円が4営業日ぶり安値から反発、振興銀破たんで売り先行も続かず

東京外国為替市場では午後の取引 で円が対ドルで4営業日ぶり安値から反発。朝方は日本振興銀行破たん のニュースなどを手掛かりに円売りが先行したが、その動きも続かず。 日本株の上昇に一服感が広がるにつれ、リスク回避的な円買いが優勢と なった。

ドル・円相場は1ドル=83円台後半で東京市場を迎えると、午前 11時前には一時、84円29銭まで円売りが進行。その後は急速に円が 下げ渋り、午後には一時、早朝の水準まで「全値戻し」となる場面が見 られた。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネージャーは、円 の反発の背景について「株が緩んできているということもあるし、84 円台になると国内勢の円買いが結構入る」と説明。その上で、「世の中 全般的にまだまだ先行きが不透明感で、どちらかというとリスク回避の 方向だ」と語った。

ユーロ・円相場も午前に一時、1ユーロ=106円80銭までユーロ 高・円安方向に振れたが、欧州不安がくすぶるなか、ユーロの上値は重 く、その後は106円台半ばを中心にもみ合う展開となった。

一方、ユーロ・ドル相場は午前に1ユーロ=1.2644ドルと約1週 間半ぶりの安値までユーロ売りが進んだが、午後にかけては1.26ドル 台後半までユーロが反発。1.2700ドル台まで値を戻す格好となった。

円売り先行

この日の東京市場は円売り先行で始まった。きっかけとなったのは 日本振興銀破たんのニュース。金融庁は10日付で同行にすべての業務 を停止するように行政処分を発令した。債務返済が不可能になったとの 報告を受けた措置で、金融庁は一定金額までしか預金を保護しないペイ オフを初めて発動する。

また、前日には良好な米経済指標を背景に米長期金利が上昇。日米 金利差拡大や株高に伴うリスク回避圧力の後退、日本の円売り介入への 警戒感、輸入決済が集中する「五十日(ごとうび)」の仲値需要(ドル 買い・円売り需要)など円の圧迫材料も重なった。

GCI総合研究所のチーフアナリスト、山岡和雅氏は、「米国で一 部改善を示す経済指標が発表され、株価が反発するなか、円やスイスフ ランなど逃避先として買いを集めた通貨が売られている。また、日本振 興銀のペイオフの話や、輸入企業のドル買い、さらに週末前のポジショ ン調整も加わり円高修正の動きを後押ししている」と解説していた。

また、国内では朝方発表された4-6月期の実質国内総生産(GD P)の2次速報が前期比年率1.5%増となり、1次速報の同0.4%増か ら上方修正された。結果は事前の予想通り。

中国が発表した8月の貿易黒字(200億3000万ドル)は市場予想 (269億ドル)を下回ったが、3カ月連続で200億ドル(約1兆6900 億円)を超えた。輸出は前年同月比34.4%増、輸入は市場予想を上回 る同35.2%増だった。

投資家のリスク許容度改善が意識されるなか、為替市場では資源国 通貨を選好する動きが強まり、円は対オーストラリア・ドルで一時、1 週間ぶり安値を更新する場面が見られた。

フォレックスドットコムのチーフアナリスト、岡安盛男氏は、「過 度な悲観論がまん延するなかで緊急避難的に円に資金が集まっていただ けで、悲観論が多少なりとも後退する中で、長く資金を円に置いておく のは不自然だ」と語っていた。

根強い円買い

一方、円の下値では国内輸出企業などの円買い意欲を指摘する声が 多く聞かれた。東海東京証券金融市場部トレーディンググループマネー ジャー、二瓶洋氏は、「84円台は実需のドル売りオーダーが並んでお り、それらをクリアにこなすには一段の円安要因が必要」と指摘してい た。

また、中国政府が消費者物価指数(CPI)などの統計発表を11 日に前倒したことに関して、中国の金融引き締め観測が浮上しているこ とも円買いにつながったという。NTTスマートトレードの工藤隆市場 情報部部長は、「今年の預金準備率の引き上げや不動産投機抑制策は週 末に発表されているため、今回も指標と同時に引き締め策を発表するの ではないかという思惑があるようだ」と話していた。

--関泰彦、山口祐輝 Editor:Joji Mochida,

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