NY外為:円が15年ぶり高値から下落-リスク緩和

ニューヨーク外国為替市場では、 円がドルに対し15年ぶり高値から下落。欧州の国債入札での需要改 善で、域内債務危機が悪化するとの懸念が後退したことが背景にある。 また、日本政府が為替介入に踏み切るとの観測も材料となった。

この日実施されたポルトガルとポーランドの国債入札では前回よ りも強い応札がみられた。これに反応してユーロが買われた。円は主 要16通貨のほとんどに対して値下がり。野田佳彦財務相が、「必要 な時には断固たる措置を取る」と発言したことを受けて売られた。米 連邦準備制度理事会(FRB)が8日発表した地区連銀経済報告(ベ ージュブック)では、景気減速の兆候が指摘された。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニア 為替ストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏は、「ダウ工業株 30種平均が上昇しており、これが安全通貨にはマイナス材料となっ た」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時3分現在、円は対ドルで前日比

0.1%安の1ドル=83円92銭。アジア時間には1995年5月以来 の円高水準となる83円35銭を記録していた。ドルはユーロに対して

0.3%安の1ユーロ=1.2716ドル。

カナダ・ドルは上昇。カナダ銀行(中央銀行)が政策金利を従来 の0.75%から1%に引き上げたことが手掛かりとなった。対米ドル で1%上げて、1米ドル=1.0374カナダ・ドル。

スイス・フラン

スイス・フランはユーロに対し、過去最高値付近で推移。フラン は0.4%安の1ユーロ=1.2871フラン。一時は1.2766フラン と、1999年のユーロ導入以来の最高値を付けた。対ドルでは一時

1.0061フランと、9カ月ぶりにパリティー(等価)に迫った。

ポルトガル政府は8日に国債入札を実施し、2013年償還債6 億6100万ユーロ(約700億円)と21年償還債3億7800万ユ ーロを発行した。21年4月償還債の応札倍率は2.6倍(前回は

1.6倍)だった。

欧州の複数の中央銀行は、ギリシャとアイルランド、ポルトガル の国債を購入した。取引にかかわったトレーダーが明らかにした。

ポルトガル10年債と独10年債とのスプレッド(利回り格差) はこの日、350bp。前日は一時、過去最大の372bpまで拡大し た。

市場の動き

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア為替ストラテジスト、 ウィン・シン氏は、中銀のこうした動きについて、「市場の流動性維 持を確実にすることが狙いだ」と指摘。「スプレッドが拡大してきて いても、中銀は購入を低く抑えている。市場が実際に機能していると 感じているからだ。双方向での流れがあり、市場の動きは止まっては いない」と説明した。

シティグループによれば、ユーロが対ドルで支持線を割った場合、 4%下げて、7月に付けた水準に達する可能性がある。

シティのチーフ・テクニカルアナリスト、トム・フィッツパトリ ック氏(ニューヨーク在勤)は、顧客向けの調査リポートで、ユーロ が支持線である1ユーロ=1.2588ドルを下回った場合、1.22ド ルまで下落する可能性があると指摘した。これは、7月1日以来の安 値。ユーロの抵抗線については、1.2923ドルとしている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が8日発表した地区連銀経済報 告(ベージュブック)では、米国の景気は7月半ばから8月末までに 引き続き拡大したものの、「減速の兆候が広がってきた」ことが示さ れた。

UBSのストラテジスト、アメリア・ブルドー氏は「ベージュブ ックの内容は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明と合致 する」と指摘。「経済はいくらか成長しているが、減速の兆候が見ら れる」と続けた。