9月8日の海外株式・債券・為替・商品市場 (Update2)

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:円が15年ぶり高値から下落-リスク緩和

ニューヨーク外国為替市場では、円がドルに対し15年ぶり高値 から下落。欧州の国債入札での需要改善で、域内債務危機が悪化する との懸念が後退したことが背景にある。また、日本政府が為替介入に 踏み切るとの観測も材料となった。

この日実施されたポルトガルとポーランドの国債入札では前回よ りも強い応札がみられた。これに反応してユーロが買われた。円は主 要16通貨のほとんどに対して値下がり。野田佳彦財務相が、「必要 な時には断固たる措置を取る」と発言したことを受けて売られた。米 連邦準備制度理事会(FRB)が8日発表した地区連銀経済報告(ベ ージュブック)では、景気減速の兆候が指摘された。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニア 為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は、「ダウ工業株 30種平均が上昇しており、これが安全通貨にはマイナス材料となっ た」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時3分現在、円は対ドルで前日比

0.1%安の1ドル=83円92銭。アジア時間には1995年5月以来 の円高水準となる83円35銭を記録していた。ドルはユーロに対し て0.3%安の1ユーロ=1.2716ドル。

カナダ・ドルは上昇。カナダ銀行(中央銀行)が政策金利を従来 の0.75%から1%に引き上げたことが手掛かりとなった。対米ドル で1%上げて、1米ドル=1.0374カナダ・ドル。

スイス・フラン

スイス・フランはユーロに対し、過去最高値付近で推移。フラン は0.4%安の1ユーロ=1.2871フラン。一時は1.2766フランと、 1999年のユーロ導入以来の最高値を付けた。対ドルでは一時

1.0061フランと、9カ月ぶりにパリティー(等価)に迫った。

ポルトガル政府は8日に国債入札を実施し、2013年償還債6億 6100万ユーロ(約700億円)と21年償還債3億7800万ユーロ を発行した。21年4月償還債の応札倍率は2.6倍(前回は1.6倍) だった。

欧州の複数の中央銀行は、ギリシャとアイルランド、ポルトガル の国債を購入した。取引にかかわったトレーダーが明らかにした。

ポルトガル10年債と独10年債とのスプレッド(利回り格差) はこの日、350bp。前日は一時、過去最大の372bpまで拡大し た。

市場の動き

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、 ウィン・シン氏は、中銀のこうした動きについて、「市場の流動性維 持を確実にすることが狙いだ」と指摘。「スプレッドが拡大してきて いても、中銀は購入を低く抑えている。市場が実際に機能していると 感じているからだ。双方向での流れがあり、市場の動きは止まっては いない」と説明した。

シティグループによれば、ユーロが対ドルで支持線を割った場合、 4%下げて、7月に付けた水準に達する可能性がある。

シティのチーフ・テクニカルアナリスト、トム・フィッツパトリ ック氏(ニューヨーク在勤)は、顧客向けの調査リポートで、ユーロ が支持線である1ユーロ=1.2588ドルを下回った場合、1.22ド ルまで下落する可能性があると指摘した。これは、7月1日以来の安 値。ユーロの抵抗線については、1.2923ドルとしている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が8日発表した地区連銀経済報 告(ベージュブック)では、米国の景気は7月半ばから8月末までに 引き続き拡大したものの、「減速の兆候が広がってきた」ことが示さ れた。

UBSのストラテジスト、アメリア・ブルドー氏は「ベージュブ ックの内容は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明と合致 する」と指摘。「経済はいくらか成長しているが、減速の兆候が見ら れる」と続けた。

◎米国株:反発、欧州ソブリン債懸念が緩和-アップルが高い

米株式相場は反発。欧州ソブリン債危機が世界の景気回復を妨げ るとの懸念が緩和したのが背景となった。S&P500種株価指数は 過去6営業日のうち5日で値上がりしている。

JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BOA)は 上昇。ポルトガル国債やポーランド国債への需要改善を手掛かりに欧 州株は上昇した。ゴールドマン・サックス・グループも高い。米プラ イベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社KKRと米資産運用 会社ペレラ・ワインバーグ・パートナーズがゴールドマンの米自己勘 定トレーディング部門の人材採用をめぐって協議していると、関係者 が明らかにした。アップルも高い。UBSが利益と株価見通しを引き 上げたのが好感された。

