ソブリン危機救済のEU基金、利用の可能性高まっている-モルガンS

ソブリン債危機に直面した国を 救済するために設立された基金を、欧州の1国が利用するとの観測が 浮上している。モルガン・スタンレーがリポートで「可能性は高まっ ている」と指摘した。

欧州連合(EU)当局者らが4400億ユーロ規模の欧州金融安定 ファシリティー(EFSF)を設立してから4カ月になるが、アイル ランドとポルトガルの10年物国債のドイツ債とのスプレッド(利回 り格差)は高止まりし今週は過去最大になった。投資家は重債務国の 財政を依然として懸念している。

モルガン・スタンレーの共同グローバル・チーフエコノミスト、 ヨアヒム・フェルズ氏は9日公表したリポートで、「EFSFはその 存在だけで市場沈静化に十分な力があり、実際に利用されることはな いというユーロ圏当局者らの期待は、アイルランドやポルトガルなど 一部周縁国の国債スプレッド拡大が続く状況で裏切られる可能性が高 まっている」と指摘した。

フェルズ氏は、危機は終わっておらず「秋の訪れとともに欧州に は新たな困難がもたらせれるようだ」と記述した。

フェルズ氏は、基金の利用は救済条件の信頼性を示すことや問題 の国が銀行のバランスシート修復に資金を使えることから、混乱の収 拾を早める可能性があると解説。一方で、基金利用国に十分な政策転 換が求められなかったり、基金による起債がフランスやドイツの国債 への需要を圧迫することがあれば、危機を悪化させる可能性もあると 分析。EFSF利用はもろ刃の剣となるとしている。

さらに、危機が独仏などの中核国に飛び火する「相当なリスク」 があるとし、その場合欧州中央銀行(ECB)は債券購入をこれらの 国の国債にまで拡大せざるを得ないだろうとも述べた。