バーゼル委、妥協見いだす-狭義「自己資本比率」引き上げ、猶予8年

主要国の銀行監督当局で構成す るバーゼル銀行監督委員会は12日、金融危機の一因となったリスク テークの規制で妥協点を見いだし、世界の銀行に対する狭義の中核 的自己資本比率の最低基準を現行の2倍余りに引き上げるほか、新 規制の完全順守までの猶予期間を8年以内とすることで合意した。

バーゼル委は、銀行のリスク資産に対する普通株などの自己資 本比率を、状況悪化時に備えた上乗せ基準2.5%を含め最低でも 7%を維持するよう義務付ける。この上乗せ基準を満たさない銀行 は、資金調達を義務付けられることはないが、配当停止とされる。

資本の定義とリスクの評価方法も厳格化された。これによって、 米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)やシティグループなど、株 主への還元と従業員報酬で制限を受けそうな銀行がある一方、ドイ ツ銀行のように既に増資計画を公表している銀行もある。

コンサルティング会社オリバー・ワイマンの金融・リスク慣行 責任者、ジェームズ・ウィーナー氏(ニューヨーク在勤)は「これ らは自己資本規制の大きな変革だ」と述べる一方で、「長い調整期間 があり、圧力は若干軽減される。しかし、3年間配当を支払えない 銀行の株を欲しがる人がいるかという問題が残る」と指摘した。

バーゼル委の上部組織が12日発表した資料によると、銀行各行 は5年以内に中核的な自己資本である普通株などの比率を現行の 2%から4.5%に引き上げ、Tier1比率は6%を満たし、上乗 せ基準も2019年1月1日までに達成することとなる。同委が定義 を厳格化してきたTier1は、普通株と永久優先株を含む。

期限延長は銀行の救いに

バーゼル委は17年末までに各行が資本の定義厳格化を順守す るとし、新たな短期流動性基準については15年初めまで実施しない と表明した。

キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリ スト、フレッド・キャノン氏は「流動性、状況悪化への備え、資本 の定義の順守期限を延長したのは銀行にとって救いとなるはずだ」 と述べた。

同氏は10日のリポートで、変更後の資本の定義を用いて計算す ると、KBW銀行指数の構成銘柄である米銀24行のうち、BOAと シティを含む7行が自己資本不足となるだろうと指摘していた。

新基準は極めて高水準

ワシントンに拠点を置く業界団体「ファイナンシャル・サービ シズ・ラウンドテーブル」のシニア・バイスプレジデント、スコッ ト・タルボット氏は「新基準は7%で、極めて高い」とした上で、「こ れは融資を抑制するだろう。銀行の財務基盤が強くなればなるほど、 景気回復は弱くなる」と分析した。

欧州の銀行を代表する欧州金融市場協会(AFME)は、完全 適用までの移行期間の延長を歓迎。その一方で、バーゼル委の大手 金融機関に関する今後の取り組みも含め、依然として「重大な懸念」 を持っていると表明した。

欧州銀は米銀に比べて自己資本で見劣りしており、バーゼル委 の新規則により追加資金調達を義務付けられる可能性がある。ドイ ツの銀行最大手、ドイツ銀は12日、少なくとも98億ユーロ(約1 兆600億円)相当の増資計画を明らかにした。

銀行のリスク抑制を求める政治的圧力の下、監督当局は自己資 本ルールの強化と、流動性に関する規定などの新措置導入を進めて きた。これに対し銀行は、規制案の緩和を図り政府などへのロビー 活動を行い対抗した。

12日のバーゼル委会合に参加したウェーバー独連銀総裁は、新 基準遵守までの猶予期間などを評価し、結果に満足していると表明。 7月時点では署名を控えたドイツは新たな銀行規制案に調印した。

この日の決定によってバーゼル委は、11月にソウルで開かれる 20カ国・地域(G20)首脳会議に提出する改革案の取りまとめ作業 をほぼ終了した。

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