S&P500種株価指数は前日比0.6%高の1098.87。ダウ工 業株30種平均は46.32ドル(0.5%)上げて10387.01ドル。

フィデュシャリー・トラスト(ボストン)のマイケル・マレーニ ー氏は、「リスク志向が高まっている」と述べ、「どんなものでも欧 州から安定性の兆しが出てくれば、リスク資産への需要が高まる。投 資家には手持ち資金が豊富にある。最新の米経済統計は励みになる内 容だった」と続けた。

S&P500種は今年4月に記録した年初来の高値からは9.7% 下げている。米雇用の伸び悩みや欧州の歳出削減など、多くの不安材 料が株価を押し下げている。

金融株

S&P500種金融株価指数は1.1%高と、産業別10指数のう ち値上がり率トップだった。24銘柄で構成されるKBW銀行指数は

1.7%上昇した。

JPモルガンは2.2%高。BOAは1.2%上昇した。両銘柄と も前日は欧州の債務危機不安を売り材料に値下がりしていた。

JPモルガン・ファンズ(ニューヨーク)の主任市場ストラテジ スト、デービッド・ケリー氏は、「短期の材料に左右される相場だ」 と指摘、「長期的視点に立った論理的でファンダメンタルな市場では ない。前日の売り浴びせに対する反射的な反応だ。今年、リセッショ ン(景気後退)の二番底に陥るという話はハリケーン『アール』のよ うなものだ。アールは実際には米国本土を直撃しなかった。先行きが どうなるかは誰にも分からないものだ」と説明した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した地区連銀経済報告 (ベージュブック)では、12地区のうち5地区は「緩やかなペース での経済成長」、2地区は「前向きな動き、もしくは改善」を指摘。 残りの5地区は、状況はまちまち、もしくは減速と報告した。

米景気回復ペース

オバマ大統領は8日、景気回復の進展ペースが「痛々しいほど鈍 い」ことを認識していると述べた。大統領は企業や中間所得層を対象 にした減税、同時に富裕層の税率引き上げを盛り込んだ法案を成立さ せるよう議会に求めた。

アップルは2%高。UBSはアップルの株価見通しを340ドル から350ドルに引き上げた。また今年と来年の1株当たりの利益予 想についても、それぞれ14.51ドルと18.09ドルと、これまでの 予想14.50ドルと16.62ドルから上方修正した。

事務用品小売り最大手ステープルズも高い。ゴールドマンがステ ープルズの投資判断を「ニュートラル」から「買い」に引き上げたの が好感された。

◎米国債:下落、欧州債務懸念が緩和-10年債2.65%

米国債相場は下落。欧州ソブリン債危機で世界的な景気回復が損 なわれるとの懸念が和らぎ、米国債を売って、高利回り資産を買う動 きが優勢になった。

ポルトガルが実施した国債(2021年償還)入札で、応札倍率が 前回入札を上回ったため、米国債は下落した。ただ、米10年債はそ の後、米10年債入札と地区連銀経済報告(ベージュブック)を受け て下げ渋った。米財務省が実施した規模210億ドルの入札では、海 外の中央銀行を含む間接入札の落札全体に占める割合が過去1年間で 最も高い水準となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した ベージュブックでは、米国の景気は引き続き拡大したものの、「減速 の兆候が広がってきた」ことが示された。

RWプレスプリッチの政府・機関債トレーディング担当マネジン グディレクター、ラリー・ミルスタイン氏は「ユーロ圏のニュースは 古く、この日は不安がやや後退したため、リスク志向が再び活発化し ている」と指摘。「景気にはかなりの不透明感が残っており、押し目 では引き続き買いが入っている」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時1分現在、10年債利回りは前日比5ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.65%。一時は8bp上昇し、

