好な状態に戻る とはほとんどあり得ない。ビジネスのあらゆる面が打撃を受けてい る」と話す。

ウォール街(米金融街)の大手金融機関の利益見通しは、信用 危機が始まる前の06年の利益と比べると引き続きおもわしくない。 ブルームバーグがまとめたデータによれば、11年の1株当たり利益 は、JPモルガンを除いて06年の実績を下回る見通し。予想される 利益はシティが06年よりも89%低く、BOAとスイスのUBSは いずれも60%以上低くなる公算が大きい。

シンシナティのハンチントン・アセット・アドバイザーズ(運 用資産額133億ドル)は大手金融機関の株式の持ち高を圧縮してい る。シニア・ポートフォリオマネジャーのピーター・ソレンティノ 氏は「金融グループは潜在的な利益よりも潜在的な危険の方が大き い。金融サービス規制についても未知の疑問点が非常に多い。ビジ ネスのルールが全く変わってしまった」と指摘する。

フィッシャー、ソレンティノ両氏は、ウォール街のビジネスモ デルが今後数年の間に修正を迫られると予想し、大手金融機関の株 式を敬遠している。金融規制改革法の下で、ヘッジファンドとプラ イベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社への投資や自己勘 定取引が制限されることも、利益の伸びを阻害するとみている。

ウォール街の大手金融機関10社の11年の1株当たり予想利益 と06年の実績の比較は以下の通り。

金融機関名            06年1株利益  11年予想1株利益 変化率

Bank of America          $4.72          $1.53          -68%

Barclays                 GBP 0.67       GBP 0.39       -42%

Citigroup                $4.25          $0.45          -89%

Credit Suisse            CHF 7.53       CHF 5.74       -24%

Deutsche Bank            EU 12.48       EU 7.79        -38%

Goldman Sachs            $19.69         $18.53         -5.9%

HSBC                     GBP 1.22       GBP 0.99       -19%

JPMorgan Chase           $3.82          $4.64          +21%

Morgan Stanley           $6.82          $3.34          -51%

UBS                      CHF 5.17       CHF 1.99       -62%
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