日本株は正念場から買い場、不動産業種有望-メリル菊地氏

米バンク・オブ・アメリカ(BOA) メリルリンチ傘下のメリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ株式スト ラテジストは、日本株の買い場が接近していると見ている。中でも不 動産株は、低金利の恩恵を受けるほか、市況改善が見込めるとしてセ クター判断の中では最も強気だ。

菊地氏が7日、ブルームバーグとのインタビューで述べた。同氏 によると、9月は企業による株式の持ち合い解消売りが出やすく、年 金の日本株ウエート引き下げなども予想され、需給面で厳しい。さら に10 月に入ると、日米企業決算の下方修正への警戒感が高まる可能 性があり、日本株は「足元で正念場を迎えつつある」と言う。

しかし、この時期に想定される悪材料を織り込み尽くす格好とな り、「秋を無難に乗り切れば、株価には下方硬直性が強まる」と菊地氏 は予想。年末にかけては、「日経平均株価が1万円を回復する局面も想 定しておく必要がある」とした。

当面の下値めどは、TOPIXで790ポイント(日経平均株価は 8750円程度)。これは、東証1部全銘柄平均の株価純資産倍率(PB R、実績)1倍の水準に当たる。為替の円高進行などをきっかけに日 本株が売られ、仮に企業の解散価値とされるPBR1倍を割る展開に なれば、「政府・日本銀行による緊急的な対策が打ち出される公算が大 きい」と菊地氏。また、「1ドル=80円でも株主資本利益率(ROE) が資本コストを上回る見通しであることを考えると、PBR1倍割れ は長続きしない」と見る。

一方、来年に入れば、先行性のある株価は「2012年の世界的な景 気回復を徐々に織り込みに動く」と読んでおり、来年末にかけてTO PIXは最高1200ポイント、日経平均では1万3000円まで回復する 可能性があるという。

低金利プラスは不動産、金融はマイナス

セクター判断は不動産・建設、商社、運輸、電機、機械をオーバ ーウエートとし、金融セクターや食品はアンダーウエートとする。最 も強気に見るのが不動産で、弱気は保険や銀行など金融だ。「不動産は 低金利から資金調達面で恩恵を受けるほか、住宅とオフィス市況が底 入れ・改善傾向にあることもプラスに働く。逆に、低金利は銀行の預 貸利ざや縮小につながるなど、金融セクターには総じてマイナス」と 菊地氏は指摘した。

日本の長期金利は8月はじめ、世界的な景況感の悪化などから7 年ぶりに1%の大台を割り込んだ。景気の下振れリスクに対応するた め、日銀は8月30日の臨時の金融政策決定会合で新型オペの増額、一 部期間の延長など追加金融緩和策を決定した。さらに9月7日の政策 決定会合後の会見で、白川方明総裁は「必要と判断される場合には、 適時適切に政策対応を行っていく」と述べるなど、金利には下方圧力 がかかりやすい状況だ。

不動産関連の直近指標を見ると、不動産経済研究所による7月の 首都圏マンション発売戸数は前年同月比27.8%増の4128戸と6カ月 連続で前年実績を上回っている。また、オフィス賃貸仲介業の三鬼商 事による7月末の都心5区のオフィス空室率は9.1%と、2年半ぶり に低下。住宅、オフィス両市況とも好転の兆しがうかがえる。

中国関連も有望

このほか、菊地氏は中国関連株についても有望との見方だ。BO Aメリルでは先週、世界経済の成長率見通しを見直した。2011年の米 国実質GDP(国内総生産)を従来の前期比2.3%増から1.8%増へ下 方修正する一方、中国の11年実質GDP成長率は9%と従来通りで据 え置いている。中国経済が高成長を続けることを背景に、「中国の人出 不足から恩恵を受ける日本の企業が出てくるほか、中国内需の拡大を 受けて消費関連の一部銘柄も有望」と同氏は話す。

中国での人出不足のメリットを受ける可能性がある日本企業とし ては、島精機製作所、ナブテスコ、SMC、クボタ、キーエンス、フ ァナックなど。中国消費関連としては、ヤクルト本社、アサヒビール、 ローソン、キユーピー、ハウス食品、資生堂などを挙げている。