日銀議事要旨:円高懸念の一方で「コスト低下など利点も」

日本銀行が10日午前公表した8月 9、10日の金融政策決定会合の議事要旨によると、多くの委員が為替 動向について「円高が輸出や企業収益の下押し要因になり得る」と懸 念を示す一方で、1人の委員が円高には「コスト低下などの利点もあ る」と主張するなど、円高の影響について意見の対立があった。

多くの委員は「円高やそれに伴う株安が企業や家計のマインドに 与える影響にも注意が必要」との見方を示した。ある委員は「足元の 円高水準が持続するリスクが高まっている」と指摘。何人かの委員は 「円高が生産拠点の海外移転を加速させる可能性がある」と述べた。

日銀は8月9、10日の金融政策決定会合で現状維持を決定したが、 円高、株安の進行を受けて、同月30日に臨時の金融政策決定会合を開 き、政策金利(0.1%)で資金を供給する新型オペ(固定金利方式の共 通担保資金供給)を20兆円から30兆円に引き上げ、うち10兆円の供 給期間を6カ月とすることを決めた。

8月9、10日の金融政策決定会合では、多くの委員が円高の影響 を懸念する一方で、ある委員は「円高には、輸入原材料の購入や海外 企業の買収におけるコスト低下などの利点もある」と指摘。1人の委 員は「円の対ドル相場が、昨年11月のドバイ・ショック後にも同程度 の円高となったが、当時と比べると、金融環境は緩和方向にあり、企 業収益も改善している」と指摘した。

1995年ほどの円高ではない

別のある委員は「円の対ドル相場が1995年の円高のピークに近づ いていることが話題となっているが、その後の日本の物価上昇率が低 かったため、実質実効為替レートでみると当時ほどの円高ではない」 と語った。こうした議論を踏まえ、委員は為替動向や国内経済への影 響を引き続き注意深くみていくことが必要との認識を共有した。

また、委員は「一部欧州諸国のソブリン・リスクをめぐる動きや 米国経済をめぐる市場の不透明感の台頭などが、為替などの国際金融 資本市場の動きを通じて、内外の経済に影響を与える可能性がある」 との認識を共有した。さらに、ある委員は「世界的にデフレへの懸念 が話題となることで、予想物価上昇率が下振れるリスク」を指摘した。

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