円が約15年ぶり高値更新、菅首相再選で介入警戒後退-83円割れ目前

東京外国為替市場では円が対ドル で約15年ぶり高値を更新した。注目の民主党代表選を控えて朝方から 円買いが先行。午後に菅直人首相の再選が判明すると、円売り介入へ の警戒感が弱まり、円は一段高となった。

ドル・円相場は一時、1ドル=83円9銭まで円高が進行。1995年 5月以来の円高値を塗り替えた後は、83円台前半でもみ合う展開とな った。

東海東京証券金融市場部トレーディンググループマネージャーの 二瓶洋氏は「小沢氏の市場介入への剛腕な姿勢と比べると、菅首相は やや柔らかいイメージがある」と指摘。「もちろん介入の可能性は否定 できないが、円高進行に対する有効策が本当に介入なのか、追加金融 緩和なのか、いろいろな選択肢がある中でこれまで菅首相は後手後手 に回ってきたということがあり、最初の反応は円買いになった」と説 明した。

民主党は14日午後、東京都内で開いた臨時党大会で、任期満了に 伴う代表選を行い、現職の菅首相が小沢一郎前幹事長を破り、再選さ れた。代表選は同党所属の国会議員と地方議員、党員・サポーターが 投票し、有効票合計1212ポイント中、菅氏は721ポイント、小沢氏は 491ポイントを獲得した。

菅首相再選で83円割れ目前

ドル・円相場は83円台後半でこの日の取引を開始。機関投資家な どの円買いが指摘されるなか、徐々に円高が加速し、午前10時前には 一時83円25銭を付けた。

新生銀行キャピタルマーケッツ部のキム・カンジャ次長は、朝か らアジア中銀による円買いの話が聞かれたほか、投資家から外債の償 還に絡んだ円買いも出ていたと説明。「市場では代表選で小沢氏が勝利 すれば、為替介入があるとの期待もあるが、円を売るより買いたい人 の方が多い」と語っていた。

その後は午後2時から始まる民主党の臨時党大会を前に83円台 前半でのもみ合いが継続。国会議員の投票が続くなか、午後3時すぎ にはオプション絡みのドル買いが出たとされ、円は一時、83円70銭 前後まで反落する場面も見られた。

しかし、午前3時半ごろに投票結果が読み上げられ、菅首相の再 選が濃厚となると、円買いが再燃。最終結果が判明した直後に83円9 銭まで円高が加速した。

クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨スト ラテジストは「代表選挙期間中の小沢氏との論戦から菅氏が円高阻止 に消極的との印象が市場に広まっており、菅氏が再選した場合には、 政府の円高容認水準を試しにいく展開があってもおかしくはない。た だ、菅氏も成長戦略遂行のため円高を放置するとはみておらず、菅氏 イコール円高容認との決めつけで円高トライを続けるのは得策ではな いだろう」と話していた。

ユーロ・円相場も1ユーロ=107円台後半から一時、107円ちょう ど付近まで円が上昇。ただ、午前に付けた円高値(106円99銭)には 届かず、その後107円台半ば付近まで値を戻している。

米小売売上高に注目

代表選を通過したことで、次の焦点はこの日発表される米国の小 売売上高となる。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によると、 8月の米小売売上高は2カ月連続の増加が見込まれており、予想中央 値は前月比0.3%増加となっている。

東海東京証の二瓶氏は、菅首相の再選で、財政悪化懸念による日 本の長期金利上昇は一服する可能性がある一方、米小売売上高が予想 を下回り、米景気の下振れ感が出てくれば、「米長期金利の低下による 日米金利差縮小で、ドル・円がもう一度83円割れを試しにいく可能性 はある」とみている。

また、欧州ではドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が9月 のドイツ景況感指数(期待指数)を発表する。エコノミスト調査の予 想中央値は10.0(前月は14.0)で、予想通りなら2009年4月に同指 数がプラスに転じて以来の最低水準となる。

円主導の展開のなか、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.28ドル台 後半でもみ合っていたが、欧州市場に向けては一時、1.2910ドルまで ユーロ買いが進行。1.29ドル台を付けるのは6日以来、6営業日ぶり となる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE