債券続伸、円高進行や株価一時9000円割れで買い優勢-30年入札は弱め

債券相場は続伸。前日の米国市場の 流れを引き継ぎ買いが先行した。午後に入って、円相場が約15年ぶり の円高・ドル安水準を更新したほか、日経平均株価が一時9000円を割 り込んだことで買いが膨らんで相場は一段高となった。半面、30年債 入札は最低落札価格が予想を下回るなど弱めの結果となった。

パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部 長は、「円高・株安を背景に、5年債など中期債が強く、10年ゾーン までは堅調。先物も中心限月交代を控えて買い戻しが入りやすい。一 方、30年債入札後も超長期債は買われていない。過去2週間の下げで 証券会社の在庫を抱える力が落ちている」と述べた。

東京先物市場で中心限月9月物は、前日比22銭高の141円77銭 で始まった後、いったん12銭高の141円67銭まで伸び悩んだ。しか しその後は円高・株安の進行を受けて買いが膨らみ、一時42銭高の 141円97銭まで上昇し、3日以来の高値を付けた。結局は23銭高の 141円78銭で引けた。

円高進行で輸出主導の日本経済に懸念が出ている。岡三証券の坂 東明継シニアエコノミストは、「円高になると日本の産業構造上、輸出 企業の経営が悪化し、株安に動き債券先物が買われる。きょう30年債 入札がやや低調な結果となり、相場が売られるはずだったが売られて いない理由には、円高要因もあるのかもしれない」と話した。

為替市場では円がほぼ全面高の展開。円相場は一時1ドル=83円 35銭と、1995年5月以来の円高・ドル安水準を付けた。株式市場では 円高進行を警戒して輸出関連株中心に売られ、日経平均は一時4営業 日ぶりに9000円を割り込み、前日比201円40銭安の9024円60銭で 取引を終えた。

欧州債務懸念

日興コーディアル証券の末沢豪謙金融市場調査部長は、欧州金融 機関のストレステスト(健全性審査)への疑念の強まりを背景に、円 高、株安、海外金利低下となり、安全資産の債券が買われる「質への 逃避」の動きとなっていると説明した。

7日の米国市場では欧州金融機関の財務懸念があらためて意識さ れて株安、債券高となった。また、同日に米財務省が実施した330億 ドルの3年債入札で、最高落札利回りが過去最低となったことも金利 低下要因。米10年債利回りは前日比10ベーシスポイント(bp)低下 の2.60%程度となった。

10年債利回りは一時1.105%

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の310回債利回 りは、前日比1.5bp低い1.12%で始まった。午前10時過ぎに3bp低 い1.105%と3日以来の低水準を付けたが、その後は徐々に水準を切 り上げ、いったんは0.5bp低い1.13%まで戻した。午後に入って再び

1.105%まで低下したが、午後3時過ぎからは1.13%で推移している。

中期債が上昇。新発5年債利回りは一時4.5bp低い0.285%まで 低下した。日本銀行が前日の金融政策決定会合後の声明文で、今後の 追加緩和の可能性を示唆したとの見方が広がったことが引き続き買い 材料となっている。HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、 「日銀の声明で景気の先行き懸念が強まっていることが示され、相場 の行き過ぎに着目した投資家の押し目買いが入り始めている」と説明 した。

半面、30年債入札結果がやや低調となり、超長期債が軟調。新発 20年債利回りは4.5bp高い1.895%、30年物の32回債利回りは5.5bp 高い1.955%に上昇した。

損保ジャパンアセットマネジメントの平松伸治シニアインベスト メントマネジャーは、短中期債は追加金融緩和を織り込むという感じ で買われているが、超長期債は買われていないと指摘。「30年入札結 果も良くなかったし、変動率が高いことが嫌気されているのではない か。円高、株安を受けて、政府も景気刺激のため補正予算を出さざる を得ないという話になれば、財政懸念につながり、超長期債は買いに くくなる」と述べた。

30年入札結果、テールが拡大

財務省がこの日に実施した表面利率(クーポン)2.0%の30年利 付国債(33回債)の入札結果によると、最低落札価格が99円75銭、 平均落札価格は100円16銭となった。

最低落札価格は、事前の市場予想の100円ちょうどを下回った。 小さいほど好調とされる、最低と平均落札価格との差の「テール」は 41銭と前回の36銭から拡大した。一方、応札倍率は4.15倍となり、 前回の4.06倍から上昇した。

岡三証の坂東氏は、「最低落札価格が予想を下回り、やや低調な結 果となった。これまで相場の地合いが不安定だったため、投資家も買 いづらい。しかし、30年債入札の発行額も6000億円程度なので、債 券相場に与える影響は限られている」と述べた。

日本相互証券によると、この日入札された30年物の33回債利回 りは業者間市場では1.98%で寄り付いた後、1.975-2.01%のレンジ で推移。午後3時過ぎからは2.005%で推移した。

--取材協力:菅野顕一郎、野原良明 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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