【今週の債券】長期金利は1.1%台か、民主代表選懸念も需給好転へ

今週の債券市場で長期金利は1.1% 台での推移が続くと見込まれる。民主党代表選の実施に当たって財政 拡張への警戒感が残るが、8月下旬からの金利上昇によって織り込み 済みとの声も多い。20年債入札を通過すれば需給改善への期待が高ま るとみられ、金利は前週からのレンジを踏襲するとの見方が優勢だ。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、債券市場は 今後の財政拡張リスクを相応に織り込んだと指摘。月末にかけては需 給環境が改善するほか、追加緩和の思惑が短中期ゾーンの金利安定を 促すとも言い、長期や超長期の金利上昇には限界があるとみている。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.95%-1.22%となった。レンジの上限となる1.22%まで上昇す れば、6月22日以来の1.2%台乗せとなる。

前週の長期金利は1.1%台で推移した。米国で景気後退への懸念 が緩和したことから、6日には約2カ月半ぶり高い水準となる

1.195%まで上昇した。しかし、日本銀行の追加緩和観測が中期ゾーン で買い材料視されると、長期金利も1.1%台前半から半ばでのもみ合 いとなり、結局は3日終値より0.5ベーシスポイント(bp)高い1.15% で終了した。

民主代表選の14日がヤマ場

14日投開票の民主党代表選が最大の材料。各社報道では菅直人首 相が小沢一郎前幹事長をややリードとの見方が多い。しかし、日興コ ーディアル証券の末沢豪謙金融市場調査部長は、党員・サポーター票 の動向を読めないため、現時点では五分五分の戦いと判断せざるを得 ないと言う。

小沢氏は2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)実現を訴えて いるため、同氏が代表選への出馬を固めた8月下旬以降に市場では財 政拡張が意識され、超長期ゾーンがけん引して金利上昇が加速した。

このため、マニフェスト修正に柔軟姿勢を示している菅首相が勝 利を収めれば、債券買いが優勢となる可能性が高い。東海東京証券の 佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、これまで小沢氏の出馬をめぐ って売られていたので買い戻しが入りやすく、財政懸念が薄れること で20年債主導のブル・フラット(平たん)化を予想している。

また、8月下旬から利回り曲線のスティープ(傾斜)化を伴って 金利が急騰した後だけに、市場では財政拡張リスクをいったんは織り 込んだとの見方も多く、代表選で小沢氏が勝った場合でもにわかに売 り圧力が強まるとの懸念には至っていない。

もっとも、今回の代表選で菅首相、小沢氏のどちらが勝った場合 でも、投資家から積極的な買いは期待しづらいといった声も聞かれる。 みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、選挙結果を問 わず市場関係者の間では財政改革路線に緩みが生じる印象はぬぐえな いとみており、「売り材料出尽くしに伴う債券買いというより、金利が 低下しないリスクに留意する必要がある」と警戒する。

20年債入札後に需給好転へ

現物市場の需給面では14日実施の20年利付国債の入札が注目を 集める。20年債利回りは8月下旬の1.5%台前半から40bp程度も上昇 して1.9%台に乗せており、生命保険会社などの実需買いが見込まれ る水準にあるとされる。民主党代表選の結果待ちのタイミングに当た って、入札結果が低調となる可能性は高いものの、潜在需要を背景に 金利上振れを懸念する見方は少ない。

20年債入札を終えると10月7日の10年債入札まで、約3週間も 流動性供給入札以外には長期ゾーンの入札が実施されないため、市場 の需給不安が解消されるといった指摘も多い。

また、国債大量償還を控えていることも需給面の支えと意識され ている。三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は、民主 党代表選で小沢氏が勝っても国債がすぐに増発されるわけでない上、 下期の景気減速を考えると国債償還を控えて押し目買いが入るとみて いる。

予想レンジとコメント

9月10日までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週の 予想レンジは以下の通り。

◎東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジスト

先物12月物141円05銭-141円75銭

新発10年債利回り=0.95%-1.165%

「債券相場は菅首相の代表選勝利を受けて反発すると見込む。こ れまで小沢氏の出馬をめぐって売られていたので買いが入りやすく、 財政懸念が薄れることで20年債主導のブルフラット化を予想する。小 沢氏が勝っても株価上昇は一時的だろう。20年入札は悪い結果になる かもしれないが、相場が下げたところでは投資家の買いが入るだろう」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物140円75銭-142円25銭

新発10年債利回り=1.07%-1.20%

「週前半は波乱含みの展開。これまで需給に支えられて順調だっ た10年や30年債入札が今月に入って低調となっただけに、民主党代 表選とぶつかる20年債入札は不安だ。20年債の発行額が先週の30年 債より多いことも警戒感を高める要因。ただ、相場は下値模索のリス クを残しているものの、金利上昇時の押し目買いは根強いだろう」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物140円80銭-142円00銭

新発10年債利回り=1.08%-1.20%

「長期金利は1.2%手前でレンジを形成する。今後の財政拡張や 米景気懸念の緩和を市場はすでに織り込んだ。民主党の代表選前後に 金利が一時的に上振れる場面があっても、10年債の1.2%や20年債の 2%では買い需要が見込める。為替市場で円高が進展した場合に日銀 が国債買い入れを増額するとの思惑が強いこともサポート要因だ」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物140円60銭-141円80銭

新発10年債利回り=1.10%-1.22%

「10年債利回りが1.2%を上回る場面がありそう。民主党代表選 と同日に行われる20年債入札では参加者も慎重となる。市場は小沢氏 勝利を期待している面もあって、その場合は財政出動と景気期待で株 高、債券安が見込まれる。ただ、国債がすぐに増発されるわけでない 上、下期の景気減速を考えると国債償還を控えて押し目買いが入る」

--取材協力:船曳三郎、池田祐美、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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