9月9日の海外株式・債券・為替・商品市場(Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドル下落、リスク志向-米経済統計など受け

ニューヨーク外国為替市場では、ドルがほとんどの主要通貨に対 して下落。米失業保険申請件数が予想以上に減少したほか、貿易赤字 が予想以上に縮小したことで、米景気回復の腰折れ懸念が後退した。

世界的に株価が上昇するなか、ドルは主要16通貨中、11通貨 に対して値下がりし、円も下落した。オーストラリア・ドルは米ドル に対し4カ月ぶり高値に上昇。8月の豪州の雇用者数が予想を上回る 伸びとなったことに反応した。カナダ・ドルは3週間ぶり高値を付け た。前日に政策金利を引き上げたカナダ銀行(中央銀行)が今後も利 上げを続けるとの観測が広がった。

オンラインでの為替取引を扱うGFTフォレックスの為替調査担 当ディレクター、キャシー・リーン氏(ニューヨーク在勤)は「9日 発表の米経済指標はともに、米経済が正しい方向に向かっていること を示唆している。また、10-12月(第4四半期)に景気が一段と大 幅に減速すると米連邦準備制度理事会(FRB)がやや懸念し過ぎて いることも恐らく示している」と語った。

ニューヨーク時間午後4時21分現在、ドルはユーロに対し1ユ ーロ=1.2704ドル(前日は1.2720ドル)。ユーロは円に対して

0.2%安の1ユーロ=106円49銭(前日106円69銭)。円の対 ドル相場は1ドル=83円83銭(前日83円88銭)。豪ドルは対 米ドルで0.6%上げて1豪ドル=0.9235米ドル。一時0.9277米 ドルと、4月30日以来の高値を付けた。

株式市場では、MSCI世界指数が0.6%高。S&P500種株 価指数は0.5%上昇した。

経済統計

米労働省が発表した4日に終わった1週間の新規失業保険申請件 数 (季節調整済み)は前週から2万7000件減少して45万1000 件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値 は47万件だった。

また商務省が7月の貿易収支統計によると、財とサービスを合わ せた貿易収支(国際収支ベース、季節調整済み)は428億ドルの赤 字と、前月の498億ドル(速報値499億ドル)から赤字幅が14% 縮小した。縮小率は2009年2月以来最大。輸入が減少したほか、 輸出が約2年ぶり水準に回復したことが背景にある。ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は470億ドルの 赤字だった。

円はドルに対し15年ぶり高値付近で推移。野田佳彦財務相が、 為替介入の実施について「いろいろとシミュレーションはしている」 と発言したほか、「必要な時には断固たる措置を取るという方針に変 わりはない」と言明したものの、大きな円売り材料にはならなかった。

円の需要

為替取引を手掛けるテンパス・コンサルティングのストラテジス ト、ジョン・ドイル氏は「市場に暗雲を漂わせている世界的な不透明 感に対するヘッジとして、投資家は引き続き円を大きく買い入れてい る」とした上で、「野田財務相の発言は、この夏に行った発言として は恐らくかなり強いものだ」と述べた。

ブルームバーグ相関加重通貨指数によれば、円は年初から15% 上昇と、先進国通貨の中で上昇率トップとなっている。ユーロは 10%下落、ドルは2.2%上昇だ。

豪ドル、カナダ・ドル

オーストラリア統計局の発表によると、同国の8月の雇用者数は 前月比3万900人増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミス ト25人の予想中央値は2万5000人増が見込まれていた。これに 反応し、豪ドルは買い進まれた。

カナダ・ドルは対米ドルで0.4%高の1米ドル=1.0339カナ ダ・ドル(前日は1.0375カナダ・ドル)。一時1.0302カナダ・ ドルと、8月19日以来の高値を付けた。

カナダ中銀は8日、政策金利を0.75%から1%に引き上げたほ か、年内に再度引き上げる可能性を示唆した。

◎米国株:上昇、予想以上の失業保険申請減少で-回復を楽観

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は続伸した。米失業 保険申請件数が予想より大幅に減少したことから、景気回復をめぐる 楽観が拡大した。

JPモルガン・チェースは上昇。モルガン・スタンレーが来年は 銀行による増配および自社株買いが可能になるだろうとの見方を示し たのが好感された。ソフトウエアのアドビ・システムズは急伸。アッ プルが携帯端末向けアプリケーションの開発規制を緩和する方針を表 明したのが買い材料になった。

