S&P小川氏:日銀は国債買入増額を-脱デフレへ避けられず(Update

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)の小川隆平ディレクター(シンガポール在勤) は、日本銀行の追加金融緩和策は不十分として、日本のデフレ脱却の 実現へ向けて日銀による長期国債買い入れの増額は避けられないとの 認識を示した。

小川氏は「日銀ができることはもっとたくさんある。国債をもっ と買えばよい。避けては通れない道だ。単に先延ばしているだけのよ うな印象を受ける」と述べ、日銀の長期国債買い入れを増額すべきだ との考えを示した。8日都内でブルームバーグ・ニュースのインタビ ューで語った。

日銀は円高・株安による景気下振れを回避するため、先月30日開 いた臨時の金融政策決定会合で、新型オペによる資金供給額を20兆円 から30兆円に引き上げ、このうち10兆円の資金供給期間を3カ月か ら6カ月に延長することを決定。長期国債の買い入れ額は月1.8兆円 で据え置いた。

小川氏はまた、「政府の債券の消化を容易にし、市場への圧力が 弱まるのは確か。国債の発行余地が少し増える」と述べる一方で、「 日銀が政府の国債を多く持つことで将来的にインフレになるリスクが 出てくることで金融政策の先行きに対する信任が減り、円安要因にな る」と指摘した。

赤字削減優先すれば経済失速

その上で「今の段階で赤字削減を最優先すれば、日本経済は失速 し、大きな財政赤字が出る。一番大事なのは中長期的に全体の債務残 高をコントロールすること。中長期的に経済成長が良くなる方策であ れば、一時的に財政が悪化したとしても、いずれ格付けにとってもプ ラスになる」と強調。日本経済を持続可能な成長軌道に乗せるための 財政出動を容認する姿勢を示した。

同社は今年1月、日本の外貨建て・自国建て長期ソブリン格付の 見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。小川氏は「マク ロ経済のリバウンドは比較的強い」としながらも、「民主党代表選後、 どうなるのかが疑問だ。最悪の場合、党が2つに割れるリスクもある。 格付けの観点から財政政策への悪影響を懸念する必要がある」と述べ、 状況は悪化していると指摘した。

日本国債の長期・短期ソブリン格付けは、外貨建て、自国通貨建 てともに、それぞれ「ダブルA」「A-1プラス」に据え置かれて いる。

民主党代表選

民主党の代表選が格付けに与える注目点については、「民主党が どの程度、一体になって政策立案し、実施することができるかだ。ど の候補が勝っても党に亀裂が入る可能性が高い」とし、「ねじれ国会 下で党内の対立が大きくなれば、消費税増税などの思い切った中長期 的な政策実現が難しくなる」と述べた。

小沢一郎前幹事長が代表に選ばれた場合、積極財政路線に転換さ れるとの見方には「はっきり言って分からない。主要な地位に就く前 と後では実際の政策が違う場合がある。政策に一貫性があったとして も、議会で通らないと前に進まない」と指摘。その上で「われわれは 長い目で財政への影響を見ている。短期的に市場が動くことがあって も、ノイズ(雑音)と見ている」と語った。

円高が日本経済に与える影響については「製造業でもかなりの部 分、輸入に頼っている。原材料などの輸入にもプラスになる。20年程 前に比べれば円高に対する直接的な影響は少なくなっている」としな がらも、外需主導の日本にとって輸出減は全体の成長力に影響を及ぼ すとの認識を示した。