【日本株週間展望】安値圏滞留、根強い円高警戒-日銀・政府頼れず

9月第2週(6-10日)の日本株 相場は、年初来安値圏で滞留する見通し。景気不透明感から投資家のリ スク許容度が低下する現状、為替の円高警戒もあり、市場参加者の様子 見姿勢は継続するとみられる。米国では第1週で経済指標の発表が一巡 し、国内でも民主党代表選を14日に控え、売買材料に乏しい。

東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長は、「日本銀行の金 融緩和策が小出しなうえ、与党・民主党は政争に明け暮れ、国内要因で の株高シナリオは描きにくい」と言う。米国株頼みの状況は変わらず、 仮に3連休明けの7日以降に米国株が上昇しても、日本株には「円高警 戒が強く、反応しにくい」とみている。

9月1週の日経平均株価終値は前週末比1.4%高の9114円13銭で、 4週ぶりに値上がりした。日銀の追加金融緩和策への期待から週初に大 幅高となったものの、実際に策が発表されると、景気浮揚には不十分と 物足りなさを感じる投資家が多く、売りが先行。1日には8796円と、 取引時間中の年初来安値を付けた。その後は米経済指標の改善や為替相 場の落ち着きで週末にかけて戻した。

日銀は8月30日、臨時の政策決定会合を開き、0.1%で長めの資金 を供給する新型オペを20兆円から30兆円に引き上げ、うち10兆円の 供給期間を6カ月とすることを決めた。市場に潤沢な資金を供給し、リ スクマネーを生み出そうという措置で、昨年12月と今年3月に新型オ ペで各10兆円が供給された際は、円安・ドル高が進み、株高をもたら した。

ただいずれも長続きせず、再度円高、株安局面を迎えた。この点に ついて、隅谷氏は「日銀が別の手段で余剰資金を吸収したため、計20 兆円の供給効果が生かされなかった」と指摘。今回の量的緩和が株価を 押し上げるには、「日銀の当座預金残高が20兆円を大きく超えるか」 「長期国債の買い切りオペ増額で恒久的な資金も供給されるか」「ドル 買い・円売り介入が行われるか」などがカギを握るとみる。

為替に左右される日本株

「今の日本株相場は独自要因で動くことはない」と言い切るのはマ ネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト。米国景気の減速や世界 景気の鈍化が警戒されており、外需依存の経済大国である日本はこの影 響を受けやすい。さらに、対ドルで15年ぶりという円高が輸出産業・ 企業収益に打撃を与える。

投資家がリスクオフの状況で、為替市場ではリスクが相対的に小さ いとされる円に資金が回帰、各国は自国の景気浮揚のために自国通貨安 を容認しており、円は対ドルで1ドル=84円台と15年ぶりの円高水準 で推移している。ドル・円は現在、「日米金利差のみでレートが決まる ローカルな関係にあり、円高が今の日本株の重しになっている」と広木 氏は言う。

国内金利の低下余地がない日本にとって、「米国金利が上昇しない と円高・ドル安の反転は難しい」と述べるのはアムンディ・ジャパンの 高野雅永チーフストラテジスト。その米金利は、一時2.42%まで低下 した10年債利回りが現在2.6%前後で推移し、実体経済と比較したオ ーバーシュート感はぬぐわれつつある。

足元の米国の経済指標も、米供給管理協会(ISM)が1日に発表 した8月の製造業景況指数が56.3と、ブルームバーグ・ニュースがま とめたエコノミスト予想に反して前月比で上昇するなど、やや悲観色が 薄れてきた。高野氏は、失業率やインフレも小康状態や下げ止まり期待 感が出てきているとし、「米景気が戻れば米金利も反転し円安になる。 その場合、景気敏感株である日本株の方が、米国株よりも投資魅力は高 い」と話している。

第2週は、週末10日に株価指数先物・オプション9月限の特別清 算値(SQ)算出を控える。先物に振られやすい相場展開を警戒して売 買を控えたい投資家も多そうだ。

配当狙いの投資手法

相場全体が不安定ななかでは、医薬品や電力といった収益が比較的 安定している業種が資金を集めやすい。こうした銘柄は、「株価のボラ ティリティ(価格変動性)が低く、配当利回りが4%を超えるものも多 く、9月末の上期配当取りを狙う意味でも面白そう」と三菱UFJモル ガン・スタンレー証券の山岸永幸ストラテジストはみている。

高利回り銘柄は通信や一部ハイテク株にも見られ、需要が高まりそ うだ。また、今後の円高修正をにらむなら、円高を理由に売られた輸出 関連株の戻りを取るため投資していくのも一案となる。

日本株相場に影響を与えそうなスケジュールは、国内では6、7日 に日本銀行の金融政策決定会合があるが、8月30日に臨時の会合を開 いて金融緩和策を打ち出したばかりで、今回は行動を起こさない可能性 が高い。

発表予定の経済指標は、8日に8月の景気ウオッチャー調査と7月 の機械受注、9日に7-9月法人企業景気予測調査、10日に4-6月 国内総生産(GDP)2次速報値など。ブルームバーグ調査では、機械 受注は前月比2.0%の増加が見込まれている。海外では8日に米ベージ ュブック(地区連銀経済報告)が発表され、7日にはユーロ圏財務相会 合が開かれる。

【市場関係者の当面の日本株見通し】 ●みずほ証券リサーチ&コンサルティング・宮川憲央シニアエコノミス ト

「米国経済は減速しているが、設備投資やM&A(企業の合併・買収) で企業は資金を使っており、大崩れする状況にはない。米国株は景気指 標が良ければ回復継続期待、悪くても金融緩和期待が支え、底堅さが続 くだろう。PER(株価収益率)や配当利回りなどで日米株価は割安な ため、債券が織り込んでいるほどの減速にならなければ、株は中長期な 拾い場。ただ、景気減速感や円高基調の中で上値は重く、景気指標の下 げ止まりが確認できるまで2-3カ月は方向感が出にくいだろう」

●明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリスト 「欧米の景気は依然先行き不透明感がある。国内は14日の民主党代表 選まで『政治の空白』となるため、何か起きても対応が遅れるリスクが ある。米国はベージュブック、国内は機械受注くらいしか経済統計の発 表がなく、手掛かり不足。SQ算出を控え先物の動きには注意したい」

●コスモ証券投資情報部の清水三津雄・副部長 「10日が相場のターニングポイントとなるのではないか。SQ算出が 需給面での反転のきっかけとなる可能性があるほか、GDP改定値の発 表で国内景気の良さが再認識されることも考えられる。政府の経済対策 の詳細発表に期待を寄せつつ、週末にかけて強含むとみている」

●マネックス証券の金山敏之マーケット・アナリスト 「日経平均は節目の9000円を割り込み、下値のめどがたたなくなって きた。政府の為替対策で介入実施方針などが示されればポジティブで、 週初は円安・株高となるかもしれない。ただ、最近の傾向から判断する と、発表される米経済指標が米経済の厳しさを改めて確認する内容とな りそうで、米金利低下によるドル売り圧力は強い。日本の単独為替介入 があったとしても、ドル安・円高基調を明確に反転させるのは難しく、 輸出依存度の高い日本株には当面、売りバイアスがかかり続ける」

--取材協力 常冨浩太郎、鷺池秀樹、河野敏、長谷川敏郎

Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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