【日本株週間展望】戻り続く、米景気不安や円高懸念が後退

9月第3週(13-17日)の日本株 相場は、外部環境の好転を期待し堅調に推移する見込み。米国景気に 対する過度な不安が和らいでいるうえ、急激な円高・ドル安懸念も後 退、先回りする形でリスクを織り込んできた日本株相場も下げ止まり、 いったんポジションを中立に戻す投資家が増えそうだ。

三菱UFJ信託銀行法人資金運用第2グループの松永健司シニア ファンドマネジャーは、米中間選挙を控え、米政財界で広がっていた 過度な「景気二番底キャンペーンがやや後退し、選挙モードが強まる」 と予測する。米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は好 調なため、「これまでのドル安傾向に変化が出るなら、日本株も揺り戻 しがあるはず」と読む。

10日の終値は、TOPIXが前週末比1.2%高の833.72ポイント、 日経平均が同1.4%高の9239円17銭だった。3日公表の米雇用統計 が市場予想より良い内容だったほか、英製造業の業況堅調、8日のポ ルトガル国債入札の順調などで欧州懸念も薄らいだ。主要国の代表的 企業で構成するMSCIワールド・インデックスは同0.4%高の

1135.77ポイント(東京時間10日午後3時時点)。

「英国・米国という世界の2大ポンプが機能不全に陥り、世界の マネーフローに変化が生じている」――。大和総研資本市場調査部の篠 岡麻由エコノミストは、2007年のサブプライムローン問題に端を発し た今回の金融危機の前後で世界のマネーフローがどう変わったかを投 資家向けリポートとしてまとめた。

大西洋挟むマネーフロー停滞

篠岡氏は、欧州投資家がリスク選好型からリスク回避型に変わっ た理由を、①欧州中央銀行(ECB)が引き締め気味の金融政策を採 っており、投資に振り向ける余剰資金が十分生じていない、②為替リ スクを伴うクロスボーダー取引を行うインセンティブが働かない、の 2点と分析。欧州から米国、米国から世界株式という危機前のマネー フローに回復するには、米国か欧州の経済が自律回復する必要がある と結論付けた。

篠岡氏は、米国が欧州より先に停滞期を抜け出すとみているが、 「米国の景気回復が決定的となるまでに少なくとも数年が必要」と指 摘。当面は、大西洋を挟んだ大陸間のマネーフローが滞り、為替相場 は一定のレンジ内で上昇と下落のラリーを繰り返すと予測する。

日経平均やTOPIXなど主要株価指数はシーソー・ゲームを続 け、ボックス圏で推移するとの見方が出ているなか、独立系調査会社 ティー・アイ・ダブリュの西村尚純調査部長は、「現地の社員に権限を 委譲し、現地のニーズをくみ取りながら成長を志向する真の意味での グローバル企業に投資をすべき」と話す。

西村氏は、日本的経営の優れた点とされた「一枚岩文化」は過去 の遺物とし、多様化した価値観を受け入れ、言語や文化の壁を乗り越 えていく「世界企業」にこそ競争力向上のヒントがあると言う。こう した観点から、トップマネジメント層の多国籍化や給与体系の世界同 一基準化を進めるパナソニック、コマツ、伊藤忠商事などに注目。英 語を社内の公用語とすることを打ち出したファーストリテイリングや 楽天にも成長意欲があると期待を寄せる。

リートフェア、イベント盛り沢山

東京証券取引所は11日、不動産証券化協会と共同で個人投資家向 けに「Jリート(不動産投資信託)フェア」を開催する。上期決算期 末の9月末に向けて株式市場全体で配当取りの動きが広がるなか、上 場リート37社の平均配当利回りは6.3%と高く、個人や国内外機関投 資家の関心を集めやすい。東証渉外広報部の勝尾修氏は、「Jリートは 固定資産でなく、流動資産として手軽に投資できることを理解しても らいたい」と話している。

このほか、バーゼル銀行監督委員会の銀行に義務付ける新資本規 制案が12日にもまとまる見通し。12日からはカナダ・モントリオー ルで世界エネルギー会議、14日から第65回国連総会が開かれる予定 で、国際的な協調体制強化が議論される見込みだ。

注目の米経済指標は、14日の8月小売売上高、15日のABC消費 者信頼感指数とMBA住宅ローン申請指数、16日の新規失業保険申請 件数など。日本では12日に沖縄県名護市議会選挙、14日に民主党代 表選挙がある。

SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジストは、「結果のいか んにかかわらず、民主党の代表選挙通過でイベントリスクが1つ減り、 買い安心感から日経平均株価は9500円を目指す展開」と予測していた。

【市場関係者の当面の日本株見通し】
●パインブリッジ・インベストメンツの後藤周平運用本部長
  「相場は底値に近い。東証1部のPBRは約1倍と割安な上、配
当利回りは2%程度に達し、経験則から買っても良い水準だ。円高が
リスク要因だが、1ドル=80円に達すれば、当局が介入を行うという
シナリオを立てている。米景気も二番底には落ち込まないだろう。米
中間選挙を控え、財政政策が出てくる可能性は高い」

●日興コーディアル証券の西尾浩一郎マーケットアナリスト
  「日経平均は9000円台前半を中心に小幅なレンジでもみ合う展開
を想定。主要輸出企業の想定為替レートは1ドル=90円、1ユーロ=
110-115円に集中しており、足元の円高による採算悪化懸念で自動車
やハイテクは敬遠されがちだ。9月末の接近もあり、医薬品や電力と
いった高配当・ディフェンシブ業種は比較的しっかりした値動きが予
想され、相場全般の下値を支えそう」

●マネックス証券の広木隆チーフストラテジスト
  「米金利低下懸念が相場をドライブしてきたが、先週から米国の
経済指標が良い方向へ振れ始めた。米金利が反転上昇する兆しがあり、
来週以降も継続しよう。為替の円高原因は日米の金利差縮小だったが、
これ以上円高が進みづらい状況になってきた。輸出関連株主導で切り
返しの動きも出てくる。上値を試す展開で、日経平均9500円にトライ
できるかどうかがポイントだ」

●東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長
  「日経平均は9000円台前半のもみ合いを予想。日本銀行は新型オ
ペで金融市場に10兆円の資金を追加供給し始めたが、肝心の余剰資金
を表す日銀当座預金残高は減っている。日銀からドル安・円高を阻止
しようという意志は感じられない。日銀の基本姿勢が変わらない以上、
ドルはいずれ最安値をうかがってもおかしくない。株価は割安だが、
あとは政策が相場の方向性を変えるのを待つだけだ」

--取材協力 常冨浩太郎、河野敏、岩谷多佳子、長谷川敏郎

Editor:Makiko Asai、Tetsuzo Ushiroyama、Shintaro Inkyo

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