【今週の債券】長期金利1.1%台後半に上昇か、財政懸念や入札警戒で

今週の債券市場で長期金利は1.1% 台後半に上昇しそうだ。内外景気に対する過度な懸念が和らいでいる ほか、民主党代表選への小沢一郎前幹事長出馬に伴い、財政拡大懸念 が高まっているためだ。足元の需給に不安が出ており、今週行われる 30年債、5年債入札に対する警戒感も強い。

JPモルガン・アセット・マネジメントの国部真二債券運用部長 は、世界的に利回り曲線のブル・フラット(平たん)化を解消する動 きが広がり、ベア・スティープ(傾斜)化が続くと予想する。今週の 長期金利については、財政拡大懸念が根強いことから、「1.1%台後半 に上昇する可能性がある」との見方を示した。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが3日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全 体で1.06-1.20%となった。前週末終値は1.145%。

民主党代表選には菅直人首相と小沢前幹事長が立候補を届け出て、 14日の投開票に向けた選挙戦が激化している。小沢氏は、子ども手当 の満額支給など政権公約の実現を打ち出している。菅首相は財政再建 路線を示していたことから、政策転換が警戒されている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジ ストは、債券市場は少なくとも選挙当日までは小沢政権誕生によるバ ラマキ復活のリスクを考慮に入れざるを得なくなったと指摘した。

長期金利は前週末に一時1.15%と1カ月半ぶりの高水準を付け た。経済指標改善を受けて米国景気の過度な減速懸念が後退したこと や国内の財政拡大リスクが売り材料となった。三井住友海上火災保険 投資部の高野徳義グループ長は、「民主党代表選までは小沢前幹事長の 大規模な財政出動の懸念が続き、10年債利回りは1.2%まで急上昇す る可能性がある」と述べた。1.2%台に乗せれば6月22日以来となる。

経済指標では、8日に景気ウオッチャー調査、7月の機械受注統 計、10日に4-6月期国内総生産(GDP)改定値が発表される。実 質GDPは上方修正が予想されているが、影響は限られそう。1次速 報は前期比0.1%増、年率0.4%増だった。JPモルガン・アセット・ マネジメントの国部氏は、「GDPは上方修正になるだろうが、経済指 標は債券市場で材料視されないと思う」と語った。

入札に警戒感

需給面では8日に30年債、10日には5年債入札が実施される。 みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストは、「先週 以降の不安定な相場の地合いを受けて30年、5年債入札には警戒感が 出ている」と述べた。最近実施された1日の10年債入札、3日の流動 性供給入札がいずれも低調となっており、入札が相場の波乱材料とな る可能性がある。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、「超長期債 の需給悪化に長期債も引っ張られそう。30年債入札に対する警戒感も あり、もう少し相場の調整が続くのではないか」と懸念する。

30年債入札については、表面利率(クーポン)は前回債から0.4 ポイント低い1.9%が有力視されている。一方、5年債入札ではクー ポンは前回債から据え置きの0.3%が予想されている。JPモルガ ン・アセット・マネジメントの国部氏は、「5年債は日銀の政策が支援 材料となっていたが、売りが出れば、波乱要因になる」と話した。

日銀は6、7日の両日に金融政策決定会合を開催する。日銀は8 月30日に臨時会合を開き、追加緩和を決定したばかりで、今回は据え 置きが見込まれている。ブルームバーグの事前調査でも有力日銀ウオ ッチャー15人の大半が現状維持を予想した。

市場参加者の予想レンジとコメント

3日までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。 先物は期先限月の12月物、新発10年債は310回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物141円10銭-142円20銭

新発10年債利回り=1.07%-1.20%

「長期金利は1.1%中心に振れの大きい展開。8月までの金利低 下トレンドが反転して値幅が拡大したことで、リスク管理の観点から 買い持ち高を落とさざるを得ない向きが多い。民主党代表選を前に30 年債入札が低調となるようだと、10年債利回りが超長期ゾーンの金利 に連れ高しそう。大量償還の資金が再投資されるのはもう少し先だ」

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物12月物140円80銭-142円20銭

新発10年債利回り=1.08%-1.20%

「値動きが激しい。民主党代表選までは小沢前幹事長の大規模な 財政出動の懸念が続き、10年債は1.2%まで急上昇する可能性もある。 20年債は1.9-2%が投資家の目線だ。米国も減税を検討し始め、日 米とも景気対策に伴う株高期待が高まりやすい。ただ、米国で追加緩 和の思惑が出ると相場は反転上昇する可能性もある」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物12月物141円30銭-142円50銭

新発10年債利回り=1.08%-1.20%

「上値が重い展開となりそう。8月下旬まで買われてきたことに 対する調整が続くとみている。10年債利回りは一時0.8%台を付けた が、水準感が見えなくなっていた。先週以降の不安定な相場の地合い を受け、30年債、5年債の入札には警戒感が出ている。国内市場参加 者のセンチメントが慎重姿勢を強めている」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの国部真二債券運用部長

先物12月物141円00銭-142円25銭

新発10年債利回り=1.06%-1.18%

「世界的に利回り曲線のブル・フラット化を解消する動きが広が り、短期的にはベア・スティープ化が続く。米長期金利も2.75%程度 まで上昇リスクがあるとみており、円債も戻り売りが出やすい。民主 党代表選での財政拡大懸念も意識され、長期金利は1.1%台後半に上 昇する可能性がある。不安定な状況下で30年債、5年債入札は要注意」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎、菅野顕一郎 Editors:Hidenori Yamanaka, Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 池田祐美 Yumi Ikeda +81-3-3201-2490 yikeda4@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE