クウェート:22年までに国内に原発4基建設-出力400万キロワット

クウェートは、2022年までに同国内 に100万キロワット級の原子炉4基の建設を計画している。国内で発電 用に利用されている原油を輸出に回すことが目的。中東ではサウジアラ ビア、ヨルダンなどが原発建設の計画を進めており、クウェートが新た にこれに加わることで、日本を含む原発メーカーの国際的な受注競争が 激化しそうだ。

国家原子力委員会のアハマド・ビシャラ事務局長が9日、都内でブ ルームバーグ・ニュースの単独インタビューで明らかにした。ビシャラ 氏は8日に原発導入に向けた日本政府との協力文書に署名した。既に米 国、ヨルダン、ロシア、UAEとも同様の文書に署名しているほか、フ ランスとは一歩踏み込んだ原子力協力協定を締結している。

ビシャラ氏によると、原子力委員会は現在、国際エネルギー機関 (IEA)やコンサルティング会社2社とともに原発建設事業の詳細に ついて検討を進めている。来年1月までに、必要なコストや候補地など を含む建設計画と、メーカー選定の入札の時期などを盛り込んだロード マップを立案する予定。同委員会の提案を踏まえ、政府は2月にも原発 導入に向けた政策方針を策定する見通しだという。

中東ではアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ヨルダ ンなどがすでに原発建設の計画を持つ。中東諸国の原発建設計画をめぐ っては三菱重工業や東芝、日立製作所など国内メーカーに加え仏アレバ やロシア、韓国のメーカー間で受注合戦が繰り広げられている。

同国内の発電所の出力は現在計1100万キロワット。今後、建設業や サービス産業の伸びを背景に電力需要は今後20年間で年率7%程度の 伸びが予測されている。30年末までに発電出力を現在の2倍以上の2500 万キロワットまで引き上げる必要がある。

日量30万バレルが発電用に

ビシャラ氏は「現在、国内の原油生産の約12%、日量30万バレル 相当が発電用に消費されている。これは非常に高い割合で、25年には 20%程度に増える試算もある」と懸念した。さらに「このままでは、増 える電力需要だけのために原油が使われてしまい多額の損失を生みだす ことになってしまうので、原発建設という選択肢が浮上した」と説明し た。

アジア市場の中東産原油の指標とされているドバイ原油は、現在1 バレル=約74.5ドルで取引されている。そのため、日量30万バレルの 原油が輸出できないと、1日当たり約2235万ドル(約19億円)を損す る計算になる。ビシャラ氏は「原油価格が1バレル当たり45ドル以上で あれば、われわれの原発建設の経済性は十分に成り立つ」とそろばんを はじく。

原発で増やす原油輸出

同国内の発電所の約7割強が、原油を精製して得る重油や軽油を燃 料としているほか、生産時に採取される「随伴ガス」も火力発電の燃料 として使用されている。中東産油国の間では、原油価格が高騰したこと で、電力用に使用されている原油やガスを輸出に回せば収入を大幅に拡 大できるとの目算が原発導入の機運醸成につながった。

日本エネルギー経済研究所原子力グループの村上朋子グループリー ダーは、「クウェートでは夏の電力不足が深刻で、電力インフラの必要 性は他の中東諸国と比べて一段と高い」と指摘する。先進国と原子力分 野で協力関係を構築することは、原発の選択肢を広げる意味があると語 った。

クウェートは建設に必要な資金は国外からの投資に頼らず、自国で まかなう方針。ビシャラ氏は「国外の企業や投資家とのパートナーシッ プは、技術的な部分にとどまるだろう。資金面での協力は必要としてい ない」と明言した。

他国への納入状況などを吟味

原子炉は、加圧水型原子炉(PWR)と沸騰水型原子炉(BWR) の2種類に大別されるが、どの方式を採用するかについては明言を避け た。ビシャラ氏は、機器を納入するメーカーの選定について「今後実施 する入札で提出される内容や、他国への納入状況を見て吟味したい」と 述べた。

村上氏は、現時点で技術的にどの国が原発受注に有利とは言い切れ ないと指摘。「アレバ、GE日立、三菱重工は170万キロワットクラスの 超大型炉を持っており、3基で済むと言うことができる」とし、導入コ ストを低減する提案が可能だという。

新興国への原発販売をめぐっては、核不拡散の観点から反対の声が 上がることも想定される。しかし、クウェートは国際原子力機関(IA EA)の追加議定書を締結しているため、広範囲の査察実施が可能とな っている。

世界最大の原子炉メーカー仏アレバは資本を増強するため、クウェ ートやカタールの政府系投資ファンドや三菱重工と出資に関し交渉中。 ビシャラ氏は、クウェート投資庁(KIA)が原発建設計画とは無関係 に、純粋な投資を目的にアレバの株式取得に関する交渉を進めているこ とを明らかにした。

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