2.68%を付ける場面もあった。同年債(表面利率2.625%、2020 年8月償還)価格は14/32下げて99 25/32。

2年債利回りは3bp上昇の0.52%。先月には過去最低の

0.4542%を付けていた。30年債利回りは6bp上昇の3.72%。

株式相場は上昇

S&P500種株価指数は0.6%高。一時は1.1%値上がりする 場面もあった。ストックス欧州600指数は1%高。原油先物10月 限も上昇した。

ベージュブックによると、12地区のうち5地区は「緩やかなペ ースでの経済成長」、2地区は「前向きな動き、もしくは改善」を指 摘。残りの5地区は、状況はまちまち、もしくは減速と報告した。

プライマリーディーラーの一角であるジェフリーズのチーフ金融 エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏(ニューヨーク在勤)は 「ベージュブックは、強弱入れ混じった経済活動を描いている。経済 活動はやや勢いを失ったが、なお成長を続けており、インフレ圧力は 無視できるほどの低水準にとどまっている」と述べた。

米経済成長の減速

米商務省が8月27日発表した、4-6月(第2四半期)実質国 内総生産(GDP、改定値、季節調整済み、年率)は前期比1.6% 増加と、速報値の2.4%から下方修正された。第1四半期のGDP は3.7%増だった。

この日の10年債入札で、最高落札利回りは2.670%と、 2009年1月以来の最低水準となった。ブルームバーグがまとめた入 札直前のプライマリーディーラー8社の予想平均は2.685%だった。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.21倍。過去10回の 入札の平均は3.06倍だった。

落札全体に占める、海外の中央銀行を含む間接入札の割合は

54.7%と、09年9月以来の最高水準となった。プライマリーディ ーラー以外の直接入札の割合は6.9%。過去10回の入札の平均は

13.6%だった。

この日の入札は今週実施される3回(発行総額670億ドル)の 入札の2回目。発行総額は3年、10年、30年債の入札の組み合わ せとしては09年7月以来の最小となる。

◎NY金:小反落、一時過去最高値に接近も-株高で逃避需要薄れる

ニューヨーク金先物相場は小幅反落。一時は過去最高値に接近し たが、株価の上昇で安全への逃避先としての金への需要が薄れ、売り が優勢に転じた。

この日は欧州と米国で株価が上昇。ポルトガルとポーランドの国 債入札で需要が改善し、ソブリン債をめぐる懸念が緩和されたことが 背景。金は一時オンス当たり1264.70ドルまで上昇した。日中取 引での過去最高値は6月21日に付けた1266.50ドル。前日は終値 ベースで過去最高の1259.30ドルで引けた。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドディ ーラー、フランク・マギー氏(シカゴ在勤)は、「金は過去最高値に 接近し、上値抵抗に遭っている」と指摘。「株が上昇する可能性はあ るが、雇用情勢の改善が景気回復を支えるようになるまで、投資家は 金に資金をとどめざるを得ないだろう。金は上昇する必要はない。価 値を維持すれば良いだけだ」と語った。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 相場12月限は前日比1.80ドル(0.1%)安の1オンス=

1257.50ドルで取引を終了。この日は0.4%上昇した後で0.4% 下げる場面もあった。

◎NY原油:3日ぶり上昇、株高とドル安で-終値74.67ドル

ニューヨーク原油先物相場は3営業日ぶりに上昇。株が上げた一 方、ドルの対ユーロ相場が下げたことで、代替投資先としての商品へ の魅力が強まった。

原油は一時1.8%上昇。ポルトガルとポーランドの国債への需 要が改善したことで、株が上昇したことがきっかけだった。その後、 原油は上げ幅を縮小。米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した地 区連銀経済報告(ベージュブック)で、米国の景気が7月半ばから8 月末までに「減速の兆候が広がってきた」ことが示されたことが手掛 かりとなった。

エネルギー顧問会社、オイル・アウトルックス・アンド・オピニ オンズ(ヒューストン)のカール・ラリー社長は、「株とドルが相場 を動かしている」と指摘。「投資家サイドからの需要がやや高まり始 め、出来高が8月から回復しつつある」と続けた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前 日比58セント(0.78%)高の1バレル=74.67ドルで取引を終 了した。一時は75.39ドルまで上げる場面もあった。過去1年間で は5%上昇している。

◎欧州株:4カ月ぶり高値に上昇、ソブリン債懸念の緩和-BP高い

欧州株式相場は4カ月ぶりの高値に上昇した。ポルトガルやポー ランドの国債への需要が改善し、ソブリン債をめぐる懸念が緩和され たことが背景。英石油会社BPなどがけん引役となった。