ブルームバーグ・ニュースがドイツの銀行最大手、ドイツ銀行に よる株式売却計画を報道したことに反応し、株価は上げ幅を縮小した。

S&P500種株価指数は前日比0.5%高の1104.18。ダウ工 業株30種平均は28.23ドル(0.3%)上げて10415.24ドル。

オールド・セカンド・ナショナル・バンクのチーフ投資ストラテ ジスト、スチュアート・ビーチ氏は、「失業保険申請件数は、市場参 加者が予想していたほど状況が悪化していないことを示す好材料だっ た」と述べ、「株式市場にとっては支援材料だ。貿易赤字の縮小と合 わせると、リセッション(景気後退)二番底というよりは、緩慢な景 気回復の兆候だ」と指摘した。

S&P500種は4月に記録した年初来の高値からは9.3%下げ ている。今後1年間の予想利益を基にした株価収益率(PER)は平 均で12倍と、2009年3月以来の低水準に落ち込んだ。

失業保険申請件数と貿易赤字

米労働省が発表した4日に終わった1週間の新規失業保険申請件 数(季節調整済み)は前週から2万7000件減少して45万1000 件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値 は47万件だった。

米商務省が発表した7月の貿易収支統計によると、財とサービス を合わせた貿易収支(国際収支ベース、季節調整済み)は428億ド ルの赤字と、前月の498億ドル(速報値499億ドル)から赤字幅 が14%縮小した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミス ト予想の中央値は470億ドルの赤字だった。輸出が1.8%増加の 1533億ドルと、08年8月以来の高水準となった。

S&P500種金融株価指数は1.2%高。モルガン・スタンレー が増配や自社株買い戻しの可能性を指摘し、ロッチデール・セキュリ ティーズのアナリスト、リチャード・ボーブ氏は買収の標的になる可 能性がある銀行として17行を挙げた。

JPモルガンは2.5%高。ダウ平均銘柄の中で値上がり率トッ プだった。ボーブ氏の挙げた買収標的となり得る17行に含まれたサ ントラスト・バンクスやフィフス・サード・バンコープも上昇した。

アドビ高い

アドビは12%高とS&P500種銘柄の中で上昇率トップだった。 アップルは携帯端末向けアプリケーションソフトウエアを配信する同 社サイト「アップストア」で採用するアプリケーションの評価基準を 説明したガイドラインを発表することを明らかにした。さらに携帯電 話「iPhone(アイフォーン)」やタブレット型コンピューター 「iPad(アイパッド)」用のアプリケーション開発ツールに関す る規制を緩和する方針も示した。

一方、外食産業最大手、マクドナルドは下落。8月の既存店売上 高は前年同月比で4.9%増加。ブルームバーグがまとめたアナリス トの予想平均の5%に届かなかった。

◎米国債:下落、失業保険申請の減少で-入札後は一段安

米国債相場は下落。米経済統計で新規失業保険申請件数の予想以 上の減少や、貿易赤字の縮小が示されたことを背景に、30年債入札 で応札が振るわず、市場での売りを誘った。

米30年債入札(発行額130億ドル)の結果発表後、同年債は 2ポイント近く下落した。入札では、落札全体に占めるプライマリー ディーラーの割合が過去11カ月で最大となった。バンク・オブ・ア メリカ・メリルリンチの指数によると、社債発行の急増により、投資 適格級の社債の利回りは3.87%と、少なくとも1986年10月以来 の最低を付けた8月24日の水準に近づいた。

スタイフェル・ニコラスのボルティモア部門で政府債トレーディ ング責任者を務めるマーティン・ミッチェル氏は、「今週は大量の米 国債と社債が供給される予定であり、それが市場の重しになっている」 と指摘。「市場は調整安に向かっているようだ。経済指標では労働部 門の状況改善が示された」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時2分現在、10年債利回りは前日比10ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.75%。同年債(表面利率

2.625%、2020年8月償還)価格は27/32下げて98 7/8。

既発の30年債利回りは11bp上昇の3.84%。8月25日に は3.46%と、2009年3月以来の低水準を付けていた。2年債利回 りは4bp上昇の0.56%。同利回りは8月24日、過去最低の

