ECB総裁:危機対応モードを維持、二番底は想定せず

欧州中央銀行(ECB)のトリシ ェ総裁は、緊急措置として導入した市中銀行への無制限の資金供給を 2011年に入ってからも継続すると表明した。米国の減速がユーロ圏 の回復を脅かす中で、危機対応モードを維持した。

同総裁は2日の政策決定後の記者会見で、7日物と1カ月物の資 金の無制限供給を少なくとも来年1月18日まで続けると述べた。3 カ月物資金の入札も今年10月と11月および12月に実施する。固定 金利方式の入札で応札額全額を供給するが、金利は融資の期間におけ るECBの政策金利の平均になる。

ECBはこの日、主政策金利を過去最低の1%で据え置いた。政 策金利は1年5カ月にわたり同水準にある。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト調査でも57人全員が据え置きを予想して いた。トリシェ総裁は、政策金利は「適正」との見解を繰り返した。

米国でのリセッション(景気後退)再来の兆候が懸念される中で、 ユーロ圏の回復にも黄信号がともった。ECBはこれまで、政策金利 と同金利での無制限の流動性供給を少なくとも10月12日まで続ける としていた。

トリシェ総裁はこの日の会見で「用心し慎重を維持することが必 要だ。勝利宣言はしない」と語り、「ユーロ圏で中期的な物価安定を 維持するために必要な金融政策措置を取る」と言明した。

流動性供給に関するこの日の決定は「全会一致」というよりも政 策委員会の「総意」だと述べた。政策委員のウェーバー・ドイツ連邦 銀行総裁は約2週間前に、流動性措置についてこの日の決定と同内容 の発言をしていた。

ECBはこの日、2010年の成長率予想を1.6%前後と、従来の 1%から上方修正した。11年については1.4%(従来予想1.2%) に 引き上げた。

トリシェ総裁は「最近のユーロ圏の経済指標は予想よりも強かっ た」とした上で、「今後については、回復が緩やかなペースで進み、 引き続き不透明感が漂うだろう」と述べた。景気が「二番底」に陥る リスクについては「われわれの分析の中で、起こりうるものとして想 定されてはいない」とも述べた。

3カ月物資金の金利を融資期間中の政策金利の平均とすることに ついては、「技術的な」決定だとし、政策金利に関する「いかなるシ グナルをも送るものではない」と明言した。

一方で、インフレに関する姿勢は幾分硬化させ、物価に対するリ スクは「若干上向き」との認識を示した。8月には「総じて均衡して いる」と述べていた。ECBはインフレ率予想を、今年が1.6%前後、 来年が1.7%と従来から0.1ポイントずつ引き上げた。

ノムラ・インターナショナル(ロンドン)のエコノミスト、ロー ラン・ビルケ氏は、「インフレに関するリスクバランスの判断の変化は 重要だ」として、「ECBにとって物価安定へのリスクのバランスほ ど重要なものはない」と指摘した。

トリシェ総裁は、現物の裏づけを伴わない株式や国債の空売りを 制限する欧州連合(EU)の計画についてはコメントを控えた。

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