BPは1.3%高と、7営業日連続で上昇。信用格付けが3段階 引き上げられたほか、同社がメキシコ湾の原油流出事故の原因を究明 した内部調査の結果を発表したことが材料視された。仏製薬最大手サ ノフィ・アベンティスは2.1%高。シティグループが同社の株価見 通しを15%引き上げたことを手掛かりに買われた。モバイルネット ワーク機器メーカーで世界最大手、スウェーデンのエリクソンは

4.6%高。クレディスイスは同銘柄の買いを推奨した。

ストックス欧州600指数は前日比1%高の262.33と、4月 26日以来の高値で取引を終了。同指数を構成する19産業すべてが 上昇した。4月15日に付けた年初来の高値からは依然として

3.6%下げている。

バークレイズ・ストックブローカーズで運用に携わるヘンク・ポ ッツ氏は「市場の動きは今も極めて荒いため、好材料が出ると割と急 激に反応する」と指摘。「投資家は今も非常に神経質になっている。 BPは相場全体に寄与しているが、大きな試練を経て大幅下落から値 を戻している状況にある。同社をめぐる先行き不透明感は依然として 強い」と語った。

この日はポルトガル政府が国債入札を実施し、2021年償還債の 応札倍率が2.6倍と、前回3月の1.6倍を上回った。また、ポー ランドが実施した5年債入札は需要が2008年以来の最高となった。 チェコが実施した3年債入札では借り入れコストが過去最低に低下し た。

格付け会社フィッチ・レーティングスはBPの長期発行体デフォ ルト格付け(IDR)と無担保優先債格付けを、これまでの「BBB」 から「A」にそれぞれ引き上げたと発表した。格付けアウトルック (見通し)は「ステーブル(安定的)」としている。マコンド油井か らの「原油流出の恐れがなくなった」ことを反映していると説明した。

◎欧州債:ドイツ国債、3日ぶり下落-ポルトガル国債入札と株高で

欧州債市場ではドイツ国債相場が3日ぶりに下落。ポルトガル国 債入札で安定した応札があったほか、株式相場が上昇したことから、 域内で最も安全とされるドイツ国債に対する需要が圧迫された。

独2年債利回りは6月以来の低水準まで1ベーシスポイント(1 bp、bp=0.01%)に近づいた後、上昇に転じた。ポルトガルが この日、満期2013年と21年の国債を10億4000万ユーロ入札 したことを背景に、ポルトガル国債のドイツ国債に対する上乗せ利回 りは縮小した。

4キャストの債券ストラテジスト、エリック・ワンド氏(ロンド ン在勤)は「短期的にはリスクテーク意欲が戻りつつあるようだ」と 述べた。さらに、「ポルトガルの国債入札までスプレッドは大きく拡 大していた」ことから、入札結果で利益確定の売りが促され主要国の 国債が売られたと語った。

ロンドン時間午後4時20分現在、ドイツ10年債利回りは前日 比3bp上昇の2.29%。2年債利回りは6bp上昇し0.63%。一 時は0.56%まで下げた。前日には6月30日以来の低水準となる

0.55%を付けた。

ポルトガル10年債と独10年債との利回り格差は350bpと、 前日からほぼ変わらず。一時はブルームバーグがデータ集計を開始し た1997年以降の最大となる372bpまで拡大した。

◎英国債:下落、10年債利回りは一時3%-2年債利回り0.68%

英国債相場は下落。10年債利回りは一時、前日比9ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)上昇し3%を付けた後、2.99% となった。

同国債(表面利率4.75%、2020年3月償還)価格は0.69ポ イント下げ114.45。2年債利回りは2bp上昇し0.68%。

この日発表された英国の経済統計で、住宅価格が予想外に上昇し たほか、製造業生産は3カ月連続で増加した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では、イ ングランド銀は政策金利を過去最低の0.5%に据え置き、資産買い 取り計画を2000億ポンド(約26兆円)に維持すると見込まれて いる。同中銀はロンドン時間9日正午(日本時間午後8時)に金融政 策を公表する。

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