0.4542%を付けた。

この日の30年債入札で、最高落札利回りは3.820%と、ブル ームバーグがまとめたプライマリーディーラー9社の入札直前の予想 の3.806%を上回った。

プライマリーディーラー

落札全体に占める、プライマリーディーラーの割合は55.6%と、 30年債入札では昨年10月の入札(57%)以来の最大となった。

海外の中央銀行を含む間接入札の割合は36.1%。前回入札(8 月12日)は46%、過去10回の入札の平均は36.6%となってい る。

プライマリーディーラー以外の直接入札の割合は8.3%。過去 10回の入札の平均は18%だった。

プライマリーディーラーであるキャンター・フィッツジェラルド の金利責任者、ブライアン・エドモンズ氏は、「この日の入札は冴え ない結果となり、プライマリーディーラーが大部分を消化せざるを得 なかった。しかしながら需要はなお良好で、それは年限を問わずに言 えることだ」と述べた。

入札の需要

投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.73倍と、前回の

2.77倍を下回った。過去10回の入札の平均は2.65%だった。

この日の入札は8月の前回入札分とのリオープニング(銘柄統合) で、今週実施の計3回の入札(発行総額670億ドル)の最終となっ た。今週の入札規模は3年、10年、30年債の組み合わせとしては、 09年7月以来の最小。

朝方の取引では、米労働省が先週の失業保険申請件数を発表する と、国債は下落した。4日に終わった1週間の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は前週から2万7000件減少して45万1000件。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は 47万件だった。前週は47万8000件(速報値は47万2000件) に修正された。

米商務省が同時に発表した7月の貿易収支統計によると、財とサ ービスを合わせた貿易収支 (国際収支ベース、季節調整済み)は 428億ドルの赤字と、前月から赤字幅が14%縮小した。縮小率は 2009年2月以来最大。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト予想の中央値は470億ドルの赤字だった。

◎NY金:3週間ぶり大幅安、米株高で代替需要減-1250.90ドル

ニューヨーク金先物相場は3週間ぶりの大幅安。米国株が上昇し たことで代替投資先としての金の魅力が薄れた。

S&P500種指数は4週間ぶりの高値に上昇。米新規失業保険 申請件数が予想以上に減少したことが好感された。8日に金はオンス 当たり1264.70ドルと、6月21日に付けた過去最高値1266.50 ドルに迫った。年初から前日まででは、金は15%上昇した一方、S& P500種指数は1.5%下げている。

ラサール・フューチャーズ・グループのトレーダー、マシュー・ ジーマン氏(シカゴ在勤)は「リスク志向の取引が戻りつつあるため、 株が上昇し、金が下落している」と指摘。「投資家は再び金を買う前 に、値下がりするかどうか様子を見ている状況だ」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比6.60ドル(0.5%)安の1オンス=

1250.90ドルで取引を終了。中心限月としては8月20日以降で最 大の下げとなった。終値ベースでの過去最高値は9月7日の

1259.30ドル。

◎NY原油:下落、石油総在庫の増加を嫌気-終値74.25ドル

ニューヨーク原油先物相場は下落。米石油総在庫が少なくとも 1990年以来の高水準に増加したことが嫌気された。

米エネルギー省が発表した先週分の週間在庫統計では、原油と燃 料を含む総在庫(戦略石油備蓄を除く)が19万6000バレル増加 し、11億4000万バレルとなった。一方、ヒーティングオイル(暖 房油)とディーゼル油を含む留出油と原油を合わせた在庫は予想外に 減少した。同統計が発表された午前11時には、相場は3週間ぶりの 高値に押し上げられ。

シティ・フューチャーズ・パースペクティブ(ニューヨーク)の アナリスト、ティム・エバンス氏は「この日の在庫統計は一見すると 明るい内容に見えるため、発表後すぐに相場が上昇したのは理解でき る。だが、よく見ると全体の在庫増加が隠されていた」と述べ、「在 庫は依然として大幅に過剰となっている」と付け加えた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比42セント(0.56%)安の1バレル=74.25ドルで取引を終 了した。一時は75.96ドルと、8月19日以来の高値を付ける場面 もあった。

◎欧州株:続伸、米失業保険申請の予想以上の減少を好感

欧州株式相場は続伸。4カ月ぶりの高値から上げ幅を拡大した。 上昇は過去5営業日で4度目。米労働省が発表した先週の新規失業保 険申請件数が予想を下回ったことが好感された。

