政府:予備費9150億円活用、為替介入も明記-経済対策決定

政府は10日午前の閣議で、景気の 下振れを防ぐため、雇用奨励金の創設や企業の設備投資支援策、住宅・ 家電エコポイントの延長などを柱とした緊急経済対策を決定した。財 源は2010年度予算の予備費9150億円程度を活用し、事業規模は約9.8 兆円。政府はこれによる実質国内総生産(GDP)押し上げ効果は

0.3%程度、雇用創出・下支え効果は20万人程度と試算している。

政府は、デフレ終結に向けた経済基盤がぜい弱な中、円高や海外 経済の減速懸念などが景気の下振れリスクとなっていると指摘。その 上で、急速な円高の進行・長期化に対し、経済・金融への悪影響から 「看過できない問題であり、政府は必要な時には為替介入を含め断固 たる措置を取る」と明記した。同時に日本銀行に対しては「さらな る必要な政策措置をとることを期待する」とし、デフレ脱却に向け追 加金融緩和の要請を示唆した。

荒井聡国家戦略兼経済財政担当相は同日午前の閣議後会見で、緊 急経済対策に日銀の金融政策への期待を盛り込んだことについて、「 日銀の独立性は尊重しなければならないと思う」としながら、円高で 景気下振れリスクも強まる中、政府と日銀が一体的に取り組んでいく 必要性を強調した。急激な円高対策に関しては「恐らくこれまでに比 べて一段と強い表現をすることになった」と説明した。

「3段構えの対応」

政府は、経済対策について、短期的な観点から「細切れ的な対応」 は避ける必要を強調。その上で①今回の緊急経済対策②今後の景気・ 雇用の動向を踏まえた10年度予算の「国庫債務負担行為(1兆円)の 活用を含めた補正予算編成③11年度予算での「元気な日本復活特別枠」 の活用など-を通じ、「3段構えの経済対策」を進めるとしている。

野田佳彦財務相は閣議後会見で同対策に関連して、9月中の予備 費使用へ手続きを進めると述べるとともに、今後の景気動向次第では 補 正予算を検討して景気の下振れを食い止める方針を示した。

仙谷由人官房長官も会見で、補正予算を組む場合の規模やタイミ ングなどについて「金額の問題もさることながら、方向性が極めて重 要」と指摘、「日本の産業構造が潜在需要をつかまえることになって いない」との見方を示した。その上で「介護、保育、医療等々に幅広 くサービス化された産業への政府の支援が一番重要」と述べた。ただ、 補正予算の編成時期については「年末にかけてあるいは3月にかけて どうみるかだ」と述べるにとどめた。

この日決定した緊急対策は、6月に閣議決定した「新成長戦略」 の前倒しという視点も含め、①雇用②投資③消費④地域の防災対策⑤ 規制・ 制度改革-の5つの柱から構成され、政府は即効性のある施策 を実施するとしている。このうち、雇用については、既卒者採用企業 への奨励金の創設など新規の施策を含め計1750億円程度を充てる。

投資に関しては、エコカーやリチウムイオン電池など環境技術分 野の国内での工場などの設備投資を支援する「低炭素型雇用創出産業 立地補助金」として1100億円程度を充てる。消費関連では計4500億 円程度を充て、家電エコポイント制度を来年3月末まで3カ月間、住 宅エコポイントを11年12月まで1年間それぞれ延長する。また、優 良住宅取得向けの長期固定低金利(フラット35)の金利引き下げ幅の 拡大措置についても11年末まで1年間延長する。

一方、規制・制度改革では、老朽化したマンションなどの建て替 えを促進するため、容積率緩和などを盛り込んだ。

--共同取材 広川高史 下土井京子 Editor: Hitoshi Ozawa,Joji Mochida, Hitoshi Sugimoto

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