ユーロ反落、ECB理事発言で欧州不安再燃-対円再び106円割れ

東京外国為替市場ではユーロが反落 した。欧州中央銀行(ECB)の理事がドイツの銀行の資本不足を指摘 したことが伝わり、欧州の金融システムに対する懸念が再び強まった。 ユーロは前日の海外市場で反発していたが、上昇幅のほとんどを吐き出 す格好となった。

ユーロは対円で朝方に1ユーロ=107円付近まで値を切り上げる場 面も見られたが、午後には105円97銭まで下落。対ドルでは1ユーロ =1.2700ドルを割り込み、1.2665ドルまで値を下げた。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、欧州 債務問題については銀行のストレステスト(健全性審査)でいったん片 が付いた形にはなっていたが、根本的な問題は残っており、その解決に はそれなりに時間がかかると指摘。「景気回復のペースにもよるし、好 調だったドイツ景気にも若干陰りが見られるとなると、やはり積極的に ユーロを買っていく材料はないということになるのだろう」と語った。

ECBのシュタルク理事はドイツの銀行が資本をさらに必要として いると述べた、とフィナンシャル・タイムズ・ドイツ版(FTD)が伝 えた。FTDによると、同理事はメルケル首相率いるキリスト教民主同 盟(CDU)の議員との会合で語った。FTDによれば、同理事は貯蓄 銀行と州立銀行が特にリスクにさらされていると述べた。

欧州不安が再燃

欧州債務危機の再燃懸念を背景に8日の東京外国為替市場ではユー ロが対円で一時、105円80銭まで下落し、8月24日に付けた約9年 ぶり安値(105円44円)に接近。対ドルでは一時、約1週間ぶり安値 となる1.2659ドルを付け、対スイス・フランでは1999年のユーロ導 入以来の最安値を更新する場面が見られていた。

その後の海外市場ではポルトガルとポーランドが実施した国債入札 が順調だったこともあり、欧州不安が一服。ユーロは対ドルで1.27ド ル台後半、対円で107円台前半まで反発していたが、この日の東京市 場ではシュタルク理事の発言をきっかけに欧州不安が再燃し、午後には ユーロ売りが先行する展開となった。

また、ユーロ安・円高につられる形で、ドル・円は1ドル=84円 ちょうど前後から一時、83円60銭までドル安・円高が進行。ただ、 日本の当局による円売り介入への警戒感もあり、積極的に円の上値を追 う動きは限られた。

介入警戒

野田佳彦財務相は9日午前の参院財政金融委員会の閉会中審査で、 円高に対し「必要な時には断固たる措置を取るという方針に変わりはな い」と、介入も辞さない姿勢をあらためて示し、為替介入の実施につい ては「いろいろとシミュレーションはしている」を語った。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市場 調査の尾河真樹シニアマーケットアナリストは、きのうは米国株の反発 や米長期金利の上昇、介入警戒などを背景に円高の流れが一服したが、 「米国で良い経済指標が続き、米金利が上昇するという流れにならない となかなかドル・円の本格的な上昇にはつながりにくい」と指摘。「投 機的な動きが加速すれば、もう少し円高が進むリスクはある」と話して いた。

円は8日の東京市場で一時、83円35銭と1995年5月以来の高値 まで上昇。その後の海外市場では反落し、一時は84円4銭まで値を切 り下げる場面が見られていた。

一方、日本時間午前10時半に発表されたオーストラリアの8月の 雇用統計では、雇用者数が前月比3万900人増加とブルームバーグが まとめたエコノミスト調査の予想中央値(2万5000人増)を上回った。 失業率も5.1%と前月の5.3%から予想以上の低下となった。

好調な雇用情勢を受けて、オーストラリア・ドルは対ドルで約4カ 月ぶり高値まで上昇。対円でも一時、豪ドル買いが強まる場面が見られ た。