ゴールドマンがのぞき見拒む「ブラックボックス」-金融改革法も無力

【記者:Bradley Keoun】

9月13日(ブルームバーグ):米金融機関ゴールドマン・サック ス・グループに住宅ローン関連証券市場でどれだけ稼いだかを開示さ せるためには、今年の議会の調査が必要だった。しかし、その結果開 示されたのは2007年の収入にすぎない。

ゴールドマンはその後、住宅ローン関連証券の取引で得た収入を 明らかにしておらず、それが債券・為替・商品部門(FICC)全体 にどの程度貢献しているかについて、投資家らは推測を巡らせている。

ジャンク(投資不適格級)債や円、原油、ウランの取引に加えて、 天候デリバティブ(金融派生商品)を販売し、発電所事業も行うFI CCは昨年、同社の収入全体の52%に相当する233億ドル(約1兆9600 億円)を稼ぎ出した。ブルームバーグがまとめたデータによれば、S &P500種株価指数の構成企業の収入番付で、FICCは単独で米マ クドナルドを抜き、90位にランクされる。

米国の証券取引上位5社は、08年第4四半期に市場がまひ状態と なる中で、合わせて386億ドルの損失を計上した。金融危機の再発を 防止する目的で金融規制改革法(ドッド・フランク法)が新たに成立 したが、これら5社の業績を分析する投資家の能力の改善にほとんど 役立っていない。

情報公開

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の北米 銀行調査担当の元責任者で、現在はニューヨークのブライアークリ フ・マナーでコンサルタントを務めるタニア・アザークス氏は、納税 者が再び金融機関を救済せざるを得ない事態が十分予想されるため、 一層のディスクロージャー(情報開示)を義務付ける必要があると話 す。同氏は「銀行システムの健全性は経済のあらゆる分野に影響する。 それだけに最高度のディスクロージャーが求められる」と指摘する。

一方、ゴールドマンなど米金融機関の株式を含む約60億ドル相当 の資産を管理・運用するアルパイン・ウッズ・キャピタル・インベス ターズのポートフォリオマネジャー、ピーター・コワルスキ氏は「あ る切り離された事業が莫大(ばくだい)な収入が上げている場合、疑 念が生じるはずだ。投資家はすべての事業が貢献し、同じペースで成 長しているのを見たいと願うだろう。ある事業は順調だが、他のすべ てが苦戦しているとすれば、全体の低迷を穴埋めするため、収入をそ こで若干多くひねり出そうとしているのではないかと疑問に思う必要 があろう」と述べている。

クレディ・アグリコル・セキュリティーズUSAのアナリスト、 マイク・マヨ氏はFICCについて、「まさに1つの巨大なブラックボ ックスだ。中をのぞき見ることはできない」と話している。