英銀3位のバークレイズは5%高。銀行株価指数の上げをけん引 した。米新規失業保険申請の発表で、米経済の力強さに対する確信が 高まったことが背景にある。独自動車メーカーのダイムラーは

2.6%高。自動車株価指数は2008年10月以来の高水準に押し上げ られた。クレディスイス・グループはダイムラーの利益見通しを上方 修正した。半導体設計の英ARMホールディングスは4%上昇。同社 は新型のプロセッサー(MPU、超小型演算処理装置)を発表した。

ストックス欧州600指数は前日比1.1%高の265.09と、4 月26日以来の高値で取引を終了。同指数は5月に付けた年初来の安 値から14%上昇している。

コリンズ・スチュアートのチーフ株式ストラテジスト、アンソニ ー・ドワイヤー氏はブルームバーグラジオの番組「ブルームバーグ・ サーベイランス」のトム・キーン司会者とのインタビューで、「景気 は二番底に陥っていないため、これまで国債に流れていた資金がどこ にいくのか、投資家は様子を見ている状況だ」と指摘。「企業は利益 を伸ばしながらコストは抑えている。金利水準も極めて低く、株価は 今後、現在の水準より大幅に高くなるだろう」と語った。

米労働省が9日発表した4日に終わった1週間の新規失業保険申 請件数は前週から2万7000件減少して45万1000件となり、景 気減速とともに企業が雇用削減ペースを加速するとの懸念が緩和され た。

◎欧州債:独国債下落、株高とリスク意欲-周縁国との利回り差縮小

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落。株高に加え、経済統計で 米景気減速の懸念が和らいだことを背景に、比較的安全とされる国債 に対する需要が後退した。

独2年債はほぼ1カ月ぶり高水準となった。株価を示すMSCI 世界指数はこの日は堅調。ギリシャ公的債務管理庁(PDMA)のク リストドゥル長官が、ギリシャ国債は「高い利回りを物色する好機だ」 と発言したことを背景に、ギリシャ国債とドイツ国債のスプレッド (利回り格差)は縮小した。

米労働省が9日発表した4日に終わった1週間の新規失業保険申 請件数は前週から2万7000件減少して45万1000件となった。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の資本市場戦略担当ア シスタントディレクター、オーランド・グリーン氏は、「ドイツ国債 相場の下落はリスク意識の変化を反映している」と述べ、「株高とス プレッドの小幅縮小で、イベントリスクが低下しつつあるという全体 像が鮮明になった」と続けた。

ロンドン時間午後4時14分現在、独10年債利回りは前日比4 ベーシスポイント(1bp、bp=0.01%)上昇の2.34%。同国 債(表面利率2.25%、2020年9月償還)価格は0.37ポイント下 げ99.25。2年債利回りは7bp上げ0.70%と、先月12日以来 の高水準となった。

周縁国債

周縁国債のドイツ国債に対する上乗せ利回りは縮小した。あるト レーダーが匿名を条件に8日に発言したところによると、欧州の複数 の中央銀行がギリシャとアイルランド、ポルトガルの国債を購入した。

アイルランド10年債の独10年債に対するスプレッドは19b p縮小し352bp。前日は過去最大となる377bpに達した。ギリ シャ10年債と同年限のドイツ債の利回り格差は14bp縮まり938 bp。前日には957bpまで上昇し、5月7日に付けた過去最大ま で16bpに近づいた。

◎英国債:下落、10年債利回り3.05%-株高と債務懸念緩和

英国債相場は下落。株高に加え、アイルランドが国債入札を実施 したことで欧州債務危機への懸念が和らぎ、安全とされる国債に対す る需要が後退した。

ダブリンに本社を置く証券会社、グラス・セキュリティーズは、 アイルランドの国債入札の結果について、「妥当な水準で予想以上だ った」と指摘した。

10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)上昇し3.05%と、先月19日以来の高水準となった。2 年債利回りは2bp上昇の0.68%。

イングランド銀行(英中央銀行)は9日の金融政策委員会(MP C)で、政策金利を過去最低の0.5%に据え置くとともに、資産買 い取りプログラムの規模を2000億ポンドに維持することを決めた。 ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想と一致した。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 名子 知子 Tomoko Nago-Kern +1-212-617-2407 tnagokern@bloomberg.net ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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