パイロット求む:アジアの旅行ブームで不足深刻-争奪戦が激化

アジアの旅行客の旺盛な需要を 取り込もうと、香港のキャセイ航空やオーストラリアのカンタス航 空、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国のエミレーツ航空は、 合わせて航空機約400機の引き渡しを待っている。次の課題は操縦 士の確保だ。

中国とインドの旅行客が増加するなか、商用機メーカーの米ボ ーイングはアジアの航空会社が機内の通路が2本の広胴型航空機 の最大の買い手になるとみている。両国の中流階級の人口は合わせ て約11億人に上る。欧州の航空機メーカー、エアバスは、アジア 太平洋地域の航空会社が向こう20年間に8000機、1兆2000億ド ル(約101兆円)相当を購入すると予想している。

国際民間航空機関(ICAO)によると、世界の航空業界は2010 -30年に年間平均4万9900人の操縦士を必要としているが、現行 の態勢で訓練を受けられる人数は4万7025人にとどまる。このた め人材争奪戦が激化している。エミレーツは機長向けに給与を非課 税とするほか寝室が4つの邸宅を提供、マレーシアの格安航空会社、 エア・アジアは訓練を無料で実施している。

アジア太平洋航空センターのアナリスト、ビニット・ソマイア 氏(シドニー在勤)は「重要な問題であり、業界の成長にとって大 きな課題になるだろう」と予想。「パイロットは非常に不足してい るため、たとえ採用できたとしても高額の報酬を支払わなければな らない」と指摘した。

高額報酬求め国外流出も

エアバスは2月、世界の航空市場で最も急速な成長を遂げる中 国が、アジアの航空機発注の約3分の1を占める可能性が高いとの 見通しを示した。国際通貨基金(IMF)によると、中国の今年の 経済成長率は10.5%と予想されている。世界の成長率予想は4.6%。

米モルガン・スタンレーによると、今年9.4%と見込まれてい るインドの成長率は早ければ13年にも中国を上回る可能性がある。

航空業界予測・データ提供会社アセンド・ワールドワイド(ロ ンドン)によると、アジアの航空会社は今年、100席超の商用ジェ ット機133機を発注。世界全体の23%を占めている。

フィリピン航空機操縦士協会のエルマー・ペナ会長は「パイロ ットは不足するとみられ、その状況はしばらく続くだろう。良質の パイロットを育成するには時間がかかるからだ」と述べた。

フィリピン航空では、操縦士27人が高額報酬を求めて国外の 航空会社に流出。7月と8月に一部を欠航せざるを得ない事態とな った。