新興市場株、先進国より割高でも急落回避か-ファンダメンタルズ変化

新興市場株はバリュエーション (株価評価)が先進国の株式と比較して約2年ぶりの高水準にある。 新興国の経済成長の加速を受けて大口投資家は、以前なら「売りシグ ナル」と受け止められたこうした状況を気にしない姿勢だ。

ブルームバーグの集計データによると、MSCI新興市場指数の 株価収益率(PER)は発表済み利益ベースで14.1倍。株価純資産 倍率(PBR)は1.9倍。これに対し、MSCI世界指数のPERは

14.9倍、PBRは1.7倍だ。新興市場株が先進国株との比較で今の 水準まで買われたのは2008年6月で、新興市場指数はその後4カ月 で48%下落し、MSCI世界指数のパフォーマンスを16ポイント下 回った。

HSBCグローバル・アセット・マネジメントとモルガン・スタ ンレー、ドイツ銀行は現状について、新興国の方が債務は少なく黒字 企業は多い上、先進国に比べて2倍の成長を遂げているため今回は違 うと指摘している。世界のファンドマネジャーらは、どの地域よりも 新興市場に対して最も強気な姿勢で、投資信託の今年の資金フローは 新興市場投信に350億ドルが流入した一方、欧米や日本の投信からは 280億ドルが流出したことが、バンク・オブ・アメリカ(BOA)や JPモルガン・チェースのデータで示されている。

HSBCグローバルのマクロ・投資戦略グローバル責任者、フィ リップ・プール氏(ロンドン在勤)は「新興市場を先進国との比較で 再評価する根拠がある」と述べ、「ファンダメンタルズ(経済の基礎 的諸条件)が変化したからだ」と指摘した。同社は4000億ドル強を 運用しており、ベンチマークに比べて新興国株の比重を高めている。

ブルームバーグの集計データによると、新興市場株の世界の株式 時価総額に占める割合は8月に過去最高の25%(前年同月22%)に 達した。日米の景気回復に鈍化の兆しが広がる中、新興市場株が先進 国株よりも良いパフォーマンスを見せたことが背景にある。8月はM SCI新興市場指数が2.2%下落した一方、MSCI指数は3.9%下 落した。