米経済はデフレ、インフレの危険性ともに低い-TIPSなどが示唆

米国債相場は、同国経済がデフレ に陥るリスクはインフレのリスクと同程度に低いことを示唆している。

バークレイズによれば、インフレ連動債(TIPS)や長短金利 差、実質利回りから判断すると、市場が予想するデフレの確率は 28%にとどまる。2008年に米リーマン・ブラザーズ・ホールディン グスが破たんした直後は70%だった。

全米企業エコノミスト協会(NABE)の先月の調査によると、 エコノミストの半数以上はデフレがインフレよりも脅威だとみている が、債券市場の動向は投資家が物価安定は長期間続くと予想している ことを示唆している。これは、景気刺激策の実施と過去最大の財政赤 字補てんのために資金調達が必要なオバマ政権にとっては好ましいこ とだ。

ペイデン・アンド・ライジェルのシニア・マネジング・パートナ ー、ジェームズ・サーニ氏は「ペースは遅いが経済は成長し、人々も 支出している」とし、「当局は景気てこ入れに積極的な姿勢を示して いる」と指摘した。

ブルームバーグのデータによれば、デフレに陥った場合に最も恩 恵を受ける可能性のある米国債30年物相場は先週、下落。利回りは 3日に3.78%と、1週間で0.092ポイント上昇。週間ベースでは7 月9日終了週以来最大の上昇となった。

10年物の米TIPSの利回りは、同年限の米国債利回りを1.68 ポイント下回る水準。このスプレッド(利回り格差)は、トレーダー が見込む物価上昇ペースを反映したもので、市場予想を上回る雇用増 を受けて3週間ぶりの格差に拡大した。

2年債利回りと10年債利回りのスプレッドは2.20ポイントと、 過去20年間の平均(1.11ポイント)のほぼ2倍。イールドカーブ (利回り曲線)はインフレ期待が大きい場合にスティープ化(傾斜が 拡大)する。

また、ブルームバーグのデータによると、物価水準を考慮した実 質利回りは米10年債で1.15%。デフレへの脅威が高まった08年3 月には0.91%に低下していた。

ただ米消費者物価指数(CPI)のうち、食品とエネルギーを除 いたコア指数は4月以降、前年同月比0.9%上昇と40年ぶりの低水 準が続いている。

米国債市場の規模は、現在8兆2000億ドル(約690兆円)。