債券は続伸、20年債入札無難で午後に買い優勢-菅氏が民主代表再選

債券相場は続伸。20年利付国債の 入札結果が無難な内容だったことから、午後の取引で買い優勢の展開 となった。民主党代表選挙で菅直人首相が再選されたことから財政規 律が維持されるとの観測から長期債を中心に一段と買い進まれた。

民主党は14日午後、東京都内で開いた臨時党大会で、任期満了に 伴う代表選を行い、現職の菅首相が小沢一郎前幹事長を破り、再選さ れた。市場では小沢前幹事長が代表選への出馬を固めて以降に財政拡 張リスクが意識されたため、菅首相再選を受けて買いが優勢の展開と なっている。

損保ジャパン・アセットマネジメントの平松伸仁シニアインベス トメントマネジャーは、菅氏再選を受けて、長期や超長期債が買い戻 されていると指摘。「小沢氏が民主党代表となる可能性がなくなったた め、市場で懸念されてきた財政リスクプレミアム(金利上乗せ)がは げ落ちるということだろう。今後、円高が進むようであれば、株安を 通じてさらなる金利低下もあるだろう」とも述べた。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは選挙結果を受け た債券市場の反応に関して、「菅首相再選なら買い戻しが入る可能性が 高く、小沢氏であれば先物や超長期ゾーンでいったん売りが先行しそ う」とみていた。

実際、東証夜間取引の先物12月物には菅首相再選の報道後に買い が膨らんだ。一時は141円70銭まで上昇して、午後3時までの通常取 引の終値141円38銭を上回って推移している。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、菅首相再 選を受けた債券買いはおおむね市場の見立て通りだと指摘。その上で、 「投資家が下期の運用を見据えて買いに動く可能性があるほか、為替 市場が円高で揺さぶりをかけてくることも考えられ、短期的には金利 低下余地を探る展開」だと言う。

先物は続伸

東京先物市場の中心限月の12月物は前日終値と同じ141円28銭 で始まり、午前には141円20銭台を中心としたもみ合いとなった。そ の後、午後の取引開始直後にこの日の安値141円15銭まで下げたが、 20年債の入札結果発表後は上昇に転じた。一時は20銭高の141円48 銭まで切り返しており、結局は10銭高の141円38銭で取引を終えた。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、民主党代表選前でも20年債には生命保険などの需要が入り、 利回り2%が節目との認識が強まったと指摘。代表選の結果判明後に 多少の振れがあっても一段の金利上昇懸念は和らいだとも言う。

民主党代表選前に実施される20年債入札への懸念から売りが先 行したが、入札結果が無難な内容となったことから買い優勢となった。 みずほ証の三浦氏は、20年債の入札結果はほぼ実勢に即した水準に決 まったと指摘。低調な結果を予想する声があって事前に警戒感が強か っただけに、先物をはじめいったんは売り方の買い戻しが膨らんだと の見方を示した。

もっとも、その後は民主党代表選の結果発表を待つ姿勢から取引 手控えの雰囲気が強まった。今回の代表選では菅首相と小沢氏が一騎 打ちの様相となっており、市場では、2009年衆院選のマニフェスト(政 権公約)について柔軟姿勢とされる菅首相が勝てば債券買いが優勢と なり、一方、公約実現に積極的である小沢氏勝利の場合に当初は債券 売りで反応するとの見方が有力だった。

一方、午前の東京外国為替市場で円が対ドルで約15年ぶり高値を 更新したことを受けて、債券市場では先物買いが優勢になる場面もあ った。ドイツ証の山下氏は、為替相場はドル安・円高基調が維持され ているため、日本銀行による追加緩和の思惑もあって短い年限で買い が入りやすいとみていた。

20年入札、最低価格は予想通り

20年債入札が市場の懸念に反して無難な結果だったことが、午後 の取引で買いが入るきっかけとなった。入札結果についてHSBC証 券の白石誠司チーフエコノミスト、「代表選直前のタイミングというこ とで事前に懸念されていたが、金利水準が切り上がったことで潜在的 に需要のある生保が買ったのではないか」との見方を示した。

20年物の121回債(9月発行)の入札結果は、最低落札価格が99 円00銭、平均落札価格は99円20銭だった。最低価格は事前の市場予 想と同水準に決まり、最低と平均価格の差であるテールは前回債の8 銭から20銭に拡大。応札倍率は2.86倍から4.56倍に上昇した。

月初の10年債以降には入札でテールが拡大する傾向が続いただ けに、20年債入札が市場予想の範囲内に収まったことで、利回り2% 手前では相応の需要があることがうかがえた。RBS証券の徐端雪債 券ストラテジストは、テールが一部で懸念されたほど下振れなかった ほか、応札倍率も相応に高いなど無難な結果だったと言い、「利回り 2%近辺は押し目買いには悪くない水準だ」と話した。

10年債利回りは1.10%

現物市場で新発10年物の310回債利回りは、前日比1ベーシスポ イント(bp)高い1.155%で開始。その後は1.15-1.16%での推移と なり、午前の取引終盤には2bp高の1.165%を付けた。しかし、午後 の20年債の入札結果発表後には買いが入って、2時前以降には1.13 -1.135%で推移。民主党代表選で菅首相が再選されるとさらに買われ て、午後4時42分現在では4.5bp低い1.10%で取引されている。

大和住銀投信投資顧問の伊藤氏によると、新発20年債には金利水 準の高さをみた買いや、既発の20年債からの入れ替え需要が入ったと 言い、「超長期ゾーンでの金利上振れが一段落したことから、10年債 にも打診的な押し目買いが入った」との見方を示した。

--取材協力:近藤雅岐、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka, Joji Mochida

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