民主代表選に小沢氏出馬で利回りスティープ化継続か-財政拡張を警戒

民主党代表選に小沢一郎前幹事長が 立候補したことを受け、債券市場では利回り曲線のスティープ(傾斜) 化基調が続くとの見方が増えている。小沢氏が昨年の衆院選マニフェ スト(政権公約)を実行することで財政拡張が見込まれ、20年債など 超長期ゾーンの金利水準が一段と切り上がる可能性が高いためだ。

1日に告示された民主党の代表選には菅直人首相と小沢氏が立候 補を届け出て、14日の投開票に向けた選挙戦が始まった。代表選の結 果に関しては、小沢氏が国会議員票で菅首相をリードしているもよう だが、ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「どちらが勝 つにしても僅差で決着との見方が有力」だと言う。

日興コーディアル証券の末沢豪謙金融市場調査部長は、小沢氏が 代表選に勝てばマニフェスト実行や景気対策に取り組むため、現政権 と比べて財政拡張が意識されやすいと言い、「財政再建路線の転換が材 料視されてスティープ化しやすい地合いが続く」と読む。

ブルームバーグ・データによると、新発5年国債と20年国債の利 回り格差(スプレッド)は8月25日時点で126.8ベーシスポイント(bp) と、昨年5月以来の水準まで縮小したが、小沢氏が代表選出馬を表明 した26日以降に急拡大。2日には152.1bpを付けるなど、市場がすで に財政規律維持に懐疑的である様子がうかがえる。

小沢氏が1日に明らかにした政権政策では、子ども手当の満額支 給などマニフェストへの回帰が打ち出された。財源は特別会計を含め た「国家予算207兆円の全面組み替え」によってねん出する方針だが、 日興コーディアル証の末沢氏は、景気減速で税収増が期待しにくく、 この1年間の実績を勘案すると具体性に乏しいと言わざるを得ないと 指摘する。

6月には菅首相が消費税率引き上げに言及するなど、政府が財政 再建路線にかじを取ったことをきっかけに、その後に債券市場でフラ ット(平たん)化が進展していただけに、今後は折に触れフラット化 の反動が出てくる可能性がある。

RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、そもそも参 院選の敗北で消費税議論が後退しており、菅首相が代表選で勝利を収 めても財政規律は緩む方向だと予想。日本銀行の金融緩和策の下で中 期ゾーンの金利が上がりにくい中、5-20年のスプレッドは一時的に 春先の160bp近くまで拡大する場面もありそうだとみる。

8日に30年債入札が行われるほか、20年債入札が代表選と同日 の14日に実施されるため、投資家が様子見姿勢を強めるとみられる中 で需給面からも今後2週間は金利上昇圧力がかかりやすい。

20年債の2%手前に需要との見方

一方、米国はじめグローバルには景気の先行き懸念が根強いだけ に、財政拡張といった国内要因に起因するスティープ化には限界があ るといった声も聞かれる。

実際、ドイツ証の山下氏は、超長期ゾーンのボラティリティ(変 動率)が高まったことで、大手銀行などの短期売買は圧縮されるとみ るが、生命保険会社などは超長期債の利回りが上振れる局面ではたん たんと買いを入れてくるとみている。

新発20年債利回りは前週に7年ぶり低水準となる1.51%を付け た後に急反発しているものの、金利上昇時の押し目買いが支えとなる とみられる。日興コーディアル証の末沢氏は、代表選の結果が五分五 分の見通しであるだけに、足元の1.8%台は積極的に買える水準では ないが、金利が上がれば生保の買いが入って上昇ピッチは徐々に鈍る とも言い、現時点では2%の大台超えの展開までは想定していない。