国連、排出権発行で「大きな誤り」犯した可能性-市場取引にも影響

ハイドロフルオロカーボン(HF C)汚染を抑制する事業に関して国連のクリーン開発メカニズム(CD M)が不適切に利用されたとの指摘があり、国連が調査を実施している 問題で、クリントン元大統領の地球温暖化問題担当の顧問だったダー ク・フォリスター氏が、今回のケースは排出削減プロジェクト投資の妨 げになる恐れがあるとの見解を示した。

環境関連のロビー団体、CDMウォッチ(ボン)が、HFCを排出 している一部のプラントがCDMを不当に利用したと主張。国連は7月 30日に調査を開始し、新規の排出権を凍結している。

クリントン政権下で1997年に結成された温暖化防止タスクフォー スで責任者を務めたフォリスター氏は、これにより今後の排出権発行が 抑制され、国連認証排出権(CER)市場への投資が急減する可能性が あるとの見方を示した。CER取引システムは温暖化ガス取引で世界2 位の規模。

投資顧問会社ナットソース(ニューヨーク)のマネジングディレク ターを務めるフォリスター氏は「過去にさかのぼって変更が必要になる 可能性があり、そうなれば大きな誤りを犯したことになるだろう」と述 べた。

問題になっているのは、「HFC23」と呼ばれる産業用ガスの排出 抑制事業に関して発行された排出権。HFC23は主に中国とインドで エアコンの冷却剤を製造する際に生成される。2005年以降に発行され たCERの半分はHFCに関連している。HFCの温暖化効果は1分子 当たり二酸化炭素(CO2)の約1万1700倍とされる。

CDMプログラムの将来に対する懸念が深まるなか、今年引き渡し となるCERの価格と期先物との価格差は過去最高水準に達している。 欧州気候取引所(ロンドン)の10年に引き渡しとなるCERと12年 の先物との価格差は7日、1トン当たり92ユーロセントと、過去最大 となった。9日の価格差は83ユーロセント。6月23日までは10年物 は12年物より割安だった。

CDMウォッチは6月14日のリポートで、一部企業は人為的に温 暖化ガスの排出量を引き上げることによって「不正に」排出権を獲得し ていたと指摘した。排出企業やプロジェクトへの投資家はこの主張に反 対している。