債券続伸、日米株高嫌気も追加緩和観測が支え-長期金利は午後に低下

債券相場は続伸。前日の米国市場が 株高、債券安、円高一服となったため、国内債市場も株価反発などを 手掛かりに売りが先行した。しかし、日本銀行による追加緩和の観測 が支えとなり、午後には買いが優勢になって長期金利は低下に転じた。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、日中取引ではこれといった買い材料は見当たらなかったとし ながらも、根強い円高圧力を背景に追加緩和の思惑がくすぶっており、 週初に売り込まれた中期ゾーンが買われているのが支えだとも話した。

東京先物市場では午前の取引で9月物と12月物の売買高が逆転 して、中心限月は期先の12月物に移行した。12月物は前日比14銭安 い141円48銭で始まり、開始後しばらくは141円50銭を挟んで推移 した。しかし、午後に入って買いが優勢となると一時は12銭高の141 円74銭まで上昇しており、結局は変わらずの141円62銭で終了した。

前日の米国市場での株高や円高一服などを受けて朝方には先物売 りが先行。8日の米国市場では欧州のソブリン債危機の緩和が材料視 され、ダウ工業株30種平均など主要な株価指数が反発する一方、米 10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)高の2.67%付近で引けた。 為替相場は一時1ドル=84円付近までドル高・円安となった。

もっとも、日経平均株価が朝高後に伸び悩んだほか、為替相場の 円安圧力も限定的だったため、先物12月物は売り一巡後にもみ合い推 移が続いた。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、午前 には米国債反落などを受けた売りが優勢だったとしながらも、「あすに 5年債入札、来週14日には民主党代表選や20年債入札を控えている ため、投資家は買うにも売るにも動きづらい」とみていた。

追加緩和観測が相場押し上げ

為替市場では今後のドル安・円高見通しが根強いことが、日銀に よる追加緩和の観測につながっており、午後の債券先物相場を押し上 げるきっかけとなったもよう。

8日の外国為替市場では1ドル=83円35銭を付け、1995年5月 以来のドル安・円高を記録したが、その後は円高圧力が緩和している。 しかし、みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコ ノミストは、米国で景気見通しが改善して金利の先高期待が広がらな い限り、ドル安・円高基調は容易に転換しないとみており、「今後も折 に触れ日銀の追加緩和を催促する格好で円高が進みやすい」とみる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の長谷川治美シニア債券ス トラテジストは、景気の下振れリスクが高まれば日銀が追加緩和に動 く見通しであるほか、超長期ゾーンは民主党代表選を控えて財政リス クにさらされやすいことから、中期債は押し目買いが期待できると話 した。

あす5年債入札、無難見通し

財務省は10日に5年利付国債(9月発行)の価格競争入札を実施 する。5年債の表面利率(クーポン)について、市場では前回債と同 じ0.3%が有力。あすの朝方の取引で軟調な推移となれば0.1ポイン ト引き上げの0.4%の可能性も出てくる。

5年物の90回債利回りは7日には一時0.37%まで上昇して、新 発5年債として7月14日以来の高い水準を付けたが、その後に買いが 膨らむと0.3%を挟む水準に戻した。

5年債利回りは週初に振れたとはいえ長期や超長期ゾーン対比で は安定しているため、日銀の追加緩和の思惑が強いこともあって無難 な結果が見込まれている。JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ス トラテジストは、長めの年限で金利が振れやすいことから、銀行など 余剰資金を抱える投資家は期末のタイミングに当たって5年買いに動 く可能性が高いとの見方を示した。

10年債利回りは1.12%

現物市場で新発10年物の310回債利回りは、8日終値より1bp 高い1.14%で始まり、午前には1.14-1.145%でもみ合った。しかし、 午後に入って買いが優勢となると前日終値を下回る展開となり、2時 過ぎには1.5bp低い1.115%まで下げた。午後4時21分現在では1bp 低下の1.12%で取引されている。

310回債利回りは6日午後には1.195%まで上振れて、新発10年 債として2カ月半ぶりの高水準を記録したが、前日からは1.1%台前 半から半ばで落ち着きを取り戻している。みずほインベスターズ証の 落合氏は、超長期ゾーンでは荷もたれ感が残っているが、米景気の減 速懸念がくすぶる中で10年債の1.2%は節目になると言い、14日の民 主党代表選などのイベント通過後には買いが入りやすいとも予想した。

一方、8日午後には20年や30年債など超長期ゾーンが売り込ま れたが、円高に伴う追加緩和の憶測から中期債には買いが入るなど、 利回り曲線にはスティープ(傾斜)化圧力がかかっていた。この日も、 5年債利回りが1bp高の0.30%となったのに対して、20年債は一時 2bp高い1.915%を付けるなどスティープ化が進む場面があった。

--取材協力:菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

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