国交副大臣:Jリート活性化へ制度見直し-「内部留保」焦点に

国土交通省の馬淵澄夫副大臣は日本 版不動産投資信託(Jリート)について、低迷する取引の活性化に向け 制度見直しを検討する方針を示した。内部留保の金額が限定される仕組 みが安定した配当や資金調達を妨げ、リート市場成長の障害になってい ないかなどを焦点に具体的な議論を進めていく考えだ。

馬淵副大臣はブルームバーグ・ニュースのインタビューで「Jリー トの仕組みに問題意識を持っていた」と語った。大半のリートは利益の 「100%近くを配当しておりファイナンスし続けないとならない」とし 利益を手元に残しにくい制度が不動産市場低迷や信用収縮の中でリー ト経営を圧迫している可能性を指摘した。

Jリートは法人格を持つ投資信託。投資先の賃貸収入などから経費 を差し引いた利益のうち90%超を投資家への配当に回せば、その金額は 損金扱いできる税制上のメリットを受けている。このため大方のJリー トが利益の大半を配当に振り向けるなど、結果として内部留保が限定さ れる仕組みになっている。

馬淵副大臣は「資産デフレ脱却は大命題だ。不動産の中で流動性の 高いものを動かすことが真っ先だ」と述べ、リート市場が活性化すれば、 デフレ対策にもなるとの認識を示した。今後、具体策を議論し、「来年の 通常国会で成果を出していかないとならない」との意向を示したが、具 体的にはあくまで国会に「判断してもらうことだ」と語った。

副大臣はJリート市場の活性化のために、制度の在り方やファイナ ンス、税制上の仕組みが課題と指摘した。内部留保の在り方に関しては 税制上の優遇措置が焦点になる。

「もろ刃の剣」

Jリートは2001年の上場以来、個人や海外投資家の資金を集め、 一時は42銘柄が上場していた。リーマンショック後には資金調達難で ニューシティ・レジデンス投資法人が破たんしたほか、合併も相次ぎ現 在は37銘柄となっている。07年5月に高値を付けた東証REIT指数 も3分の1程度に低迷している。

Jリート2銘柄を運用する三菱UBSリアルティの久我卓也社長 は「利益のほぼ100%を分配金に回している」とした上で、内部留保が しやすくなれば「将来の配当を平準化できる」とメリットを述べた。J リートはもともと高い配当利回りが売り物の商品で、現在の平均配当利 回りは約6.2%と10年国債の約1.1%を大きく上回っている。

Jリートに投資している農中信託銀行の新海秀之シニアファンド マネジャーは、「マーケットに活力を戻したいのであれば規制緩和がす べてだ」という。ただ、内部留保の見直しについて、「リートにとって は資金余力を確保できるメリットがあるが、投資家にとっては分配金の 減少につながる恐れがある『もろ刃の剣だ』」と指摘した。

馬淵副大臣はまた、リーマンショック後に深刻化した資金調達リス クも念頭に、Jリートの資金調達手法の多様化についても検討する考え を明らかにした。現在の資金調達法は、銀行借り入れ、公募増資、投資 法人債の発行に限られている。副大臣は「転換社債の発行などが考えら れると思う」と述べた。インタビューは2日に行った。